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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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85/102

85.因縁

「ちょっ、どこから入ってこようとしているんだ」


ガイオが窓の外から入ってこようとしていた。


廊下から入ってくればいいのに、と思ったが、

女性二人を捕まえたらしく担ぎ上げている。


「そいつが犯人?二人いたのか?」


お兄様が窓を開けながら聞くと、ガイオが女性を床に転がした。


「こっちの女が姫さんに声をかけたほう。

 間違いないよな?」


「ええ、この人だわ」


「で、追跡したら敷地の端の方でこの女に報告していたんだ。

 姫さんを捕まえるのに失敗したって」


「なんだと?では、この女が依頼主なのか?」


「多分な」


ガイオはそう言って、床に転がされている女を座らせたと思ったら、

ぐいっとこげ茶色の髪を引っ張った。


めずらしく乱暴なガイオに驚いていると、ずるりと髪がずれて落ちた。


「これ、かつらだろ?」


……本当にかつらだったらしい。

その下から薄茶色の髪が見えた。


「お前がルシールを連れ出してくるように命じたのか?答えろ!」


「……」


レオンの質問にも女は黙ったままうつむいている。


「ガイオ、顔をあげさせろ」


「っ!!」


顔をあげたくないのか、ガイオの手から逃げようとした。

だが、女の力でガイオにかなうわけはなく、顔を無理やりあげさせられる。


その顔を見て、驚いたレオンが声をあげた。


「っ!?マリアンヌ!!」


「えっ?どうしてここにマリアンヌ様が!?」


少しやつれていたけれど、青い目に夫人に似た顔立ち。

元デュクロ公爵夫人であり、ペルラン家の長女だったマリアンヌ様。


ペルラン家の領地で軟禁されていると聞いていたのに。


「なるほど……あの騎士たちが動いたのはお前の指示か。

 香でおかしくなっていた者たちを使ったのか」


「……わ、私は何もしていないわ」


「社交を禁じられているお前が王宮の敷地内にいた時点で処罰対象だ。

 こいつらも一人ずつ牢に入れて調べるようにしてくれ」


「わかった。騎士を呼んでくる」


お兄様が騎士団を呼びに出ていく。


マリアンヌ様はまだガイオに拘束されたまま。

それでも私がいることに気がついたのか、にらみつけてきている。


「……あんたさえいなかったら」


「私がいなかったらどうだっていうの?」


「私がレオンハルト様の隣にいるはずだったのに!!」


「そんなわけないじゃない。

 私がいなかったとしても、あなただけは選ばれないわ」


あの時、身分が一番高い令嬢はマリアンヌ様だった。

だけど、私がレオンと出会わなかったとしても、

マリアンヌ様が選ばれることはなかった。


「どうしてよ!!」


「リアーヌ様に危害をくわえたかもしれないのでしょう?」


「!!」


レオンがリアーヌを殺したかもしれない人を妃にするわけがない。

どうしてそんな簡単なことがわからないんだろう。


「愛する人を殺されて、ただ黙って受け入れると思ったの?」


「っ!!あれは!リアーヌが正妃候補だったのが間違いなのよ!」


その言葉に反応したのはレオンだった。


「おい、間違いだとはなんだ」


「だって、そうでしょう!

 あんな死ぬのがわかっている女を妃にするなんて!

 王族ならきちんと子を産めて妃として動ける者を選ぶべきだわ!」


マリアンヌ様が言っていることは間違いじゃない。

私もリアーヌは正妃候補になるべきじゃなかったと思っている。


それでも、あれはレオンの唯一のわがままだったから。


「……だから、側妃を選ぶことにしただろう。

 リアーヌが死ぬまででいい、妃でいさせたい。

 そうしたら、跡継ぎができるまで側妃を受け入れる、そう決めていたのに。

 それすら認めなかったから、ああなったんだろう」


「認められるわけないわ!リアーヌが選んだ者を側妃にするなんて!

 それじゃあ、側妃までアルベール公爵家が後見につくと決まったようなものだわ!」


「その通りだ。誰を側妃にしたとしても、後見はアルベール家にするつもりだった。

 ペルラン家には任せられなかったからな」


リアーヌが死んだ後も、お兄様が側妃を後見するはずだった。

ペルラン家に対抗するためにも、それが一番よかったから。


「……は?……では、私が受け入れられなかったのは、お父様のせい?」


「お前がペルラン家でなくても受け入れなかっただろう。

 というか、ペルラン家の身分が高かったから婚約者選びに呼ばれたんだ。

 そうじゃなかったら、お茶会にも呼ぶ気はなかった」


「どうしてっ!」


「だから、さっきルシールが言っただろう。

 リアーヌを傷つけるようなものを選ぶ気はない。

 ずっと嫌がらせしていたのは知っている」


「……そんな…………」


レオンからはっきり告げられたからか、マリアンヌ様がうなだれている。

騎士が到着したらしく、女とマリアンヌ様に駆け寄る。

あきらめたのか、二人ともおとなしく従うようだ。


「ところで、マリアンヌ。

 リアーヌが殺されたと言われても特に反応しなかったな。

 殺されたことを知っていたからだろう」


「!!」


「それも含めて、全部吐き出してもらう。

 牢では貴族扱いはされないと思え」


「レオンハルト様!私は!あなたの妃になりたかっただけで!!

 ただそれだけだったの!!」


「いいから、連れていけ」


「レオンハルト様!!どうか、話を!」


部屋から無理やり出されても、マリアンヌ様はずっとレオンの名を呼んでいた。


「ルシール、マリアンヌが犯人だと思っていたのか?」


「マリアンヌ様が犯人かどうかわからないけれど、

 香のせいで死んだのなら、何か知っていると思ったの。

 牢に入れることが確定しているのなら、聞いてみてもいいかなって」


「あれは何か知っているな」


「そうね……やっぱりマリアンヌ様が犯人だったのかしら」


「それもきっちり調べさせるから」


「ええ、お願いね」




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