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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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93.思わぬ申し出

「それで、マノン夫人の産んだ子だが、

 正式に鑑定させたが龍人の血を持っていた」


「やっぱり……どうするの?」


「マノン夫人の生家に戻すのが一番いいかもしれないが、

 今回のことで生家の貴族順位は下がっている。

 龍人の血を持つ子供は狙われるかもしれない」


「生家では危ないのね……かといって、孤児院で育てたらもっと危ないし……」


「あの!うちで引き取ってはダメでしょうか?」


声をあげたのは、近くで仕事していたニクラス様だった。


「ニクラスが引き取る?デュクロ公爵家でってことか?」


「はい。お恥ずかしい話ですが、再婚するのが怖くなってしまいまして」


「マリアンヌのせいか……」


「もともと乗り気だったのは母上だけで、父上と私は気乗りしない結婚でした。

 あんなことになってしまい、離縁した後もこんな騒ぎを起こすなんて。

 再婚して、また相手がおかしなことになってしまったらと思うと……」


「そうか……」


結婚していた時も、離縁した後も、マリアンヌ様は騒動を起こしている。

それは妻として受け入れていたニクラス様にも少なからず影響を及ぼしている。


あのマリアンヌ様を妻にしていた公爵家の次期当主。

その再婚相手になるのは嫌だと思う令嬢も多いに違いなかった。


「私自身の感情をなしにしたとしても、まともな令嬢との再婚は難しいかと。

 それならば、その子を引き取って育ててもいいかと思ったのです。

 貴族順位二位のうちなら龍人の血を持つ子がいても問題ないでしょう」


「たしかにデュクロ公爵家なら問題ないだろうが。

 マノン夫人の子を跡継ぎにするつもりなのか?」


「ええ、一応は両親とも貴族ですし、血筋の問題はありません。

 ただ、名前を変えて、マノン夫人の子だとわからないようにしてもらえれば」


「罪人の子になるし、マノン夫人は十年で釈放される。

 万が一にでも取り返そうとされても困る。

 名前を変え、分家から養子にしたことにしてかまわない」


「ありがとうございます」


「デュクロ公爵の許可が必要になるだろう。

 話が終わったら申し出てくれ」


「はい」


ほっとしたような顔のニクラス様だが、一度も会わないで決めていいのだろうか。


「ニクラス様、その子と一度会ってみたらどうですか?

 今はリンが世話をしていますが、デュクロ公爵家で世話はできそうですか?

 乳母を雇うのはすぐにとはいかないと思います」


「それは……乳母はこれから探すことになると思います。

 ルシール様の護衛であるリンにずっと面倒を見てもらうわけにもいかないでしょうし」


「そうね……ニクラス様が引き取らなくても、乳母は必要になるのよね」


今は乳をもらってきてあげているが、乳母がいたほうがいいに決まっている。

リンが面倒を見るにも限界があるだろう。


「急いで父上に確認してきます。許可がでれば、すぐに乳母を探せますから!」


そう言うとニクラス様は執務室から出て行った。


「そこまで慌てなくても良かったのに」


「きっと、この機会を逃したくなかったんだろ」


「え?どういうこと?」


ガイオの言葉に聞き返す。


「どうやらあまり良くない令嬢との再婚話が来たらしい。

 また押しつけられる前に、跡継ぎがいるからと断りたいんだろ」


「そういうことなのね」


ガイオもニクラスの気持ちがわかるのか、うんうん頷いている。

お兄様を始めとした独身の高位貴族令息が多いせいで、

一度離縁しているニクラス様は人気がないそうだ。


そのせいでまともな結婚話が来ない令嬢からの再婚話がきてしまう。

だが、養子を跡継ぎにすると公表すれば、それも減る事だろう。


これでペルラン伯爵家に関することは終わるかもとほっとしていたら、

難しい顔をしたレオンとお兄様に呼ばれる。


「ルシール、ちょっといいか?」


「どうしたの?」


「まだ終わっていないことがあるんだ」


「まだ?何かあった?」


「アンペール国の前国王夫妻。

 そろそろ話し合いをしなくちゃいけない」


「あ、そうだったわ」


夜会の最中、話し合いのために抜け出したはずが、

襲撃されたためにうやむやなままになっている。


あらためて話す予定となっていたが、そのうちに前夫人が体調を崩してしまっていた。


ペルラン伯爵家の処罰も済み、問題は解決したことで、

再度話し合いをしようということになったらしい。


「いつ?」


「三日後だ。向こうはルシールと話したいと言っている。

 問題はないな?」


「ええ。私は話すことなんてないけれど、それで気が済むなら」


夜会の時の話し合いの内容は聞いている。

話すことなどないから帰ってほしいところだけど、

そういうわけにもいかないのはわかっている。


これは自分の口で言うしかない。


あきらめて待った三日後。

アンペールの前国王と、少しやつれた前王妃が応接室に入ってくる。


二人は挨拶もなく、いきなり私へと駆け寄ってきた。


「おお、心配していたんだ、ルシール。

 大丈夫だったのか?」


「え?」


「王宮で騎士が暴れるなど前代未聞のことだ。

 やはり、こんな場所にお前を置いておけぬ。

 婚約は白紙にしてもらおう」


「は?」


「レオンハルト国王、孫は返していただく!」













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