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Notre histoireシリーズ  作者: おしるこ


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3/17

Notre histoire.2

【倉庫】


「チーフ?いますかー」

『こっちだよ!おいで』

「はい!」


『そっちの小さい台車のをこの棚に入れてくれる?日付、気をつけてね』

「はい!」

『そこ、段ボールがたたんであるやつが積み上がってるラックがあるから気をつけて』

「はい、わかりました」



「こっち終わりましたー」

『早いね、じゃあ…これはどこの棚に入れるかわかるかな?』

「えっと…あ!あの棚ですね?」

『うん、正解だ 入れてきてくれる?』

「はい!…え、あ、あ、チ、チーフ…」

『どうした?』

「あ、あの ここに、カマキリが…あの、こっち見てます…チーフ…あ、たすけて…」

『はは、貸してごらん とってあげるから』

「きゃあっ!!チーフ!こっちに…っ」

『おっと 大丈夫だから!落ち着いて…!』


腕にしがみついてくれてるのは嬉しいんだけど…

それじゃとりづらいよ…

君の肩に乗って俺のこと威嚇してるし…


『佐藤さん、ちょっと、待ってね……よし、大丈夫 とれたよ… こいつを放してくるから、待ってて』

「ありがとうございます…すみません」


可愛いよなぁ 本当に

もっとずっとくっついてていいのに


『ふぅ、お帰りいただいたよ 大丈夫か?』

「は、はい…すみません…あの…」

『ん?』

「抱きついてしまいました…すみません…」

顔真っ赤…可愛い あー可愛い 


『はは 大丈夫だから ね?

じゃあ、次は冷蔵庫に行くよ』

「は、はい!」


【冷蔵庫】


『寒いからこれ着て』

「ありがとうございます…あれ?チーフは着ないんですか?」

『俺は大丈夫だから』

「これ、チーフの私物ですよね?申し訳ないです!

チーフ着てください」

『気にしなくていいよ!女の子は冷やしちゃいけないっていうだろ?ほら あ!臭かったらごめんな』

「も、もぉ!そんなこと…ありがとうございます

チーフの匂いがします!

寒かったら言ってくださいね お返ししますから」

『はは わかったよー』


俺の匂い…って、臭いってことじゃないよな!?


『こっちは賞味期限がいつものより短いから気をつけてね メモが貼り付けてあるラックは動かさないように』

「はい わかりました」




『ふぅ、終わったね 寒かったろ 大丈夫か?』

「私は大丈夫です!上着があったので…ありがとうございました チーフは大丈夫ですか?」

『大丈夫だよ、じゃあ、これ片付けてくるね 

部屋で待ってて』

「はい、わかりました!」



あの子が着たんだよなー もう絶対誰にも貸さない


あ…俺やばいやつみたいだな…落ち着け…


佐藤さん待ってるから行こ…

あ、そうだ コーヒー買っていくか


【2階 洋平の部屋】


"ガチャ"『おまたせ』

「おつかれさまです、チーフ はい…って、あ!」


彼女の手にはブラックのコーヒーが…

『はは 気が合うな』

「同じこと考えてましたね!どうぞ!」

『ありがとう じゃ、はい  いつもの微糖ね』

「ありがとうございます ふふ あったかぁい」


本当に…癒されるな…

いつもそうだ

佐藤さんは 心を暖かく包んでくれるみたいな言葉

選びをする


相手のために何ができるかをいつも考えていて

見習うべき人でもあるんだよな


【2階 北村の部屋】    · · ·

[なにぼーっとしてんだよ チーフ]

『え?あ、平澤か 何か用か

特売設置お疲れ 残業大変だったな』

[おう つか、もう閉店30分前だぞ サボりかよ]

『え!?あ、そうか 今行く』

[なんかあったのか?めずらしい]

『あ、いや…』

[どうせ佐藤ちゃんだろ?あ、振られた?]

『なっ…!まだ振られてねーぞ』

[ふーん 早くしねーと誰かに横から掻っ攫われても知らねーぞー]

『お前なー』

[そういえば、さっき佐藤ちゃん青果のイケメンに飯誘われてたなぁ 楽しそうだったぞー]

『なに!?ちょっと行ってくる!』

[じゃあー俺は帰るからなー]


あーあ、聞こえてねぇな、ありゃ

 

…佐藤ちゃんのことになると冷静でいられねーのおもしれー 誘われてた、なんて嘘だけど



【売り場 洋平point of view】


『佐藤さん!』

「え?はい どうしました?」

『あ、いや…』


よく考えたらプライベートのことまで口出すなんて

よくないよな…話しかけちゃったぞ…どうするか…


「…チーフ?」

『あ…もうすぐレジ締めがあるから 一緒にやろうね』

「はい、わかりました!あの…チーフ」

『ん?』

「これ、あげます!…他の人には内緒ですよ」

『飴だね、いいの?』

「はい 元気がでるおまじないです!」

『…!……ありがとう』

「では、時間になるまでいろいろやっちゃいますね!」

『うん、頼むね』



元気がないように見えたのか…


いや…聞けないよなぁ

他の男と食事に行くのか?なんて


聞いたところで…俺の彼女でもないのになんにもできないもんな

はぁ 落ち着け…



「…これを事務所に持っていったら終わりなんですね!わかりました」

『うん 一緒に行く?あ、急ぎの用事とかがあれば、今日は大丈夫だよ 

持って行く機会は何回もあるからね』

「いえ、何もないですよ!行きましょう!」

『…え?』

「…?チーフ?」

『え、あ、行こうか』


あ、あれ?


【事務所】


{今日から佐藤さんが遅番なのねーよろしくねー}

「そうなんです!これ持ってきましたー

お願いします!」

{ありがとう おつかれさまねー}

「はい、おつかれさまです!」

『じゃあ、俺も帰るよ おつかれさま』

{はーい おつかれさまです}


『佐藤さん』

「はい」

『あー…終わったらちょっとだけ時間ある?』

「はい!」

『じゃあさ、支度終わったら部屋にきてくれる?』

「わかりました!」


【2階 洋平の部屋】


…約束してたんじゃないのか…?

あ!断ったのか…!?


もしかして、俺の誘いは

上司からの誘いだから受けてくれてるのか…!?

え、セクハラとか思われてたらどうしよう


"コンコン"「失礼します…チーフ?あれ」

"トントン"「チーフ?どうしました?」

『おわっ!あ、佐藤さん…ごめん 気づかなくて』

「あ、すみません え!どうしたんです!?」

『え?』

「泣きそうな顔してます…」

『あ、いや…あくびだよ はは』

「あくびでしたか!よかった…

あ、そうだ!なにかご用でしたよね?」

『あ、うん ちょっと佐藤さんの顔が見たくて』

「もぉーいつも見てるじゃないですか どうぞ!」

『はは どうぞ!って来るとは思わなかったな』

「チーフが元気になってくれるなら、こんな顔でよければいつでも見せに来ますね!」

『…ありがとう』


君がいいんだ、とか

君じゃなきゃ嫌だ、とか

ずっとそばにいてくれ、とか言えればいいんだけど


この関係が壊れると思うと…


『遅くなっちゃったね、送るよ』

「いえ、そんな申し訳ないです 

チーフの帰りがもっと遅くなっちゃいますから」

『いいんだよ 送りたいんだ』

「…ありがとうございます!お願いします」


これでいい これでいいんだ


【半年後】


もうあれから半年経つのか…早いもんだな


佐藤さんも無事に独り立ちして、今は他のみんなと変わらずに仕事をしている


同僚たちとも仲良くやってるようで、安心している


俺との仲も変わってないんだけど…ね



…ん?

『あれ?佐藤さん、なんかご機嫌だね?』

「わかりますか?今日も田辺さんがご飯に誘ってくれたんです!」

『…そう、楽しんでくるんだよ』

「はい!あ、そういえばこの特売リストのことでお聞きしたくて…」

『あぁ、それは……』




↷1時間前

"コンコンコン"<チーフ、今いいですか?>

『田辺さん 大丈夫だよーどうしたの?』

<異動の件なんですけど、まだみんなには黙っててもらっていいですか?>

『それは構わないけど…どうかした?』

<あ、今日佐藤さん借りますね>

『いやいや、なんでわざわざ俺に…』

<1時間で返します…異動の話はわたしからしたいの あの子の帰りが心配なんで、送ってあげてほしいんですよ>

『心配?』

<はぁ…佐藤さんのことはチーフの方がよくわかってるでしょー あの子は誰にでも当たり障りなく話せるけど、心を開ける人って少ないんだからー>

『あー…』

<普段だったら異動なんてどーでもいいんで、挨拶もせず去りたいところなんだけど…あの子といると

調子狂うんだよね ってことで、お願いしまーす>

『あ、ちょっと 田辺さん!』



行っちゃったよ…

彼女はこの通り 割とサバサバしている 

同僚たちと食事、なんてほとんどしないタイプだったみたいだが、佐藤さんとは馬が合うようだ

懐かれている、と言ったほうがいいかもしれないな


田辺さんの異動か…大丈夫かな…佐藤さん…


【駅】


言われた通り、1時間待っているんだが…


お!きたきた…

あれ?笑顔じゃないか…?

さすがに大丈夫だったか…


というより今さらながら何をやってるんだ!俺は…

まるでストーカーみたいじゃないか!

まぁ、大丈夫そうならよかった

田辺さんも帰ったし、そろそろ帰るか…  え!


おい、どうしたんだ!?

しゃがみ込んじゃったぞ!?


『ちょ、ちょっと佐藤さん!?』

「…え?チー…フ?」


顔を上げた彼女は大粒の涙を流していた…そうか…

見送るまで我慢していたんだな 

『こっちおいで』

「え?は、はい…」


とりあえず公園に連れてきた

駅前では、人目が多すぎる…


『どうした?』

「チーフ…田辺さんが…田辺さんがぁー」


何にもお役に立てていない、何もお礼ができていない…なんていいながら泣いている佐藤さんがいじらしくて…


俺は話を聞きながら泣き止むのを待った


この子は…本当に…


『よくがんばったな 田辺さんの前では笑顔で我慢したんだろう』

頭をなでる俺に、少しびっくりしてるようだった


「…あれ、チーフはどうして?」

『田辺さんに頼まれたんだ』

「え?」

『心配していたよ とても』

「そう、ですか…」

『ほらほら、泣かない泣かない…』

泣きそうになっている佐藤さんを落ち着かせた


「私、田辺さんにお礼がしたいんです…」

『じゃあ、一緒に選びに行こうか』

「え?でも…いいんですか?」

『俺もなにか選びたいからさ 休みの日に行こう』

「…はい!よろしくお願いします」


その後、申し訳ないです!という佐藤さんを家まで送って帰った



あの日から1週間…

佐藤さんはいつもと変わらずに過ごしている


今日は約束の日だ


食事を済ませ、プレゼントを選んだ

田辺さんは紅茶が好きなんだそうで、カップと茶葉を楽しそうに選んでいた


俺も田辺さんに紅茶に合いそうなお菓子を選んだ


楽しそうな佐藤さん、本当に可愛いな…なんて思いながら見てたのは内緒

プレゼントを選び終わって…


『あ、この後なんだけど…』

「はい」

『もし時間あるなら、俺にも付き合ってくれる?』

「もちろんです!どこか行くんですか?」

『いいとこ!』

「?」


電車で何駅か過ぎて…そろそろいい時間だな

着く頃には暗くなっていた


「わーーーっ……素敵…」

『よろこんでもらえたなら良かった』

「こんなに素敵な…連れてきてくれてありがとうございます」


今日のために良さげなところを調べといて良かった…


本当はさ

君を連れてきたかったんだ、とか

君と一緒に見たかったから、とか言いたかったけど…言えなかった


佐藤さんがイルミネーションを観てる横顔が

とても綺麗で…

"パシャ"

「え?」

『あ、ごめん!つい…ほら、よく撮れてる』

「わぁ…チーフ、写真撮るのお上手なんですね!

景色がすごく綺麗で…私じゃないみたい…」

『被写体がいいからだよ 

もう少しここにいようか?』

「あ…ではもう少しだけ…あ、あの…」

『ん?』

「あの…写真、私とも撮ってもらえませんか…?

おでかけの記念に…1枚だけでも…」

『…!もちろんだよ じゃあ、撮ろうか』

「ありがとうございます!」


まさか彼女からそんなふうに言ってもらえるなんて思ってなかったから驚いたが…

ちょうど、そこにカップルが来て、お願いして2人で撮ってもらった

お返しにカップルの写真も撮って…

お似合いですねー、なんて言われてドキドキしてしまった

あえて、カップルじゃないです!なんて否定はしなかったけど…


ケータイで撮ってもらった写真をメールで送って…

佐藤さんを家まで送って帰った


この写真…待ち受けにしよう…

ついでにメルアドもGETできたし

なんていい日なんだ…!

夢じゃないよな?なんてほっぺをつねってしまった


【田辺さん 最後の出勤日 唯point of view】


ついに…この日になっちゃった…

ちゃんとお礼を伝えて…

笑顔で見送らないと…よし!



「田辺さんっ」

<おつかれー泣かなかったね、えらいよ>

「田辺さんったら…あの、これ…よかったら…」

<ん?なに、用意してくれたの?ありがとう

…あ、この茶葉が好きなのよく覚えてたね 

ティーカップも可愛いし ありがとうね、本当に >

「いえいえ…田辺さん、いつも良くしてくださって本当にありがとうございました…あちらのお店に行っても元気でいてくださいね!」

"ぽんぽんっ"<ありがと!じゃーね!おつかれっ>

「おつかれさまですっ…」



『田辺さん、帰ったのか ちゃんと見送れた?』

「チーフ…はい!」

『これ、田辺さんが…』

「え?」

『気恥ずかしいから、俺から渡してくれって』

「コーヒーとカップが入っています…

私、お礼を言いに行かないとっ」

『今から駅に行っても間に合わないと思うよ…

それにさ、そういうの求めてないと思う 

いいんだよ、そのままで 

また近いうちに会えるさ』

「チーフ…」

『泣かない泣かない…せっかく我慢してたのにな』

「…はい」



『大丈夫か?』

「はい!もう泣かないです」

『よしよし じゃあ、帰ろっか 送るよ』

「そんな、大丈夫ですから…」

『俺が送りたいんだよ ほら、行くよ』

「はい…いつもありがとうございます」


田辺さんもチーフも、良くしてくれてありがたいな

カップ…大事に使わせてもらお…!

明日からさびしくなっちゃうけど…頑張るっ!

こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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