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第15.5話 閑話:家庭教師の憂鬱

「はぁ」

シュライバーは乗合馬車の中でため息をつく。

結局レオンハルト様に十分な教育を授けることは出来なかった。算術は、一桁の掛け算まで。足し算、引き算は出来るようになったが、良く間違える。いや、引き算は繰り下がりがわかってない疑惑がある。繰り下がりがあると、高確率で間違えるのだ。勘で解いている疑いがある。

歴史は、戦で活躍した英雄の話などは覚えている。ただ、それらは授業の中では閑話だ、本筋ではない。覚えたことも、3日後には忘れている。知力のステータスをきいてみたい。

その点、リュカ様は別の意味で異常だ。あれで4歳のわけがない。掛け算の説明で長方形の面積を出すのは、まぁ、良い。良くある説明方法だとも言える。

「この長四角を横に向けても大きさは一緒でしょ。だから、4x7と7x4は同じなんだ」

わかりやすい説明だ。兄にわかりやすく掛け算を説明する。優しい弟だ、4歳っていうのが異常なだけで。


歴史の理解も、その後ろにある政治をしっかりとわかっている。政治に関する授業はやっていないのに。しかも、民衆心理まで考えている。


「ねぇ、シュライバー。この火を意味する記号って、こっちの文字の上半分と同じだよね。で、こっちの台を意味する記号が下にある。台の上に火ってなんだろう、燭台?この文字の意味は燭台なのかもね」

古代文字が表意文字という説はある。その組み合わせもについての学説もいろいろある。でも、この子供はそれを自ら導き出していた。

私が持つ古代魔道具が出す魔法陣についても、何か考えがあるようだった。

彼は将来、この国の考古学に大きな発展をもたらすかもしれない。

だが、その前に私自身、次の職を見つけなければ。

「はぁ」

シュライバーはこの日、何度目になるかわからないため息をついた。


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