第5話 カジノ2
その日、俺は結局5時間か6時間ほどカジノで遊んだ。
初めてのカジノだったが、思っていた以上に面白かった。
そして翌日、俺はバカラの本当の面白さを知ることになる。
それが「絞り」だった。
バカラというゲームは、簡単に言えばカードの合計数字の下一桁が9に近い方が勝つゲームだ。
しかし、ただカードをめくるだけではない。
カードを少しずつめくり、数字を確認していく。
これを「絞り」と呼ぶ。
カードの横から少しずつマークを確認する。
マークが2つ見えれば「ツーサイド」。
4つ見えれば「フォーサイド」。
3つなら「スリーサイド」と呼ばれ、そのカードは6か7か8ということになる。
例えば、最初に配られたカードの合計が0だったとする。
そこで3枚目のカードを引き、横からマークが3つ見えたらどうだろう。
6なのか、7なのか、それとも8なのか。
ゆっくりとカードをめくる瞬間の緊張感は、何とも言えないものだった。
たかがトランプをめくるだけの行為なのだが、これが実に面白い。
そして、この絞りには大きな落とし穴があった。
誰もがカードを絞りたいのだ。
しかし、必ず自分がカードを絞れるわけではない。
基本的には、その場で大きな金額を賭けた客がカードを絞ることになる。
つまり、自分でカードを絞りたければ、賭け金を大きくすればいい。
これが恐ろしい。
最初は数千円で遊んでいたはずなのに、いつの間にか1万円、2万円と賭け金が大きくなっていく。
俺も例外ではなかった。
勝ちたいという気持ちももちろんあった。
だが、それ以上にカードを絞りたいという気持ちが強くなっていた。
結果的に、2日目の俺は20万円負けた。
一方、一緒に来ていた友人は10万円勝っていた。
同じ場所で同じゲームをしているのに、この違いである。
普通なら20万円も負ければ、もう二度と行きたくないと思うのかもしれない。
しかし俺は違った。
負けた悔しさもあったが、もう一度あの絞りの興奮を味わいたかった。
そして3日目。
当然のように、俺たちは再びカジノへ向かった。
この日は不思議なほど調子が良かった。
昨日までの負けが嘘のように、勝負がうまくいく。
結果、俺は20万円勝った。
逆に友人は10万円負けた。
昨日とは正反対の結果だった。
これで俺は2日目の負けを取り戻したことになる。
そして年末年始の休みも終わり、仕事が始まった。
普通の生活に戻ったわけだ。
しかし、俺の頭の中には、あのカジノの光景が焼き付いていた。
カードをゆっくりとめくる緊張感。
勝った瞬間の喜び。
そして、負けたときの悔しさ。
わずか3日間の出来事だったが、俺にとっては忘れられない経験となった。
だが、カジノとの付き合いは、まだ始まったばかりだった。




