Notre histoire.6
【昼過ぎ 洋平point of view】
さてと、ゆいからもらったレジ表をチェックしてー
いつも通り完璧だな…任せて良かった
あ、事務所のあれ補充しないとだめか
【事務所】
『おつかれさまー用紙やらなんやら補充するねー』
{北村さん!それなら さっき佐藤さんが来てやってくれたわよー}
『あ、そうなの?』
{彼女、細かく見てるわよねーA型なの?}
『あ、それ俺も思った あとで聞いてみるよ』
{…佐藤さんのことなら無駄に何でも知ってるかと思ってたけど…まだまだね…北村さん}
『ちょっと、何言ってんですか!まったく!』
{誕生日くらいは知ってるんでしょ?当たり前に}
『え』
{え?…まさか、知らないの?
わたしたちでも知ってるのに…?
知らないなら…早く聞いたほうがいいわよ!}
『なに!?…聞いてくる』
{はいはい いってらっしゃーい}
【事務所前】
レジはもう入ってないか
品出しとかしてるのかな 待ってたら来るかな…
誕生日か…そういや、今まで全然話題にのぼらなかったな…そもそも 俺が自分のも他人のも興味なかったからだけど
俺のはもうすぐなんだけど…別にどうでもいいが
そう言われてみればそうだよな…付き合ってるんだから誕生日くらい知ってて当たり前だよな
…過ぎてたらどうしよう…お祝いしてあげたいのに…
1年なんて待てないぞ…
「あれ、チーフ…レジ表とにらめっこして…何か変更とかありました?」
『あ、佐藤さん おつかれさま いやいや、何もないよ』
「お疲れさまです!そうでしたか!よかった」
『あ!事務所の補充ありがとうね、助かったよ』
「いえいえ!これからまた品出ししてきちゃいますね」
『あ、その前に…佐藤さん、誕生日っていつ?』
「え?1月18日ですけど…どうしてですか?」
『え…1月18日って言った!?誕生日…同じだ…』
「え!?えーーー!」
『偶然にしてはすごいな…あと1週間ないのか…
あ!ちょうど休みだぞ!』
「ほんとですか?うれしい!」
『あとで何するか考えような』
「はい!楽しみにしてます!じゃあ品出し行ってきます!」
あ、血液型聞くの忘れた…
あとで聞こ…
それにしても同じ誕生日なんて…
っておい、ちょっと待て…
歳の差が埋まらないじゃないか!!
【唯point of view】
…誕生日が一緒だったなんて!!
そういえば、全然誕生日の話題になったことなかったもんね…来週かぁ…楽しみだなぁ!
❴唯ちゃんじゃなーい♪元気にしてたかしら?❵
「拓真さん!お疲れさまです!この間はありがとうございました!」
❴いいのよー♪洋ちゃんはお部屋かしら?❵
「はい、先ほどお部屋に行きましたよー」
❴あ!この間ね、話せなかったことがあるのよ!
またそのうち話きいてちょうだいね♪❵
「はい!もちろんです!では失礼します!」
拓真さんのお話し、なんだろ…?
❲ちょっと!ちょっと!ゆいー!❳
「紬ちゃん!どうしたの?」
❲ね!ゆい!今本社の原田さんと話してたでしょ!?仲良いの!?❳
「うん!拓真さんはチーフのお友だちなんだよー」
❲拓真さんっていうんだ…❳
「あ…もしかして、本社の気になる人って…?」
❲うん…原田さん!お願いっ…紹介して!!❳
「うん!チーフにも伝えていい?」
❲うんうんっ!お付き合いとかそういうのはいいの
お近づきになれるだけでいいからっ!❳
「OK!まかせて!」
紬ちゃんのお役に立てるチャンス!
急いでチーフに言いに行かなきゃ!
あ!でも今だと、お話しのお邪魔になっちゃうだろうから…
少し時間あけて…あ!先に品出し済ませちゃおう!
うー!早く伝えたい…
【2階 洋平の部屋…洋平point of view】
"コンコン"❴洋ちゃんいるかしらー?❵
『おーいるぞー 拓真、来たなー』
❴次のミーティング用の資料届けにきたわよー❵
『助かるよ ありがとう』
❴この資料の説明だけさせてー❵
『うん、頼む』
❴これは………❵
『…わかった その流れで進めるよ
あ、そうそう、この間は悪かったな』
❴いいのよぉーさっき唯ちゃんに会ったら、元気そうだったからよかったわぁ♪
…またあの声を聴かせてほしいくらい♪❵
『やめろ!まったく…黒歴史だ…』
❴ふふ♪❵
"コンコン"「失礼します!…あの…お邪魔じゃないでしょうか…」
❴あ!!唯ちゃんきたわね 唯ちゃーん!!❵
「拓真さん!」
手を合わせてきゃっきゃしている…
『…』
❴洋ちゃん、顔がこわぁい!またヤキモチ妬いてんのかしらぁ?❵
『あ、悪い… ゆいー俺の名前も呼んでくれー』
「もぉ…洋平さん♪」
『ゆいー』
❴あらぁ、仲がよくていいことぉ
あ!そうだ!良かったら久々にご飯でも食べない?❵『お、そうだな!1回戻るんだろ?待ち合わせしようぜ』
❴そうねぇ、19時半に〇〇にしましょうよぉー❵
『あの店なー じゃあとでな!』
「いってらっしゃい!楽しんできてくだ…」
❴あら?何言ってるの!唯ちゃんも行くのよ?❵「え?」
『俺が置いてくわけないだろ?』
「え?でも…」
『一緒に行こうな?ゆい』
「…はい!ありがとうございます!」
❴じゃ、2人とも、またあとでねー♪❵
【唯point of view】
「チーフ…大事なお話があります…」
『え?な、なに…どうした?』
「あの、紬ちゃんのことなんですけど…」
私は、紬ちゃんに拓真さんを紹介したいと話した
『じゃあさ…今日一緒に連れて行くか』
「チーフ…紬ちゃん、遅番ですよ…?」
『俺にまかせとけ 桜井さんに伝えておいで』
「はいっ ありがとうございます!」
【イタリア料理店】
❲チーフ、調整してくれてありがとうございます!
ねぇーゆいー緊張するよー…❳
「大丈夫だよ、とてもいい人なの!」
『距離感バグってるけどな…たぶん君のこともすぐに名前で呼びだすよ…』
❲ほ、ほんとですか!?うれしいかも…❳
❴お待たせぇー♪あ、君は…❵
「あ、拓真さん、私の友だちなんです
連れてきちゃいました!」
❲さ、桜井紬です…
急にお邪魔しちゃってすみません…❳
❴知ってるよ 桜井さんのことは
ご飯はみんなで食べたほうがおいしいからね
俺は原田拓真っていうんだ よろしく頼むね❵
ありがとうございます!よろしくお願いします!
『(名前で呼んでない!!)』
「(俺って言ってる…!!)」
おいしいピザやパスタを食べながら2時間くらい
おしゃべりして、私たちは解散した
連絡先交換できたみたい!
紬ちゃんからありがとうってメールが来てた
拓真さんが紬ちゃんを送ってくれたの!
「拓真さん…いつもと違いましたよね…」
『ゆいも気づいたか…もしかしたらさ…
あの2人うまくいくかもしれないぞ』
「ほんと!?」
『きっと、な』
そうなってくれたらうれしい…!
【自宅 洋平point of view】
風呂も入ってまったりタイム
コーヒー飲みながらあれを確認しようと思った
『あ、そういえば…ゆいってA型?』
「はい!よくわかりましたね!」
『だよなーメモ見たときになんとなくわかっけど、確認したことなかったからさ』
「洋平さんは…O型かなって予想してます」
『お!当たりー』
「ふふ よかったー」
『んー?』
「相性ばっちりなんですよ O×Aって」
『そんなもんなくても俺たちはばっちりなんだよ』
「ふふ だいすき…」
『俺は愛してるけどなー』
「あ!ずるい!私も、愛してます…」
ゆいは隣りですやすや寝てる…
ほんとに幸せだなー
誕生日か…サプライズ、何か考えようかな…
今まで生きてきてあんなに興味がなかった"誕生日"が
ゆいと一緒にいるだけで、こんなに楽しみな行事に変わるなんてな…
あ…そうだ…良いこと考えたぞー
【誕生日当日】
『そろそろ出かけようか』
「はい、洋平さん!」
今日のスカートも可愛いなぁ…ゆいー
他のやつらに見せたくない…
レストランにディナーの予約をしたんだけど…
ゆい、気に入ってくれるかな…
『誕生日おめでとう』/「お誕生日おめでとうございます!」
「洋平さん…これ…すっごくおいしいですっ!」
『よかった…たくさん食べろー』
「洋平さん、あーん…」
『あ、こら… あ、あーん… あ、うまっ!!』
「ねっ!おいしいのー!」
『ほら、ゆい あーん』
「んっ…わぁっ…おいしいー!」
可愛い、まじやべー家帰るまで我慢できねー
「とってもおいしかったぁ♪ごちそうさまです!
景色もすごく綺麗で…素敵なところに連れてきてくれてありがとうございます!」
『まだあるんだよー』
「このあとですか?」
『うん、行こうか 近いから』
さ、ここからは完全にサプライズなんだが…
「あ、あの…洋平さん、ここは…」
『ん?指輪選ぶんだよ』
「!!!ゆ、指輪…!?」
『ほら、おいで』
「は、はい…」
リンゴになった彼女を連れて店の中へ
キョロキョロしてる…可愛い
『どれがいい?』
「私が選ぶんですか…?」
『うん、選んだやつをペアで買おうな』
「洋平さんも…一緒に選んで…?」
『はは もちろんいいよー』
んー…ゆいに似合いそうなやつ…
「これ、かわいいです」/『これどうだ?』
『え?』/「うそ…」
同じ指輪を指差した俺たちに、店員さんも微笑んでいた
少し時間はかかったがサイズ調整してもらって、
裏に刻印もいれてもらって
箱に入った指輪を受け取り、家に帰ってきた
「誕生日が一緒なんて…本当に運命みたい…」
『俺は、ゆいのことを運命の人だって思ってるよ あの日からずっと』
「あの日?」
『うん ゆいが本社の近くで迷った日
俺は、あの時 ゆいに一目惚れしたんだからね』
「洋平さん…」
『その後、面接でも会ってるんだよ 気づいた?』
「え!?そうだったんですか?…面接のときは必死で…すごく緊張していたから」
『うん、一生懸命でかっこよかったなぁ
そこから、うちの店に配属が決まったときも
すべてが運命なんだって思った』
「ありがとうございます…ずっと洋平さんが見守っててくれてたなんて…うれしい
これからもずっと一緒にいてくださいね」
『ゆいも、いてくれよ?
あ、ゆい 手だしてごらん?』
「はい?」
『違う、左手だよ』
「あ、は、はいっ」
『ゆい…俺と結婚してくれないか?』
「洋平さん…!うれしい!
はい!よろしくお願いします…っ」
『泣かない泣かない……ん、これでいい』
「わぁ…」
可愛い 指にはめられた指輪をずっと見ている
「私も、洋平さんに…」
『うん、はい』
「愛してます…ずっと、そばにいてください」
『ゆいーーー』
「きゃっ、洋平さんっ」
『ここでしていい…?』
「あの…電気を…」
『やだ』
「あ、いじわる…」
−−−−−
『疲れたろ、今日はもう寝ようか』
「ふふ しあわせです うれしい」
『ゆい…愛してる』
『わたしも…愛して…ます…』
寝息をたてている彼女の指には、
俺とおそろいの指輪がある
それだけで、自信になりそうだ
そうか、自信がなかったのかもしれない
こんなに可愛い子が俺の彼女になってくれて…
この寝顔も、普段の可愛いゆいも、仕事中のしっかりしたゆいも 全部俺の…
【ある日の夕方 事務所前】
❴洋ちゃーん!❵
『拓真 あれ?今日はどうした?』
❴仕事じゃないのよー ちょっと、ね❵
『あーうまくいってるのか』
❴キューピッドたちに感謝しないといけないわねー
夜唯ちゃんに会った日、あったじゃない?❵
『うん』
❴あの時にね、実は洋ちゃんのおうちにお邪魔して、唯ちゃんに彼女のことを相談しようとしてたのよ❵
『なっ!そうだったのか!?』
❴うん♪その時は話はできなかったけど、巡り巡ってうまくいってよかったわぁ❵
『そうか…大事にしてやってくれ ゆいの友達だからな』
❴わかってるわよぉ ねぇ、それよりあなた…❵
『なんだ?』
❴クマできてるわよ …ヤり過ぎかしらん?❵
『お前っ!声がでけーよ!仕事中なんだからな!』
❴ふふー図星ね おもしろいわぁ♪
あ!来た!じゃあ行くわねぇ 紬、こっちだ❵
{あ、たっくーん!おまたせー!
チーフお先に失礼します!}
『おつかれさまーお2人さん』
おー…好きな子には呼び捨てなのか…俺も好きな子の顔見に…もとい、休憩しに行くか
『佐藤さん!いたいた 休憩しようか』
「はーい!」
【2階 洋平の部屋】
『拓真たちうまくいってるみたいだな』
「はい!今日はデートなんですって!紬ちゃんが
楽しそうに話してましたから」
『さっき拓真が迎えに来てたよ』
「そうなんですね!」
"コンコンコン"チーフいるー?
『え?はーい!あ、田辺さんじゃないか… …っ!』
「田辺さん!?わぁ!また会えてうれしいです!」
<佐藤さんもいたね、ちょうどよかったー
ちょっと話があってー 光!入ってこないの?>
「あ、お話しなら私は席を外しますから…」
❨その必要はない 佐藤唯くんだね?
君に用事があってきたんだよ❩
「あっ…就職試験のときにいらっしゃった…」
❨ほう…?あの短時間の間のことだったのによく覚えていたね 賢い子だ 洋平の兄の高柳光といいます
今後も会うことになるだろうからよろしく頼みます❩
「佐藤唯です…よろしくお願い致します」
❨洋平、元気にしてたのか?❩
『あぁ…何か用か?』
❨式を挙げることになったんでね
唯くんの分の招待状を用意したから持ってきたんだ
2人で来てくれるね?❩
「あ…おめでとうございます!はい…ぜひ…」
『そうか そろそろいいだろ 仕事中だ』
❨また近いうちに呼ぶから 唯くん そのときに
ではまたな 洋平❩
「あ、はいっ 失礼します!
田辺さんおめでとうございます!…また…」
<ありがとー! 佐藤さんのゲストドレスも楽しみにしてるからね!またねー >
「はい!失礼します」
<光、おなかすいたーご飯食べて帰ろうよー>
❨あぁ…凛の好きなものにしような❩
…思っても見なかった兄の来訪に、心がざわつく
『ふぅ…行ったか』
「洋平さん…?」
『ゆい…少しだけ…こうさせてくれ』
「…うん」
俺はゆいを抱きしめていた
結婚式は…出席するけど…
近いうちに呼ぶってなんだよ
勝手なことを…
「…」
あ、ゆいが不安そうにくっついてくれてる
元気を充電できたことだしそろそろ売り場に行くか
『ゆい、ありがとうな』
「そばにいますからね」
『ゆいーーなぁ…』
ここにずっといたい…
「だめですよ!お仕事お仕事!」
『だよなー、行こうか
あ!そうだ!ドレス俺が選んでいい?』
「はい、お願いします!」
…ゆいにも話しておかないとな…
余計な心配をかけることになるかもしれないが
今夜、寝る前に話そう
【自宅】
『ゆい、聞いてほしい話があるんだ』
「はい」
俺は家の事情を話したんだ
両親は小さい時に離婚していること
父は10年前に亡くなっていること
母とも10年前に会ったきり一度も会っていないこと
先ほど会った7つ上の兄はうちの本社に勤めていて
人事部の課長だということ
最近、田辺さんから少しは兄の話は聞いていたが
基本的にあの家には関わりたくないこと
『ゆい…もしかしたら、暖かい家庭で育ったゆいには想像できないかもしれないが…
よく考えたら、結婚を申し込む前に話しておかなければならない話だったんだけど…
こんな俺でもそばにいてくれるか?』
「もう…わかってないんですから」
『え?』
「私が、そばにいたいんです」
『ゆい…』
「結婚してくれるんでしょう?忘れちゃった…?」
『する!しよう?』
「はい お願いします!」
「ありがとう、ゆい」
『洋平さん、私ね 洋平さんは暖かくて優しくて
素敵な人だと思ってるの
それなのに自分のことを"こんな"なんて言わないで
私が好きになった人なんですから』
『ゆい…』
そうだ、俺にはゆいがいてくれる…
それだけでいいんだ…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
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