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Notre histoireシリーズ  作者: おしるこ


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12/17

C'est la femme qui porte la culotte.

【1997年12月】


はぁ…だっるーー

なんで私がこんなところに来なきゃならないのよぉ…


今までやってなかったらしいのに今年になって急に開催された"クリスマスパーティー"

…誰だよ、余計なこと考えたやつ!

全店舗・本社から何名かずつ集まってなんやらかんやら…

うちの店からは次の日が休みの私と早番2名が来ることになった 


はぁ…会費もないしごちそうやお酒が目の前にあるからまだいいけど…あーちょっと酔ったぁ

ねむくなってきたー早く帰りたい…

何時までいなきゃいけないの?これ…


{あれー?君、どこの子?俺たちと飲もうよー}

…めんどくせー、何人目だよ!

<いえ、私は…>

{ほらほら、こっち来て飲もうよー それとも抜け出しちゃう!?}

<ちょ、さわんな…>

❨やれやれ…ここはそういう場ではないのだが…?❩

{あ!!…す、す、すみません…失礼しますっ}


誰…この人?

❨大丈夫かな?まぁ、危なかったのは彼の方かもしれないが…❩

<え?>

❨投げ飛ばそうとしてなかった?気になってずっと見ていたんだ でもまぁ、ここで投げさせるわけにいかないもんでね(にっこり)❩


…嫌なやつー!!本社の人かな…

<…すみません>

❨いやいや それにしても…あれは□■店のやつらだな…ブツブツ… あ、僕はこれから帰るところなんだが、良かったら送って行こうか?❩

<…じゃあ…駅までお願いします…>


なんかブツブツ言ってメモしてた…こわー

原田さんと何か話してる…がたいでかー顔も怖いし

本社って強面しかいないの!?


ま、でも帰れるならラッキーとっとと帰って寝よ…


❨さ、乗って❩

<すみません…>

❨結構お酒は強いのかい?❩

<いえ、そこまででは…ちょっと飲み過ぎちゃいました>

❨何回もナンパされていたね…心配してたんだ❩

<大丈夫ですよーついていかないし>

❨そうか、それならいいんだ あ、そういえば……❩



なんかずーっとしゃべってるな…この人

眠くなってきた…やば…




ん…なんか、キスされてる、みたいな…?

きもちぃ…夢ー?…


……


<ん、…え?>

なにここ、どこ!?


❨あ、起きたかな?❩

<な、な、な、なんで…?>

❨駅についたときには眠ってしまっていてね 

何回も起こしたんたんだが…仕方なくここへ、というわけだ❩


服は…着てる なにしてるんだろあの人…仕事?

<…すみません…ご迷惑をおかけして…>

❨いやいや、気にしないでいいよ 

まとめなきゃいけない書類もあったんで片付けてたところだったんだ

あ、部屋に運び込む以外は指一本触れていないから

安心してくれていいよ❩

<あ、はい…あの、ありがとう、ございます…>

❨いや、いいんだ 君の"ご意見"はとても参考になったよ 君と話しているのは楽しかったからね❩

<え…私、何か言ってました?>

❨あぁ…誰が会社のやつと仕事終わった後まで仲良くしたいんだ、とか、こんなパーティー考えたやつ誰だよ、だったかな…?

目の前にその1人がいるわけだが(にっこり)❩


あ、終わった…


<…すみません、酔っていたもので…>

❨いいんだよ 僕に否定的な意見を真っ向から言ってくれる人なんてそうそういないからね

良かったらまた聞かせてくれないか?❩

<は、はぁ…>

❨それで、だ 終電は終わってるが、どうする?

車で送ろうか?それとも、もう少し眠ってから帰るかい?❩

<あー…じゃあ…もう少し寝ます>

❨わかった 僕はもう1つ部屋を取ってくることにしよう 朝になったら送るから❩

<ここで寝たら良くないですか?もう1つベッドあるし…っていうか、なにここ高そう…半分払います>

❨え!?いや、お金のことは気にしなくていいんだが…❩

<あ、そっか 既婚者とか彼女持ちだったらだめですよね すみません>

❨いや、そういうことではなくて…❩

<ん?じゃあよくないですか?なんかここ広すぎて1人じゃやだ>

❨はぁ…じゃあ…そうしよう❩


そのあと、結局寝ないでクリスマスパーティーとかその他いろいろな話をした

他店舗との交流の場を作ることが目的…とか言ってたから、そんなのいらなくない!?とか言っちゃった…


大丈夫かな…この人本社の人なんだよね…?

ちょっと言い過ぎたかも


【↷会場 光point of view】


❨原田くん…あの人誰かわかる?❩

❴あ、洋平くんのところの田辺凛さんですね

明日休みだから連れてこられたみたいですよ❵

❨そう…すまないが、そろそろいい時間だし先に帰ってもいいかな?❩

❴えぇ、もちろんです!❵

❨さっきの書類ある?月曜までにやってくるから❩

❴いえ、私がやりますから…❵

❨いいんだよ 明日は休みなんだ 終わったらゆっくりしてくれ じゃ、後は頼んだよ❩

❴承知しました❵


さっきから、何人かにナンパされているのを

引き攣った笑顔でかわしていたようだが、今回は

相手が引かないみたいだな…はぁ…

え?なんだあの構え…危ないな…彼が

❨やれやれ…ここはそういう場ではないのだが…?❩


――それが、彼女との"出逢い"だった


彼女は、僕のことを偏見の目で見ない人だった

この会社に勤め始めて、総務・経理・人事と本社畑を歩いてきた僕に、周りの人々はみな必要以上に気を遣って接してきていた

査定に響くだの、変なところに飛ばされるだの…

と噂されることも多い

僕がそんなことするわけがないのに


いくら酔っ払っていたとはいえ、

<誰だよ!あんなパーティ企画したやつ!ほんと

めんどくせー 考えたやつ暇なんじゃない!?>

なんて言い出したときは笑ったなぁ


僕の周りにはいないようなおもしろい子だ

あの時から、特別な感情が芽生えていたのだろうか


ただ、1つ…嘘をついてしまった

寝顔がとても可愛くて…思わずキスしてしまった

それ以上は断じてしていないが 

今日はダブルの部屋しか空いてなくて…

彼女が同じ部屋で、なんていうものだから

少し焦ったのは確かだ


<そういえば…今さらなんだけど、どちら様?>

❨高柳光、人事課に所属している 君は…田辺凛さんだね❩

<人事の人なんだー え、私の名前どうして?>

❨君の店には知り合いがいるもんでね❩

<誰のことだろ…>

❨チーフになった男がいるだろう?北村っていう❩

<あー!北村チーフの知り合いなんだ!>

❨原田くんもいるしね 明日が休みであることも確認済みだよ?❩

<こわー人事の力使ってるじゃん!うけるー>


…こんな具合なのだ おもしろい以外にないだろう?

普段は人事の鬼、なんて言い方されて怖がられているというのに

気を遣わない彼女と話しているだけで心が安らいだんだ


❨そろそろ明るくなってきたな 送ろうか❩

<ありがとうございます 近くの駅まででいいですよー電車走ってるだろうし>

❨ちなみにどこの駅まで帰るのかな?❩

<▲■だけど>

❨うちの近くじゃないか 家まで送ろう❩

<いいのー?ラッキー!>

❨はは おもしろい子だ❩

<そういえば高柳さんて何歳なの?>

❨…34だが❩

<意外に若いー変な貫禄あるよね ふふっ…顔怖いし

 ふっ>

❨聞こえてるぞ…❩


よく笑う子だ 可愛らしいなぁ


❨あ、もしあれだったら食事とかしていくかい?❩

<いいですねー!ラーメン食べようよ!>

❨朝からか!?❩

<いい店知ってるから!お礼にごちそうさせて!>

❨じゃあ…お言葉に甘えようかな❩


おいしいラーメンだったなぁ

朝からはさすがに食べたことはなかったが、

彼女は食べっぷりがよくてずっと見ていたいくらいだった 

お金を払おうとしたんだが、頑なに受け取ってもらえなくてごちそうになってしまった


どうしてこんなに若い子が朝までやってるラーメン屋を知っているのかは興味があるところだが…


そこから半年くらいは彼女に会うことはなかった

家まで送ってはいったが…連絡先も聞けなかったし、

さすがに家まで行くのは気が引けた

僕は4月から課長になり店舗に回ることもなくなってしまったし…


それでも、どうしても会いたくなってしまった


❨原田くん、今日の店舗回り、僕が行ってこよう❩

❴え?課長がですか?❵

❨あぁ、たまには自分で回って見てくるよ 洋平にも話があるし❩

❴…承知しました よろしくお伝えください❵

❨あぁ こっちのことは頼んだよ 何かあったら連絡してくれないか❩

❴はい、承知しました お気をつけて❵


休みかどうかは確認してはいなかったが…

縁があればいるはず…いなかったら諦める


【2階 洋平の部屋】


『…なんで兄貴が来るんだよ 拓真が来ると思ってたんだけど』

「

❨たまには自分でも回ってみようと思ってな 

これ、書類な 

あーそれより、田辺さんを呼んでくれないか?❩

『え?なんで?異動か何か?』

❨いや、意見が聞きたいことがあってね 出勤しているか? いるなら会議室を借りよう❩

『…田辺さんに…?わかった…呼んでくるから会議室で待っててくれ』


いるのか…

良かった…休みじゃなくて


会議室で待ってようか


【凛point of view】


はぁ…レジ交代させられたんだけど…

しかも"課長"だったの!?聞いてないんだけど…


"コンコンコン"<高柳さん…>

❨あぁ、仕事中にすまない ちょっと聞きたいことがあってね❩

<あのー…>

❨ん?なんだろうか?❩

<私レジやってたんですよ 本社の方も忙しいかもしれませんけど、店舗には店舗の仕事があるの

レジを交代するってことは、もう1人迷惑被るってことなんだから、もうちょっと考えてください!

❨あ…❩


あ、やば、言い過ぎた…

❨…すまない、確かにそうだな

これから訪ねるときは前もって知らせてからくることにしよう また1つ教えてもらったな 感謝する❩

<あ、いえ…言葉が過ぎました>

❨いいんだ また会えてよかった❩


笑ってる…怒ってはなさそう?なんかメモってるけど<あ、あのーそれで、今日は…>

❨連絡先が聞きたくてきたんだ❩

<…はい?>

❨このままではいつまで経っても君に会えないからね わざわざ北村を通すわけにもいかないし❩

<そんなことでわざわざ…?>

❨こうでもしないと、会えないだろう?❩

<はぁ…>

❨…怒ったのかい?❩

<そんなことで!わざわざ!人事部の課長が来るなんて!少しはこっちの影響も考えて!

言ってくれれば私が本社にでも行ったのに!

っていうか家知ってるじゃん!忘れちゃったの?>

❨す、すまん…迷惑をかけたんだな…いや、家はさすがに行けないだろう…?❩

<…ケータイ貸して>

❨あ、あぁ❩


<番号、アドレス、入れときましたから!>

❨ありがとう 連絡してもいいのかな?❩

<どうぞ!水、土は休みだから!>

❨あぁ、わかった❩

<じゃあ、私は行きますね

どーせいろいろ聞かれるから理由考えとかなきゃ…>

❨あ、あの…!❩

<ん?>

❨早番だろう?食事に行かないか?❩

<行く!じゃあ、またあとで!>


その後売り場に帰ったら人事の課長がわざわざなんの用だったの!?って大変だったー

てきとーに誤魔化しといたけど…

でも、まさか連絡先を聞きに来るなんて…

厄介な人に、気に入られちゃったかな…?


【出入口】


❨おーい こっちこっち❩

<…お疲れさまです>

❨あれ、なにか不機嫌かな…❩

<高柳さんって見かけによらずマメなんですね

返信めっちゃ早いし…もしかして暇なの?本社って>

❨なっ、そんなことはないぞ?これでも返信は少なくしている方なんだが…迷惑だったか?❩

<そんなことないけど…売り場にいたら返信遅くなっちゃうから、気になって…>

❨返信は気にしなくていい 仕事中なのはわかっているからね❩

<うん…あ、お腹すいたー>

❨何食べようか 君の好きなものでいいよ❩

<うーん…肉!がっつり食べたいっ>

❨ははは そうか、じゃあ…ステーキがいいかな

行こうか❩

<やったぁー>


肉ー!楽しみっ!

高柳さんならいいとこ知ってそうだもんねー


❨何グラムにする?❩

<300!>

❨いいね ライス?パン?❩

<あ、ここ石窯のパンなんだ…ほんとはご飯で食べたいけど…パン!>

❨OK ソース、選べるよ❩

<デミグラスソースにする!>

❨じゃあそれで頼もう 飲み物何にする?❩

<アイスティー!>


石窯パン…好きなんだよね…楽しみっ


❨あ、ご飯少し食べてくれないか?❩

<ん?いいのー?>

❨あぁ、小皿もらってあるから❩

<ありがと!お肉には米だよね!>

❨いい顔して食べるなぁ…❩

<ん?なんか言った?>

❨いやいや、おいしいだろ?ここ❩

<うん!おいしいー!いつもこういうところでご飯食べてるの?>

❨たまに、かな❩

<ここ、おいしいけど…女連れではあれじゃない?>

❨…なんで女連れになるんだい?❩

<ん?違うの?モテそうなのに>

❨君は、僕が会社でなんて言われてるのか知らないのかな…?❩

<ん?なんて呼ばれてるの?>

❨人事の鬼、だよ 女性なんてほとんど寄ってこないが?❩

<あ、確かにー顔怖いもんね うけるー>

❨そういう意味ではないと思うんだが…❩


へぇー高身長エリートイケメンなのにもったいない


【光point of view】


え、もしかして"鬼"ってそういう意味なのか…!?

彼女から、たまに顔が怖いという発言があるが、

本当のところはどう思ってるんだろうか

もしかして、この食事も無理して来てくれてるのか…?


<高柳さん?>

❨え?❩

<おいしいお肉、冷めちゃうよ?>

❨あ、あぁ…❩

<あ!パン、食べる?おいしいよ?>

こ、これは…あーん、てやつか?

え、ど、どうしたらいいんだ…

<ほら!>

❨あ、あぁ、いただくよ❩

<ちがう>

❨え?❩

<あーん>

!!!!!手を出したらそう言われてしまった

や、やるしかないのか…

❨あーん……あ、おいしいね、ここのパンは初めて食べたよ❩

<そうなの?もったいないー 石窯で焼いてるんだもん おいしいに決まってるのに!>

❨パン、好きなのかい?❩

<石窯パンは好き 普段は米がいいから>

❨そうなのか 今度そういうパン屋さん行こうか❩

<探しといてくれるの?ありがと!やったー>

❨…君はさ❩

<ねぇー君、君ってさー 凛っていう名前があるんだけどー>

❨あ、すまん…凛さんって名前?名字じゃなくて?❩

<いいよ あとさんいらない>

❨わ、わかったよ 凛❩

<うん、それで?なに?>

❨あ、凛は、こうして僕と食事に来てくれるのは、

その…無理してないかい?❩

<してないから来てるんだよ>

❨そ、そうか…良かった…❩

<気にしてるんだ?見かけによらず…ふふっ…>

❨聞こえてるぞ❩

<おもしろいねー高柳さん>

❨そ、そうか?❩

<うん!ふ、ふふ…>


まだ笑ってる…

でも可愛いなぁ…たくさん食べてたくさん笑って

何かあったら叱ってくれる 良い子だ


<ねぇー>

❨ん?なんだい?❩

<フルネーム、なんだっけ>

❨光、だよ 高柳光❩

<そっか じゃあー光!本社は土日休みだよね?>

❨あ、あぁ…❩


名前で呼ばれるとは思ってなかったから、少し驚いたけど…全然嫌じゃないな

むしろ、自然な感じすらする


<金曜の夜から会わない?>

❨え?あ、あぁ 空いてるから構わないけど…

から、っていうのは、つまり…❩

<うん お泊り!>

❨!!!!な、まだ付き合ってないんだぞ!?❩

<え?1回してるじゃん>

❨あ、それは…❩

<たくさん話したいし!だめなの?>

❨いや、駄目では…ないが❩

<決まりねーうち来る?>

❨え!?❩

<毎回、あんな豪勢なホテルじゃ金欠になっちゃうよ!うちおいでよ>

❨あ、あの、凛?❩

<ん?>

❨他の人もそうやって呼んだりしてるわけじゃないよな…?❩

<するわけないでしょ!スケベ!>

❨!!!す、すまん…❩


いちいち言葉がおもしろいけど…ちょっと展開が早いような…

凛の部屋にお邪魔するのか…

僕だけなんだよな こんな想いしてるの 

彼女はあっけらかんとパンを頬張っている


はぁ…


<おいしかったぁ…ごちそうさまー光!>

❨どういたしまして おいしかったな

じゃあ、送ろうか❩

<ありがとう!>

❨さぁ行こ…ん?どうした?❩


裾を引っ張られている

<コンビニ寄って?>

❨もちろんいいよ 何かいるのかい?❩

<ん?部屋寄ってくでしょ?飲み物とか買う!>

❨え!?❩

<まさか寄らないで帰るつもりなの?>

❨あ、いや、部屋は金曜に伺うんじゃないのか…?❩

<今日も伺ったらよくない?>

❨は、はい…❩


すでに彼女の尻に敷かれている感じがする

これ、まだ付き合ってないんだよな?当たり前だけど…


今の若い子って、みんなこんな感じなのか!?


❨お金、いいのに…❩

<お肉ごちそうになったんだからいいの!>

❨そうか?ありがとう❩

<さ、入ってー光>

❨あ、お邪魔…します❩

<ここ座ってー>


あ、女の子の部屋って感じがするな

いい匂いがする…

<ねぇ、もしかしてさ>

❨ん?❩

<女の部屋入るの初めて?>

❨あー…そうだなぁ❩

<へぇ?モテそうなのに 初体験なんだ!>

❨(咳払い)❩

<うける ふふ…>

❨凛は、何回かあるのかい?こういうこと❩

<気になる?>

❨ま、まぁ…❩


…男何人も連れ込んでるとか、僕は嫌だぞ!?

<へぇー?気になるんだぁ>

❨そ、そりゃ、そうだろう…?❩

<光が初めてー>

❨そ、そうなんだ!❩

<光…いちいち顔に出るじゃん…ふ、ふっ…>

❨悪かったな…笑いすぎだぞ、凛❩

<それにしてもどうして怖がられてるんだろーね?

こんなにおもしろくて人間味があるのに>

❨さぁなぁ…❩

<もしかしてさ、嫌いなやつとか飛ばしたりすんの?>

❨あのなぁ…そんなことするわけないだろう?❩

<だよねーそんな感じじゃなさそう…あ!!>

❨ん?❩

<私のことナンパしてきたやつら、どうしたの?

なんか、あの時ブツブツ言ってなかった?>

❨何もしちゃいないよ メモはしたけど❩

<うけるー何かあったら飛ばすんでしょ?ふふ…>


嫌な顔して笑ってるぞ…

僕のことをどんなやつだと思っているんだ…


❨まったく…そんなことしないから❩

<えーつまんない!しちゃえばいいのに ふっ…>

❨じゃあ❩

<ん?>

❨凛のこと、無理やり僕のものにしちゃおうかな❩

<…もうしてるじゃん?>

❨へ?❩

<彼氏でしょ?私の>

❨え!?なんでそんな展開に…❩

<だって、光、どう見ても私のこと好きだし?>

❨や、そ、それは、そう、なんだが…❩

<じゃあ、決まりー!>

❨凛はそれでいいのか?❩

<いいよ!光 おもしろいし!>

❨僕のことを好きか?って聞いている❩

<たまに見せるその目と声も好き>

❨!!なっ!❩


おちょくられているのかと思ったけど…どうやら違ったらしい…

告白もまだしてなかったのに、凛が彼女になった


今の若い子って、みんなこんな感じなのか!?


<光、泊まっていけばいいのにー>

❨や、着替えもないし 帰るよ❩

<…帰っちゃうの?>

❨う…❩

<朝、家寄ればよくない?近いんでしょ?>

❨ま、まぁ、たしかに、近いが…❩

<じゃあ決まりー!>

❨…明日5時には起きるぞ?❩

<嘘、早いっ>

❨起きれそうにないだろ?な、今日は帰…❩

<見て!めざましつけといた!>

❨いや、いいよ!凛は休みなんだ、ゆっくり起きたらいいんだから❩

<帰っちゃったら…さびしいなぁ…>

❨はぁ…わかったから!❩

<ふふ、ふ…>

❨凛…❩

<んー?>

❨僕は、凛のこと好きだぞ❩

<知ってる!>

❨…!!❩


本当におもしろい子だ

でも驚いたな…僕のことを好きな素振りなんて全然見せてなかったのに…

もしかして、ドッキリでしたー!なんて言い出すんじゃないだろうな…


【凛point of view】


光は全部顔に出る

私のことが好きなことも、なにかの発言に不安になることも手に取るようにわかる

きっと、この人には私がいなくちゃだめなんだろうと思った


今も、少し不安そうな顔をしている

自信持てばいいのに…人事の鬼、なんでしょー?


<光!>

❨ん?❩

<ん…>

❨ど、どうした?❩

<いいから!…ん…>

❨んっ…ん、❩


あ、この感じ…あの時の…気持ちい感覚みたいな…

このキス、好き


❨っ…どうした?❩

<ねぇ、もしかしてさ?あの時、キスした?>

<あ>


わかりやすー!すぐ顔にでるじゃん!!

可愛いなーこういうとこ 顔は怖いけど


<やっぱりなー…>

❨あ、凛…ごめんな、つい…❩

<私、光のキス好きよ>

❨!!!❩

<もう1回…>

❨ん…❩

<んん…>


うん、やっぱり好き

頭がぽーっとするような…


❨凛、すまん…これ以上すると我慢できそうにない❩

<さすがに、初めてはまだの方がいい?>

❨そりゃそうだろ❩

<そっか…うん!じゃあ、今度にしよ!>

❨う、うん…❩


遅かれ早かれするのに…なんのこだわりなんだろ?

あんまり女性経験とか多くないのかな

顔怖いもんなー 光

私は好きだけどー


【光point of view】


いつもだったらぐいぐい押してくるのに

急に引くんだよな…

彼女はこういう駆け引きのようなものがうまいのかもしれない

いや、今回は引いてくれて良かったのだが…


<光、楽しいけどそろそろ寝よっか 明日早いし>

❨あぁ、そうしよう おやすみ❩

<おやすみー!>


…眠れない…となりで彼女が寝息をたてている…

はぁ…明日仕事なのに…

初めてのことかもしれない

昔…若い頃にちょっと遊んだ子が何人かいたんだが

眠れなかったことなんてなかったもんな…

そんな遊びもそのうち卒業したけど…


凛は、すんなり寝ている…

やっぱり僕だけなんだよな こんな想いをするのは


それにしても可愛いなぁ…

凛は、口元が なんていうか…ちょっとセクシーな気がする

この間も、その口元を見てたらキスしてしまった


僕とのキスが好きだと言ってくれた

そんなこと言われたのも初めてだ…


そんなことをぼーっと考えてたらいつの間にか寝ていたようだ


"ジリリリリリリリリリリリーン"

❨おわっ!!なんだ!?❩

<ん、ひかるー めざまし、とめてぇ>

❨あ、うん…あ、5時か…❩

<おきたぁ?>

❨うん、起きたよ 凛はもう少し寝ているといい❩

<ん…あ、ひかるー…>

❨ん?❩

<そこの左の引き出しあけてー>

❨い、いいのか?…あけたぞ?❩

<カギ、あるでしょー?>

❨うん❩

<それでカギ閉めてってー>

❨わかったよ ポストに入れておくから❩

<不用心!持ってって!>

❨いや、でも…❩

<そのカギで誰かが入ってきて私が襲われてもいいのね?>

❨そ、それは駄目だ!❩

<うん 持ってって>

❨わかった…じゃあ、行くよ ありがとうな

ゆっくり休んで おやすみ❩

<…うんー>


靴を履いて、ドアを閉めて…


<あ!光!>

❨え?❩

<忘れ物!>

❨ん?何か忘れたか…?❩

<ん、んんっ…>

❨んんっ…っ、凛、このために起きてきたのか?❩

<もちろんっ>

❨…じゃあ、ほら、鍵返すから 閉めてくれ❩

<やーだ じゃあねーおやすみー>

❨あ!凛…行っちゃったよ… 

閉めていくか…おやすみ❩


鍵を閉めて… 金曜日に返そう…


さ、仕事だ…元気もでたし、着替えて行くかー


【本社 人事課】


❨おはよう❩

❴課長、おはようございます あの、課長…?❵

❨なんだい?❩

❴…なにか良いことでもありましたか?❵

❨あー…気にしないでくれ 原田くんはよく気がつくなぁ❩

❴いえ じゃあ、店舗回りして来ます…

伝言などはありますか?❵

❨大丈夫だ、ありがとう 気をつけてな❩

❴はい!行って参ります❵


伝言、とは洋平に対してだ

原田くんと洋平は同期だ

その関係でいつも気を配ってくれている


あ、メールが来てるな


"カギ閉めてってくれてありがとー!そのカギずっと持ってていいからね 

寝不足だろうし、無理しないようにね"


"いいのか?じゃあ…大事に持っておく

ありがとう、凛もゆっくりな"


ずっと…か 

なくさないように、キーケースにつけておいた


【本社 駐車場】


あー!今日は忙しかった…定時過ぎてしまった

ちょっと疲れたぞ…


<光!>

❨え!?凛!?どうした?❩

❨顔が見たかったから来ちゃった!❩

<朝までずっと一緒にいたのに…?うれしいよ 

ご飯でも食べようか>

❨うん!❩


一気に元気がでた

わざわざ本社まで来てくれるなんて…


❨どのくらい待ってたんだ?❩

<さっき来たとこだよ?>

❨そうか、でも危ないからあまり外で1人は…

あとそういうときは連絡くれたら…むかえに❩

<いいのー!ね、おなかすいたよー>

❨あ、そうか…何食べる?❩

<ラーメン!>

❨あぁ、そうしよう❩



<ここのラーメンもおいしいねっ>

❨気に入ってくれたなら良かった!ほらチャーハンも半分食べるか?❩

<食べるー!>

❨凛は細いのにどこにそんなに入るんだ…?❩

<んー?胸かな?>

❨ゴホッ、ゲホッ…❩

<ふ、ふふ…っ>

❨笑いすぎだぞ…凛❩


まったく…

でもまさか会いに来てくれるなんて思ってなかったから本当にうれしかった


外で待たせるのは心配だが…


それから、凛を車で送って帰った

今日も〚帰っちゃうのぉ?〛って言われて

次の日また5時起きしたんだが…


【金曜日 凛point of view】


"すまん 19時過ぎるかもしれない ちょっと待っててくれ"


"はーい 気をつけてね"


"19時半になりそうだ、外だと心配だからどこか店にでも入っててくれないか"


"大丈夫だよー 待ってる"


あと20分くらいか ちょっとうろついてよっと


{あれーお姉さん1人?俺と遊び行かない?}

<今から彼氏来るから行かない>

{待ち合わせてるんだー 来るまで飲もうよ!}


はぁーめんどい シカトしよ…


{へぇーシカトするんだ?}"ガシッ"

<いっ…>

{ほら、来いよ 車あるし 遊びに行こうぜ}

<嫌だって…>

❨おいっ!!何をしている!❩

<光っ>

❨凛!❩

{あれが彼氏?なんかおっさんじゃね?もしかしてエン…}

<…んなよ>

{え?なんか言った?}

<ふざけんなって言ったんだよ!このクソガキ!>

"ダーーーン"

❨…え❩

<あ、ごめん 投げちゃった>

❨凛!怪我はないか?

<ない>

{おい!どう見たって俺のがやばいだろ!!}

<ごめーん 痛かった?(にっこり)>

{ひっ…}


【光point of view】


❨あっ、行ってしまったな❩

ナンパは凛に近寄られたら走って行ってしまった

投げ飛ばされた時の怪我などもなさそうだな…


それにしてもあの投げっぷり 綺麗だったなぁ…


❨なぁ、やっぱり心配だ❩

<なにが?>

❨何がって…ナンパもされるし…凛可愛いんだから❩

<だいじょーぶだってー心配症なんだから>



でも凛に何かあったら…

いっそのこと、本社に呼ぶか?そうしたら行きも帰りも一緒にいられるし…


【凛の部屋】


❨なぁ、本社で勤務する気あるか?❩

<絶対に嫌!>


…一瞬で拒否された


<店員になりたくてこの会社に入ったの!>

❨そ、そうか…一緒に行き来できるなーなんて思ったんだが…❩

<嫌よー職権乱用しないでよねー>

❨すまん…❩

<大丈夫だよ、心配しなくても!>

❨凛…❩

<それよりさ、せっかくのお泊まりなんだよー?>

❨ん?何かしたいことでもあるのか?❩

<えっちなことしちゃう?>

❨こ、こら、凛!!❩

<普通逆だよね、これ…>

❨きゃあー襲われるーっ❩

<声ひくー ふっ…やめてよ!笑わせないで!>

❨まったく…ムードもなにもあったもんじゃないな❩

<したかったらしてもいいよ?>

❨な、何を言っている…!❩

<ふ、ふふ…>

❨笑いすぎだぞ…❩


その後も石窯パンの店を見つけた話をしたりテレビを見たり、本当に楽しい時間を過ごした


ん…ひかるー>

❨あ、眠いのか…そろそろ寝るか?❩

<すー…すー…>

❨寝ちゃったか…ベッドまで連れて行こうか

よっ…と❩


軽いなぁ あんなに食べるのに…<んー?胸かな?>

はっ!駄目だ!…意識すると…やばいな…


<ひ、かる…>

❨…凛…❩



<………

「機嫌直してくれよ…」

〚……ふんっ〛

❨凛ー❩


我慢して、そのまま寝ようとしたら…

寝たフリしていたらしい凛のご機嫌が悪くなって…


<いいもん…どうせ色気ないもんね…>

❨や、ちがっ そんなことはない!❩

<…ほんと?>

❨あぁ!ずっと我慢してるんだぞ❩

<ふふ、光…しよ?>

❨っ…あぁ…❩


ーーーーー


ふぅ…姫はご満悦で寝ている

しよ?は反則だよな…

本当はもっと時間をかけてと思っていたのだが…

可愛いなぁ…髪を撫でながら 僕も眠りについた


【2000年3月】


<ねぇー今度連休取ってどっか行こうよー>

❨旅行か、どこにしようか❩

<温泉!>

❨温泉いいなー❩

<混浴にする?>

❨ばっ!!!他の男に見られちゃうだろう!?❩

<あはは 冗談だってー顔怖いよ>

❨…まったく…❩


付き合って2年を超えた

凛と過ごすのは本当に楽しい

そろそろ、結婚とか考えてるんだが…

記念日にプロポーズしようかな


<ねぇ、光>

❨ん?どうした?❩

<結婚して?>

❨へ?❩

<私と結婚してって言ったの>

❨や、そういうのは、僕から…❩

<混浴とか言ったらさ 他の女に光のこと見せるの嫌だって思っちゃった 私だけの光でいてほしい>

❨…凛…ありがとう うん、結婚してください❩

<うん!婚約者ってのもいいね!>


機嫌良さそうにしてるからいいか…

プロポーズ…僕からしたかったんだが


あ、でも婚約か…

あの話をしておかないといけないな


<凛、僕の家族に会ってくれないか?>

❨うん!うちにも来て!❩

<あ…ご挨拶に伺わないとな…わかった>


あいつにメール…と


【ある日】


<え?なんでこの店に来たの?>

❨…すぐにわかるよ❩



『…え!?兄貴の結婚相手って田辺さんなの!?』

<チーフが弟ぉ!?>

❨…そういうことだ よろしく頼む❩

『いつ知り合ったの?』

<ほら、ちょっと前にあっただるいクリスマスパーティーあったでしょ?>

❨凛、だるいはやめような❩

『あー…あの時なんだ へぇー

あ!兄貴が店に来たのもそれか!?』

<そうそう 気に入られちゃって、ね?光>

❨あ、あぁ…❩

『そうか…じゃあ、そろそろ行くよ』

「

❨洋平、またな❩

『…あぁ』


<ねぇ、チーフと仲悪いの?>

❨…そうだなぁ 良くはないかもしれないな❩

<そっかー 光、ほら デートの続き!>

❨あぁ、行こうか❩


まぁ、結婚式とかはもう少し後になるが…

お互いの家族に挨拶も済ませて、

一安心、というところか


【2000年12月】


<そうだ、この間話してた可愛い子いたでしょ>

❨どんな子だっけ?❩

<光の弟のお気に入りの、佐藤さん!>

❨あぁ、洋平の…めずらしいよな、凛が店の人の話するなんて❩

<あの子に似てるのよ…頑張り屋で、人懐っこくてね…可愛い子が生まれてね もう2歳かな?>

❨優奈さん、産休から復帰したんだもんな…そうか 優奈さんは同期だったな?❩

<そうそう どちらにも懐かれちゃってねー

悪い気はしないわ>

❨良かったなー凛❩

<ねぇ、さすがに女の子にはヤキモチ妬かないわよね?>

❨当たり前だろう❩

<そういうやつがいるのよー…うける 

あ、佐藤さんにこれもらったの!可愛いでしょ>

❨あぁ 凛が好きそうなカップだ よかったな❩


見覚えのないカップだな、とは思っていたが…

プレゼントだったのか


女性にまでヤキモチ…っていうのは、その流れからすると洋平のことなんだろうな…


<でもよく似てるよねー>

❨洋平のことか?❩

<うん 好きになった人との年の差も変わらないしヤキモチ妬きで、好きな子にはグイグイ行くし>

❨そ、そうか…❩

<光の弟ってわかってから、よく見てるんだけど

おもしろいのよ やっぱり兄弟ね>


なんだか気恥ずかしいな…

凛は人をよく見る子だ

その彼女もとてもいい子なんだろう

今度会いに行ってみるか…


<光!おいしいねーここのパン屋さん

また買いに行こ!>

❨そうだな…❩

<ん?どしたの?>

❨あ、いや…こうしてずっと凛のそばにいたいなぁって思ってただけだ❩

<いるよーずっと>

❨そろそろ式、あげようか 籍も入れよう❩

<うん!高柳凛かー 悪くないね!>

❨うんうん❩

<役所行こ>

❨え?今から?❩

<善は急げー>

❨はは わかったよ❩


これが僕たちの愛の形なんだ

人事の鬼が彼女の尻に敷かれているのも悪くないよな?凛


タイトル〘C'est la femme qui porte la culotte.〙

訳:夫が妻の尻に敷かれている


         Notre histoire.凛×光編 Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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