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「貴行、お主は童女が好みなのであろう?」
刀間は貴行の太股の間へと座って鈴に聞こえないように小声で話しかける。
「え、いや、そんな事、ないよ」
貴行の言葉は歯切れが悪い。
「隠さずとも良い、どうじゃ、私で良ければ、写真という奴をやっても良いぞ」
貴行の心が跳ねた。魅力的な提案だった。
「しゃ、写真って? どんな格好で?」
「先日の水着でも良いし、今のままでも良いぞ」
刀間がこの間着ていた水着はスクール水着だった、貴行はすぐにそれを思い出す。
「お、お願いしたいんだけど」
「そうか」
刀間は首を逸らせて貴行へと笑顔を見せる。
「ならば、今から私の社で等、どうじゃ?」
「う、うんうん、うん行くよ」
貴行は立ち上がってデジタルカメラを出してから靴を履く。
刀間も草履を履く。
「お出掛けですか?」
鈴が声を掛けて来た。
「う、うん、まぁね」
貴行は鈴の言葉に慌てて答えてからドアを開けた。
外へ出て自転車置き場へと行き、刀間を荷台に乗せて神社への道を走り始める。
貴行の腰に抱き付いている刀間の頬は少し赤い。
刀間が貴行の背中に密着したまま自転車は道を駆け、すぐに神社へと到着した。
貴行は自転車を降り、刀間へと手を差し出す。
刀間はその手を恥ずかしそうに握った。
貴行は刀間の手を引きながら階段を上がる。
上に到着すると貴行は刀間との手を離してカメラを取り出す。刀間は少し名残惜しかった。
貴行がポーズを取っていない刀間を撮影していると、後から刀間はポーズを取り始める。
肩慣らしが済んだ貴行は刀間へと声を掛けた。
「ね、ねぇ刀間」
「な、なんじゃ?」
「そろそろ、水着が見たいんだけど」
いやらしく鼻の下を伸ばす。
「わ、わかった……」
貴行の言葉を聞いた刀間は艶っぽく着物を緩めて肩を肌蹴る。
刀間は着物の下に水着を着ていた。
「お? おぉおお?」
貴行は歓声を上げる。
「貴行」
後ろで誰かの声がした。
貴行の正面に向かい合うようにいる刀間からは貴行の背後が見えており、刀間はすぐに声の主に目を向ける。
貴行は刀間の艶かしい肩を目に焼き付けてから、恐る恐る振り向いた。
手の骨を鳴らしている京子が居た。
「こ、これは、違うんです」
「自転車に乗って仲良くどこかへ行くから付けて来たのよ」
京子は静かに言葉を紡ぐ。
「無職で幼女と個別撮影、ほんっと良いご身分よね」
刀間は顔を赤くしながら出し掛けていた肩を着物の中へと戻した。
「ち、違うんです」
「さっきから違うしか言ってないけど、何が違うの?」
「そ、それはその、えっと、ほら、えぇー……」
言い淀む貴行の鳩尾を中段前蹴りが貫く。
貴行は薄れ行く意識の中で刀間に優しく頭を抱かれていた。
「はぁ……京子」
刀間は意識を失った貴行を大切そうに抱きながら京子へと声を掛ける。
「な、なによ」
京子は腕を組んで顔を背けている。
「なぜ貴行にそうまで辛く当たる」
「こ、コイツが悪いのよ!」
「前にも言ったろう、もう少し労わらんか」
「だ、大体、元はといえば貴女が、貴行を誘惑したからこんな事になってるんでしょ?」
刀間はすっかり寛容になっていた。京子が最初に対面した時の恐ろしい面影はほとんど残っていない。
「意中の男を誘惑する事は、いけない事ではなかろう」
刀間は穏やかに言う。
「い、意中!? 貴女は貴行の事が好きなの!?」
京子も気付いては居たがはっきりと口に出して言う事に驚き、問い詰めようとする。
「好きじゃ、私は貴行の事が、堪らなく愛おしい」
気絶している貴行の前髪を優しく撫でた。
「あ、貴女、そんな事言って恥ずかしくない!?」
聞いている京子の方が恥ずかしくなってしまっていた。
「恥じておらぬ訳ではない」
「は、はぁ? じゃあなんでそんな事言うのよ」
「恥を晒しても良いと思える程に、私は貴行の事が好きなのじゃ」
刀間の耳は真っ赤に染まっていた。
「そ、そんなの、そんなの、違う……わよ……」
「どう違う」
「そ、それは、ただ我慢ができてない……だけ、っていうか……」
「ほう」
「そういう事なのよ!!」
「それならばそれで良い、信ずる物は千差万別、しかし私の考えは今申した通り」
京子は言い返す言葉が見つからなかった。
「どちらが正しいかは分からぬ、わからぬのじゃ」
刀間は自分にも語り聞かせるように言う。
「結果として、貴行を手に入れた者が正しさにより近い」
京子はその言葉を聞いて息を吐く。
「そうね、結局それよね」
「そうじゃ」
貴行を優しく撫でながら刀間は京子に笑い掛けた。
京子もそれに答えて笑顔を見せる。
京子と刀間は仲良く笑い合っていた。




