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残酷で、ただ残酷なこの世界  作者: 海鳴ねこ
二章ヒーロー
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二節フリバー・ライヘルド13

 

 フリバーは無言のまま、

 ブレイルが告げる残りの6人の特徴を聞いていく。

 一人一人、出来るだけ丁寧に。

 髪の色や髪型と、瞳の色に顔立ち。黒子や傷跡など特徴があるならそれも。

 その6人の特徴を聞いて、フリバーは大きく息を付いた。


 ――聞いた限り3人、知っている“人物”がいる。


 「――信じる。今お前が言った愛の神と恋の神は俺の知り合いの姿だ。そして、もう一人はお前と同じだ……。俺の世界で英雄と言われていた女騎士の容姿に酷使している」

 ブレイルは「ほらな」と笑う。

 彼が出会ったと言う12人の神のうち、合計7人。

フリバーとブレイル、2つの世界の住人の顔をしているのだ。


 ――信じがたい。しかしこれは事実だ。

 確かにこの世界の神は『異世界の住人』の姿をしている。

 それも見かけだけでは”神様”の()()()()()。――いや。

 

 「――……その殆どが()()姿()って事で良いのか?」

 「ああ、少なくとも“死”、エルシューと“医術”を除く全員、9人は女の姿をしていたな」

 「いや、補足しておく。10人だ。――俺も最後にあった“アプロ”と言う神は少女の姿をしていた」


 ――そう。正確に言えば“神様”は、その殆どが『女性の姿』をしていたのだ。

 しかし姿が女性なだけで本当に女性かと言われればブレイルも分からないと言った。

 その代表一号が“死”だ。

 なにせ少年の姿をとっている“死”は姿こそ男だが、フリバーにはあれは少女に見えた。

 「お嬢ちゃん」と呼んだ時、否定せず。どことない仕草と、声は少女そのもの。

 しかし、もしかしたらあの子は少年である可能性が出てきてしまった。。


 ブレイルが先ほど、カルトと言う神を曖昧に女神であろうと零したのも納得できる。

 おそらくカルトと言う神はパルと言う少女の姿でありながら、その実、()()()なのだろう。

 ――これは混乱する。

 こちらの知っている顔なので、ある意味見分けは付きやすいと言えるが。

 

 「男の姿をとっている神はエルシュー、アクスレオス、死のおじょ…死神ちゃんだけか」

 「今のところはなー。一応確認したが、エルシューとアクスレオスは正真正銘男らしい。……“死”はアレで女だ」

 「そうなのか?なんで断言できる」

 反対にブレイルはすんなりと“死”を女性と呼んだ。

 あまりに“死”をすんなりと女とした、ブレイルにフリバーは首をかしげる。

 もう少し悩んでもよさそうなものだが。


 「エルシューが言っていた。『死は性別的には女だ』ってな。」

 そう言えば、思い出せば先ほどエルシューは“死”を”彼女”と呼んでいた。

 なら、”あの子”はやはり少女と言う事で良いのだろうか。

 この際フリバーからすれば、どちらでも良いと言えばどちらでも良いのだが、それが原因で神の逆鱗に触れたりしたら厄介だ。


 「どういう訳か今は男の姿だが、それに、元の容姿は毛先が金髪で目の中に十字の模様が入った紫の瞳の小柄な少女らしい――」

 「………ああ?」


 ――唐突に初耳な事実に思わずフリバーは、らしくない声を漏らす。

 今、この男はなんと言った。


 「まて、元の姿って……。どういうことだ?神様、少なくとも“死神”には本来の姿でもあるってことか?」

 「?ああ。らしいぜ。えーと、数千年前までは少女の姿をしていたって、後で教えてもらった」

 「…………」


 フリバーの問いにブレイルは当たり前に答えた。


 ――なんで早く言ってくれ無かったのだろうこの男。

 姿が、男だとか女とか、それ以前に。

 どうして、()()姿()()()()って先に言ってくれなかったのだろう?


 今は他人の姿をしている。でも、本来は別の姿だって。先に言えばいいのに――。


 「……おい、ブレイル。それはつまりだ。神様達は、今は他人の姿をしていても、気まぐれ一つで元の姿にも戻れる可能性があるって事じゃないのか?」

 「ん?……あー。ああ!!確かに!!それはありうるかもしれないな!!いや、そこまでは考え付かなかった!!」

 「…………」


 ――。我慢。

 とりあえず、だ。神様が普段は別の人間。それも『異世界人の姿』をして暮らしている事は判明出来た。

 それは“死”も例外じゃない。少なくとも、アドニスと言う少年の姿を、今はとりあえず映しとっており、もしかしたら金髪紫目の少女に成るかも知れないと言う可能性があると言う。それだけだ。


 「――……他には?何か“神”について気が付いたことは無いか?」

 我慢してフリバーは質問を続ける。

 しかしだ、ブレイルは「うーん」と悩んだ後に首を振った。


 「わるいな。これ以上は分かんねぇ」

 「……そうか、一応聞くが……。『アプロ』って神がどんな神か知らないか?」

 「悪い。聞いたことも無い名前だ」


 最後にフリバーが出会った“アプロ”と言う神についても問いただしてみたが、此方に関してもブレイルは首を横に振る。


 「――じゃあ、『ソレイユ』は?」

 此処で思い出す。あの“彼女”が呼ばれていた別の名を。

 フリバーの言葉に、ブレイルは「それなら」と頷いた。


 「“太陽の神”だな、そりゃ」

 「!この世界の太陽そのもので、夜と喧嘩中の?」

 「そ!――俺も名前しか聞いたこと無いんだが、会ったのか?」

 「あ、ああ」

 ブレイルの問いに、頷く。

 何か特別な“神”と思っていたが、まさか“太陽”であったとは。

 しかし、あの少女が『誰か他人』の姿を取っている?納得できない容姿であったのは確かだが――。アレは本当に他人の容姿を取っているだけのか?

 あの神々しい姿が?

 話を聞くかぎり、この世界の“神様”が他人の姿を取っているのは本当。でも、別の本当の姿も存在する。

 だったら、あの“少女”は、あの“少女”の姿こそ、本来の姿ではないのか?――……そう考えるのがしっくり来た。

 

 「そうなれば、やっぱり“神”は、元の姿と、他人の姿の両方を持っている可能性が高いか……」

 「?――なんで、そう思う?」

 アプロと言う“神”を見ていないブレイルが首を傾げる。

 ただ、簡単であるが、説明すると、ブレイルもまた同じ結論に至ったらしく、眉を顰めて頷いてくれた。

 「俺の世界では()()()容姿をもつ存在はいない。まるで、おとぎ話に出てくる。神様みたいだ」

 ただ、そう、静かに呟いていて、取り敢えず納得してくれたようであった。


 アプロと言う少女の情報が出た。憶測も出た。コレは良い。

 ただ、ここで、情報は途絶える。

 ブレイルも他の情報は無いと言うし、勿論フリバーも無い。

 残念だが、これ以上“神”について知れる事はなさそうだ。

 「“神様”は他人の姿を取っていて、本来の姿もある」これを知れただけで良しとしよう。

 それならば、次に進むしかない。





  『姿って重要?』

 

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