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  雨が降り続いた雲の多い梅雨を抜けて、季節は陽の光が燦々と降り注ぐ盛夏となっていた。

 貴行は鈴と京子と、刀間も誘って川へと来ている。

 辺りにはセミの声が響き、川の水の転がる澄んだ音が聞こえていた。

「ご主人様、準備運動をしてください」

「だ、大丈夫だよ」

 貴行の身を案ずる鈴の胸はとても大きかった。

 下着兼水着として巻かれている晒から溢れんばかりのたわわに実ったお乳が自己の存在を主張する。

「本当ですか?」

 心底不安そうな表情で貴行の顔を覗き込む鈴の胸が、腕と腕との間に挟まって扇情的な雰囲気を醸し出す。

「貴行、お主はそういうのが好みか」

 苛立ちを隠さずに片足の踵を地面につけたまま、つま先を上下させて草履の音を鳴らしている。

 刀間はどこで手に入れたのか紺色のスクール水着を着ていた。

「ほんっと、変態よね」

 京子は白地で縁が淡緑になっているフリルの付いたツーピース水着を着ている。

「え、何の事?」

 恍ける貴行の後ろで鈴は困った笑顔を浮かべる。

「しらを切るつもりか」

 刀間は素早く歩み寄り、背伸びをして手を伸ばし、貴行の頬へと平手打ちを食らわせた。

「いてっ」

 貴行はその場へとへたり込む。

「ふんっ!」

 今度は京子が座り込む貴行の顔へと激しく足の甲を打ち付けた。

「お、良いぞ、本日は無礼講じゃ、もっとやってしまえ」

 その鮮やかな蹴り見た刀間は囃し立てる。

「ま、まぁまぁ、せっかく遊びに来たんですから」

 貴行を助けようと鈴が止めに入る。

「お主は胸が大きいからそんな事が言えるのじゃ! たわけ!」

「そうよ! 人の気も知らないで!!」

 鈴は刀間と京子を止めるように出した手をそのままに眉を困らせて笑顔を作る。

 早々と立ち直った貴行は刀間と京子に声を掛けた。

「泳ぐ練習するんでしょ? 暑いし早く入ろうよ」

 刀間と京子はこれから貴行に泳ぎを教わるという事を思い出して態度を軟化させる。

「ま、まぁ、そう、じゃな」

「そ、そうね!」

 京子は昔から練習をしても泳ぐ事ができず、今年も挑戦する予定だった。

 刀間は水中を泳ぐという経験がなく、始めての挑戦。

 貴行と鈴は泳ぎが得意だった。

  貴行は流れの緩い浅瀬へと入り京子と刀間を呼ぶ。

「じゃあ、まずここら辺で練習してみよっか」

「ひ、ひんやりとして気持ち良いの」

 刀間が流れる水面を見ながら言う。

「刀間は水に顔をつける事はできるよね?」

「当然じゃ!」

 言葉の後にすぐ水面へと顔をつけて、また今度はすぐに顔を上げて言う。

「どうじゃ!?」

「うん、できてた」

「はっはっは、そうじゃろ」

 とても誇らしそうに胸を張って笑う。

「じゃあ次は俺の手に掴まってちょっと泳いでみよう」

 貴行は両手の平を上に向けて、刀間は両手の平を下に向けて互いの手首をしっかりと掴んだ。

 刀間は少し頬を赤らめる。

「じゃあ、水中で浮いて見て」

「こ、こうか?」

 水底を蹴って水に浮く。

 貴行の手へと体重を掛けて顔だけ水から出した。

「そう、浮いてられそう?」

「こ、これなら、なんとかなりそうじゃ」

 刀間は貴行に手を引かれて見る見る内に泳ぎを上達して行った。

 「た、貴行!!」

 京子が貴行へと声を掛ける。

「何?」

 すでに助け無しで泳いでいる刀間を見ていた貴行は振り返る。

「わ、私にも、教えてよ!」

「いいけど、京子いつも泳げないんだよね」

「こ、今度は上手くやるわよ!!」

 結局京子は泳げなかった。

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