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Notre histoireシリーズ  作者: おしるこ


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11/17

Kalanchoeを君に

【2002年11月】


もうこの時期か…懐かしいな


君は覚えているかな?

3年前のこの時期に俺たちは会っているんだよ 



"ドンッ"❲あっ、すみませんっ…よそ見していて…❳

《大丈夫…?》

❲はい、大丈夫です!あっ、すみません、書類が…❳

《いいよいいよ、気にしないで 

ごめんね、拾ってもらっちゃって ありがとう

それより、急いでるんじゃないのかな?》

❲あっ…すみません、迷ってしまって…

あの、良かったら会議室がどこにあるのか教えていただけませんか…?❳

《いいよ、こっちだよ》

❲すみません、ありがとうございます!❳

《筆記はうまくいったんだね?》

❲あ、はいっ ギリギリだったかもしれませんが…

面接を受けられることになりました!❳

《そっかそっか 面接は練習してきたの?》

❲はい…でも、ちょっと緊張してしまっていて…❳

《そういうときはね、温かい飲み物を飲んで深呼吸するといいよ》

❲!!ありがとうございます!やってみます!❳

《あ、ちょうど自販機があるから…何飲む?何でもいいから押して》

❲あ!そんな…初めてお会いしたのに…何から何まですみません…ありがとうございます❳

《いいんだよ 後輩になるんだから》

❲あ、でも結果がまだ…❳

《なるよ!自信持って!接客業なんだから、笑顔でやってごらん》

❲はい!ありがとうございますっ!❳

《うん!いい笑顔だ さ、ここが控え室だよ 

時間になったら呼ばれるからね 頑張っておいで》

❲本当にありがとうございます!頑張ります!❳



あの時の笑顔は、今でもよく覚えている

そして、君の合格を知って、次に店舗で会えたとき

すぐに分かったんだ


あの子だって


君は忘れちゃってるかもしれないけれど

それから、君のことを見る度にお近づきになりたいなーなんて思っていたんだよ

何回も店舗ですれ違ったりしていたのに

それでも声をかけられないままあの日を迎えたんだ



❴おまたせぇー♪あ、君は…❵

「あ、拓真さん、私の友だちなんです 

連れてきちゃいました」

さ、桜井紬です…急にお邪魔しちゃってすみません…

❴知ってるよ 桜井さんのことは

ご飯はみんなで食べたほうがおいしいからね

俺は原田拓真っていうんだ よろしく頼むね❵

ありがとうございます!よろしくお願いします!



友達の洋ちゃんとその彼女の唯ちゃん

そして、君 桜井紬さん

ずっとお近づきになりたかった君が まさか目の前に現れるなんて思ってもみなかったから

本当に驚いたよ


その日は、俺から送っていくよって提案して、

メール交換したんだよね

何日かメールして、電話するようになって

デートに誘っておでかけして


君と一緒にいられる日が増えていって

毎日が楽しくなった

君のおかげだよ、ありがとう


あの頃ね、唯ちゃんに相談したかったんだけど、

なかなかタイミングがなくてね、

でも、洋ちゃんや裕貴にも話せなかったから…


そんなときに、君が唯ちゃんに言ってくれたんだってね

俺のことを紹介してって


その一言がなければ俺達はまだ仲良くなってなかったかもしれないから…


セッティングしてくれた2人にも感謝してる


ねぇ、紬

君は俺と一緒にいて良かったって思ってくれているかい?



❲たっくーん!おまたせっ❳

《紬、おはよう》

❲遅くなっちゃってごめんね!

洋服選ぶのに時間かかっちゃった!❳

《いつも可愛いのにー

大丈夫だよ そんなに待ってないから 

さ、行こうか》

❲うん!❳


❲ねぇ、たっくん?❳

《ん?どうした?》

❲いつもの話し方でいいんだよ?❳

《…はは そうだね》

❲わたし、たっくんが好き どんなたっくんでも好き❳

《ありがとう…紬》

❲この間はごめんなさい うちの両親が失礼なことを言って…❳

《いいんだ 当然だと思うよ》

❲当然じゃない!❳

《紬…》

❲わたしが好きになった人だよ なのにあんなこと…信じられないよ…❳

《紬、そんなこと言ってはだめだよ》

❲だって…❳

《ご両親はね、君のことが大事だし心配しているだけなんだ

悪く言ったらいけないよ》

❲たっくんのことを悪く言われてもガマンしろっていうの?わたしの好きな人なのに…❳

《紬がそう思ってくれるだけでいいんだ ね?》

❲たっくん…わたし、決めた!家を出る❳

《紬!》

❲たっくんと一緒にいたいよ…❳

《…ありがとう 気持ちはうれしいよ 

でもね 

それをしたら、きっと後悔するから》

❲しないもん!わたし…❳

《君は優しい子だから、きっと後悔するんだ

どうしてあの時家を出たんだろう、って》

❲…そんな…❳

《まだまだ時間はたくさんあるんだ ゆっくりお話しさせてもらおう?ね?焦らなくていいんだ》

❲たっくん…❳

《さ、今日はせっかくゆっくりできるんだから、

楽しもうね》

❲うん…❳


2週間前、紬のご実家にご挨拶に伺ったんだ

その時、俺の風貌や話し方を見て

ご両親が大反対してね

紬は優しいから 俺をかばってくれたんだけれど

そのせいで、ご両親との仲がこじれてしまったら

申し訳なくてね


どうしようかと思っている

別れるかこのまま付き合っていくか


もちろん別れたいわけではない

でもね、ご両親の気持ちも分かるだけに…


このまま、紬と付き合っていていいものか

悩んでいる

紬には、時間はたくさんある、とは言ったけれど…

その時間をかけさせてもらえるかどうか…

何回も会っていただけるのだろうか


紬には、他に相応しい人がいるんじゃないか、

なんて思ってしまう自分もいる


困らせたくないし、迷惑もかけたくない

君の笑顔をずっと見ていたいのに、

俺が曇らせてしまっているのが辛い


どうしたら、いいんだろうな…


❲くん…たっくん?❳

《ん?どうした?》

❲考え事…?もう着くよーさっき言ってたコンビニ❳

《あ、ほんとだ ぼーっとしちゃってた 

あっ、寄っていこうか》

❲うん!デザート食べたいっ!❳

《いいぞー好きなの選んでいいからね》

❲ありがと!行こー!❳


今日は俺の部屋に連れてきたんだ

今まで外でしか会ってこなかったから、

紬がどんな部屋か見てみたいって言い出してね

たいした部屋でもないんだけど…

一応掃除はしてきた


これこれ、紬はフォミマのクリームデニッシュが

好きなんだよね

俺のも一緒に買って、部屋まで連れてきた


《さ、入って》

❲お邪魔しまーす おっ!たっくん綺麗にしてるねー❳

《はは 片付けたんだよ、紬が来るから》

❲そうなの?それにしても綺麗ー

あ、ここ座っていい?❳

《もちろん どこでもいいよー何飲む?コーヒーがいい?紅茶?》

❲あ、その前にたっくん、こっち来て?❳

《ん?ベッド?》

❲うん!❳

《どうした…って、おわ!な、なんだ!?

紬、どうし…ん、んん》

❲たっくん…ん、んっ❳


あんまり力入れたくないけど…

紬を抱き起こした

《紬… だめだよ》

❲…どうして?❳

《大事にしたいから》

❲わたしがしてほしいのに?だめなの…?❳

《…ご両親にわかってもらってからでも、充分だよ》

❲だめ!それじゃ遅いの…❳

《紬…?なにかあったのか?》

❲たっくんは、わたしのこと好き?❳

《もちろん大好きに決まってるじゃないか》

❲わたしもたっくんが大好き それじゃだめなの…?❳


紬が泣き出してしまった…

少し落ち着くまで抱きしめてたんだけど…

《紬…ゆっくりでいいから 何があったか話して?》

❲たっくん…あのね…❳


❲別れなさいって…言われたの

さっきも家を出てくるときにケンカしちゃって…

それで遅くなっちゃったの❳

《…そうか》

❲わたし、嫌だよ…ずっとたっくんと一緒にいたいの❳

《ありがとう、紬》

❲別れないよね?一緒にいてくれるでしょ?❳

《…一緒にいたいよ もちろん》

❲良かったぁ…じゃあ…❳

《でもね》

❲え?❳

《反対されてる状態で付き合っていくのは、

紬の心の負担が大きすぎると思うんだ 心配だよ》

❲大丈夫!たっくんがそばにいてくれるなら何でも耐えられるから!❳

《耐えられる、か…》

❲うん!だから…❳

《紬、送っていくよ》

❲…え?❳

《今日はもう帰ろう》

❲やだ、嫌だよ…❳

《…紬…俺はね、ご両親の反対を押し切ってまで一緒になろうとは思っていないんだ》

❲え…❳

《今まで紬を大事に育ててくれたご両親だ 

これからだって、いざっていう時はそばにいてくださる方たちだ 大事にしないといけないよ》

❲たっくんのことも大事なの…❳

《…ありがとう 君はとても可愛いし頑張り屋さんだ 今、少し耐えれば、そのうちきっと 

俺よりも…》

❲そんな話、聞きたくない!❳

《紬…》

❲たっくんは、わたしの気持ち全然わかってない…❳

《…俺の気持ちはわかってるの?紬》

❲どうして?どうしてそんなこというの…?❳

《こんな顔をさせたいわけじゃないんだ》

❲…え?❳

《君には、ずっと笑顔でいてほしいんだよ

君の笑顔が好きだから》

❲それなら、一緒にいて❳

《…》

❲たっくんがそばにいてくれないなら、もう笑えない❳

《ずるいだろ…それは》

❲わたし唯より頑固だから!わたしが絶対に2人を説得するから❳

《…》

❲そばにいたいの お願い…!❳

《はぁ…君の笑顔に弱いんだ、俺は》


紬は、さっきまで泣いていたのに満面の笑みをしてみせた 

ある種の覚悟のようなものが伝わってきた気がした


その日は結局夜まで他愛もない話をして笑い合って、紬を家の近くまで送ってきた


その後、紬がどういう話し合いをしたのか、

ご両親が俺に会ってくださるという


どうしたんだろう…何を言われるんだろう…


《先日は失礼致しました…あの、今日は…その…》

すまない!紬に叱られたよ よく話しもせずに表面的なことだけで決めつけるなんて最低だって

君は、紬に我々のことを大事にしろと言ってくれたそうだね

あんなにひどいことを言ったのに…

申し訳なかった…


《そんな!頭を上げてください!気にしていませんから…》

いや、それではこちらの気が済まないんだ

謝罪をさせてほしい

これから先長い付き合いをしていく中で、わだかまりになってしまったら…

本当に、失礼なことをしました

申し訳ない


《お父さん、お母さん、大事な娘さんとお付き合いをさせていただくんです こちらがもう少ししっかりしていれば済んだ話です

これから、もしお許しいただけるのであれば

娘さんを大事にします ずっと笑顔でいてほしいのでそのために努力します》

紬…お前の言う通りだったな

こんなに誠実な方だったとは…

❲"お父さんたちが大事に育ててきた娘"が好きになった人なの 良い人にきまってるの!ね?たっくん!❳

《紬…ありがとう…》



❲お父さんたちにね、わたしが好きになった人を悪く言うということは、回り回って自分たちを悪く言うのと一緒だって、言ったの❳

そんなことを言っていた

そんな風に想ってもらえて、幸せだよ 俺は


あの日、紬が俺の部屋に来たとき

子どもを作っちゃえば結婚できる、なんて思い詰めていたらしい

既成事実を作ろうとしたんだな…困った子だ 

それでも、

そこまで想ってくれた気持ちがうれしかったんだ


今日も俺の部屋に呼んでいる

もうすぐ来るかな…

部屋番号間違えないよな…

下まで迎えに行こうかな…

あれ!?いくらなんでも遅くないか!?

一本道だから間違えることはないと思うんだが…

電話も出ないし…


なかなか来ない紬を探してたら駅まで来てしまった


あ、来た来た 電車に乗ってたのか

繋がらないはずだ…はぁ…


《紬、こっちだ》

❲たっくん!おまたせーごめんなさぁい❳

《大丈夫だったか?もしかして迷った?》

❲ちょっと考え事してたら、一駅過ぎちゃったの!❳

《おっちょこちょいだなー 何考えてたの?》

❲あの時、本社で迷子になった時のこと❳

《え、覚えてたのか!》

❲当たり前だよーそのとき、たっくんを好きになったんだから❳

《紬…》

❲それからずっと 次はいつ会えるかなって思ってたの  本社にいるんだから、縁があればいつか必ずまた会えるって思って❳

〈そうか…そう思っててくれたんだな〉

❲たっくんはいつもわたしを引っ張ってくれてるんだよね❳

《はは ついてきてくれるんだよな?》

❲うん!どこまでも!❳

《おっと 忘れるところだった 

誕生日おめでとう、紬》

❲ありがとう♪やっとだよぉ!❳

《うんうん じゃあ、部屋行こうか》

❲うんっ❳


〈どうぞー入って〉

❲この間ぶりー お邪魔しますっ❳

《紬、この前の覚えてる?》

❲ん?なぁに?❳

《俺のことを押し倒したこと》

❲ぶっ…ちょっ、たっくん!?❳

《…やり返していいんだよな?》

❲あ、その声だめ…っ❳

《その顔、他のやつに見せたらだめだぞ》

❲は、はいっ…❳


ーーーーー


❲幸せーやっとこうなれたー❳

《大事にしたかったんだよ…》

❲それにしても、付き合い始めてから2年になるのに手をだしてこないんだもん…

わたし色気ないのかなって悩んだこともあったんだよ!?❳

《や、それは…!未成年だったし…》

❲何回も説明してくれてたから、わかってるけどぉ…❳

《それにさ、ご両親にもわかってもらってからの方がいいかなって》

❲わたしを大事に想ってくれてるのはわかるけどぉ…でもさぁ…❳

《…なぁに?》

❲…唯はしてたのに…❳

《ちょっ、それとこれとは…!洋ちゃんが唯ちゃんを大事にしてなかったわけじゃないからな!?》

❲わかってるけどぉ…わたしも、たっくんと…ずっとこうしたかったんだよ…?❳

《つむぎー…それは反則だぞ…》

❲ん?なぁに?❳

《…あぁ!もう!愛してる…紬》

❲わたしも!❳


最近、上目遣いを覚えたようで…

これからも先が思いやられるぞ…

どんどん食えなくなってきている


❲ねぇ、たっくん❳

《ん?》

❲話し方戻さないの?優しいやつ❳

《あー…あれはさ 俺、顔が これだろ?

怖がらせないためにやってたんだよ

好きであーいう話し方にしていたわけではないんだよな》

❲え?たっくんの顔?こんなに可愛いのに❳

《おいおい…それは無理があるだろ!

ご両親の初手の反応が、通常だと思うぞ…》

❲えー?本社で会った時も目がつぶらで可愛い人ーって思ったよ?❳

《…俺…初手で嫌われてなくて良かった…》

❲ん?❳

《いや、紬がいてくれてよかった!ってことー》

❲ふふ ずっと一緒だよーこれからも♪❳

《ありがとう!あ、そうそう プレゼント用意してあるんだ》

❲え!ほんと!?❳

《うん 去年はブレスレットだったから 今年はこれ つけてあげる》

❲ありがとう! 鏡ある!?

わぁーっ…可愛いお花のネックレスだー♪❳

《一緒に選びに行ったほうがいいかな、とも思ったんだけど…》

❲ううん!可愛い!ありがとう♪似合う!?❳

《うん!とってもよく似合ってて可愛いよ!…いつもだけど》


ある花をモチーフにしてあるんだ

それには気づかないかもしれないけれど…


これからもずっと…俺が"あなたを守ります"


タイトル〘Kalanchoeを君に〙

                                         

       Notre histoire.たく×つむ編  Fin…

                   

こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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