第131話 一緒にいられるのは、あと5日です
9月中は1日1話をしたかったですが、後半は、登校日だったり、予定が多くて、できなかった。読んでくれている方には申し訳ないです。
明日から学校が始まるけど、週に1話は頑張りたい。
「俺だぞ? 朝食を食べて戻って来たぞ?」
「どうぞー、大丈夫ですよー」
念の為、俺だと分かるように声をかけてから部屋に入る。
中に入ると、ノアが1人ベッドの左側に座っていた。
誰も来ないとは思うが、いちおう鍵をかけておく。
「ノア4は?」
「押入れですよ」
「ミンレイさんが、外席を気に入ってたよ。今日はアレをアピールするから忙しくなるって言ってた。シェンユは、バイト代が欲しいらしく今日は1日中手伝いするみたい。他の皆も年末に向けてバイトしに行ったぞ」
「余った材料で作ったテーブルセットでしたが、好評なら良かったです」
俺は押入れを開けた。しかし誰もいない。
とりあえず、押入れの床をノックしてみる。
「今ハ、上デス」
押入れの天井がスライドして、ノア4が降りてきた。忍者屋敷になってるのか?
ノア4は以前と違って制服では無い。白くボディラインがハッキリと分かる部分と角ばった部分ある全体に、間接は黒いメッシュのような素材で、所々に青く光るラインがはいったパイロットスーツのような、ザ・未来アンドロイドって感じの恰好だ。
首から上はノアとまったく同じだが、髪はストレートヘアになっている。
「どうですか?」
「どうって。何の為に必要なんだよ? まぁ、どうせ俺に話してない、突然の計画があるんだろ? さぁ! 説明してもらうぞ!」
「マスター、怒ッテマスカ?」
「ノア4には、怒ってないよ。ノア3にね。ちょっと怒ってるかな」
ノア3と違ってノア4は、従順で、おしとやかで、可愛らしい。同じ顔なのに、なんでこんなにも違く見えるんだろう?
「4号機。こっちきて座りなさい」
ノア4は言われるまま、ノア3が指差すベッドの右側に座った。
前から気づいてたではあるが、ちょっと命令口調だ。やはり魔導コアを持つノア3が、立場が上みたいだな。
「マスター。話をしますので、こちらへ」
俺も言われるがままに、指定された場所に座る。これは逆らえるハズが無い。
「どうですか? まさに、両手に華ですね? 可愛い可愛いノアに挟まれて、怒りのボルテージは下がりましたか?」
「マスター。冷静ニ」
別の、下半身のボルテージが上がりそうだぞ! 逆に、まともに話を聞ける気がしない。これはプチ、ノアハーレムじゃないですか!
「マスターが望むなら、今日から1週間は3人で寝てもいいですよ?」
「えっ? マジで?」
「お触りは無しですよ!」
それは、そうでよね。
「私ハ、触ラレテモ、構イマセン」
「えぇ?! マジっすか!」
「4号機! マスターを甘やかさないで!」
「了解デス」
よく考えたら、ノア2人と同じベッドで寝れるだけで幸せだぞ。いや、その状況で寝れるか?
「マスターが寂しくないように、私を大事に感じて貰おうかと思ってますが、4号機がいれば寂しくないようですね」
「ちょっと待て。どういう事だよ?」
「一緒にいられるのは、あと5日です」
「えっ?」
何故? どういう事だ?
まさか、俺が不甲斐ないから1人で神のクエストを達成しに行く気か?
ヒトラ様の使用人になってしまったし、うやむやにする為、姿を消すつもりなのか?
「ヒトラ様か? その件なんだな!」
「おっと、察しが良いですね」
やはり、そうなのか。俺が弱くて守れなかったから、ノアと一緒にいられなくなるのか。
「年末に御主人様の使用人として、ワナン国へ行ってまいります」
「んっ?」
「御主人様は、マスターも一緒に連れて来いと、おっしゃてました。ですが、ジークの事がありましたし、マスターには味方の多いユウツオで年末を過ごして貰いたいです。よろしいですか?」
「え、あの、不甲斐ない俺を見捨てて1人でクエストの旅に行くんじゃないのか?」
「何言ってるんですか! 違いますよ! 私はこの身が滅ぶまで、マスターにお仕えしますよ? それに、私1人ではクエストクリアは無理なのです。だからこそ、マスターが選ばれたんですよ?」
「そうか……」
安堵した俺は、肩の力が抜けた。
「ノア。本当にゴメンな。必ず俺の元に戻してやるから。ちゃんと、合法的に俺のノアにするから、待っててくれ」
「大丈夫ですよ。そんなに気負わないで下さい。今は、学校で知識と技術を蓄える期間です。御主人様も卒業後について来いって言ってますから、それまでは時間がありますよ」
「じゃぁ、なんで、今、ワナン国に行くんだ?」
「もう~。そんなに、怯えないで下さいよ。4号機、マスターをギューってしてあげなさい」
「了解デス」
ノア4が俺の左側から柔らかい大きな胸を押し当てて、抱きしめてくる。
なんと、心地よい。まるで、天にも昇るような……
「あっ。痛い、ちょっと苦しい! 天に昇っちゃうぅ! 離してくれぇ!」
「スミマセン。少シ、力加減ヲ間違エマシタ」
ドジっ子ロボ設定に、なってないか? もしかしてワザとか?
「マスター。今、ワナン国へ行く理由は3つあります。まず、やはり私がヒトラ様の使用人になっているからです。マスターは断れても、私が断るのは問題になります。次に、ワナン国の情報を得るのに良い機会かと判断しました。おそらく、いずれは赴く事になるでしょう。それから、マスターのノア離れが必要かと判断しました。少しの間ですが、私がいなくても上手くやってみて下さい」
「ノア離れだと? お前、まさか、また自滅作戦をする気なのか?」
「進んでやるつもりはありませんが、備えておくべきなのです。もしもの時を考慮して! もちろん、私は朽ち果てるまでマスターの御側にいるつもりですよ? ですが、この先、何があるか分かりません。私が破壊されてなくても、何日も一緒に行動できない事もあるかもしれません。最悪の場合、私の犠牲が必要な時もあるかもしれません」
ノアの犠牲……
そんな事は起こさない。絶対に。
「色々と言いたい事はあるが、ここで押問答しても、どうしようも無いんだろ? 既にノアの計画は進められていて、そもそも俺が決闘に敗北したのが、取り返せない問題だからな」
「どうしても許可できないのなら、何とでもしますよ?」
「それは血が流れる、やり方だろ? 本当に最終手段だ。とりあえず今回は了承する。どういう手筈になってる?」
「ありがとうございます」
どうせ。ノアに言い合いしても勝てない。それに、ノアのやり方で、ある程度上手くいく。
「まず、12月の最後の平日は4号機も一緒に生活します。基本的には常に押入れに隠れています。私と4号機は問題なく対応できますが、この状況にマスターが慣れてもらう必要があるので、本日から開始します」
「慣れるってのは、ノア4が押入れにいるのを、他の誰にも悟られないようする。って事か?」
「そうです。その後、年末休みに私は御主人様とワナン国へ出立します。ガルーパフで3日かけて帝都に行き、そこから3日かけてワナン国へ行きます。つまり、年越しに間に合うように! です。そして、3日ほど滞在して、行きと同じようにして帰って来ます。なので、戻ってくるのは1月の2週目になると思います」
「15日ぐらい、いないのか。」
「はい。その間はマスター1人で生活して下さい。いちおう念の為に、4号機を押入れの妖怪として置いておきます。観測通信強化武装も置いてくので、緊急事態の際には4号機に言ってください。連絡があれば、すぐにターンシステムを起動して、ユウツオへ帰還しますので」
「観測通信強化武装?」
「それについては、また今度説明しますね。この間説明しました拡張ユニットとは別で、武装ユニットが3種類あるのですよ」
「分かった。今は聞かないでおく」
なんだっけ? 拡張ユニットと、あと武装ユニットがあるのか。それから魔力で動いていて、残機3で、ターンシステムが使えて……
今度まとめて、紙出ししてもらおう。前に聞いた拡張ユニットも、BBとDDしか覚えてない。
「私のいない間は、寂しくないように予定を詰めておきました。その準備もバッチリです!」
「そういえば! 俺、年末の予定がヤバイだよ! どうしよう……」
「はぁ~。マスター、私がわざわざ買って来たカレンダーは、ちゃんと見ましたか?」
「先月末に買ってきて、何か勝手に予定を書いてたのか? 見てないよ。俺にだって、付き合いとか、誘いとかあるんだ。勝手に予定を入れられても困るぞ!」
「はぁ~。まったくぅ」
ノアは眉をハの字にして、両手を広げて、落胆したように、得意の、やれやれポーズをする。
それと同時に、左側でも、やれやれポーズが開始された。
ダブルだと、ちょっとムカつく。
「ちゃんと確認して下さい」
俺はベッドから立ち上がって、ドアの隣にあるカレンダーを確認した。
【年末休み1日目、土の日】
我儘亭の大掃除。
【年末休み2日目、火の日】
昼過ぎから、クランハウスでの親睦会。
シェンユと一緒に行く。プレゼント交換。クランへの贈り物。
【年末休み3日目、水の日】
昼過ぎから、シャン・レン=ワン家での親睦会。
シェンユ、ヒルデと一緒に行く。アナガリス様への贈り物。
【年末休み4日目、樹の日】
龍滅祭に参加。
我儘亭にて冒険者役をする。
【年末休み5日目、風の日】
龍滅祭に参加。
冒険者役として、ユウツオの街を回る。
【年末休み6日目、雷の日】
我儘亭にて年越し宴会。
新界歴1542年。大晦日。
【年明け1日目、癒しの日】
休み。ゆっくり過ごす。
新界歴1543年。元旦。
完璧に計画されている。
先月末から準備してたカレンダーなんですけど? 俺の予定は予測されてたのか?
いや、いちおう何度か修正された跡がある。けど、俺が言ってない事も分かっている。どっから情報を得た? シェンユか?
「ノアさん、ありがとうございます」
「どういたしまして!」
「すまんが、あと1つ追加したい予定がある」
「何でしょうか?」
「今日中に、フォルストにビンゴ大会の説明をしないといけないんだ。ビンゴカードとか無いよね?」
ノアとノア4は、また、やれやれポーズをしながら「しかたないので、急いで作ります」と言ってくれた。
マジで、ありがとう。




