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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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83.助けに行こう

「それにしても陛下たち戻ってこないな」


「そうね。あっちも話が長引いているのかも?」


気になるけれど、見に行くわけにもいかないし。

どうしようかと思っていたら、大広間の外が騒がしい。


「ん?何かもめごとでもあったのか?」


「廊下?控室?」


「……破壊音?剣がぶつかる音がしている……なんでだよ」


「!?」


どういうことだと思っていたら、慌てたように女官が駆け寄ってきた。


「ルシール様、お逃げください。陛下の命を狙う者たちが!

 ここも危ないかもしれません!」


「なんですって!!」


「さぁ、あちらへ」


そう言いながらテラスの方を指している女官には従わず、

廊下へと走り出した。


「ガイオ!行くわよ!」


「ルシール様、どちらへ!?」


悲鳴のように甲高い声で呼び止めようとした女官のことは無視して、

そのまま王族の控室に向かう。


「おい、姫さん!どこ行くんだよ!」


「助けに行くに決まってるでしょう!」


「はぁ!?逃げるんじゃないのかよ!」


「ルシール様、お待ちください!今は避難しましょう!」


追いついてきたガイオとジニーが私を引き留めようとする。

だけど、言うことを聞くわけにはいかない。


「さっきの女官、見たことないわ」


「は?そりゃ、知らない女官もいるだろう?」


「何を言っているの?この王宮に女官は四十一名しかいないのよ?

 それでも増えた方なんだから。

 全員、面接済みよ。私が顔を知らない女官なんてありえないわ」


「……そういうことかよ」


「だから、逆の方向へ来たのですか」


「ええ。だって、きっと罠だもの」


テラスから外に出ようとするのは避難としておかしくないけれど、

素性がわからない女が誘導しているのなら、罠だと思うしかない。


「だが、こっちから襲撃の音が聞こえてきたのは事実だ。

 こっちに来るのも危ないだろう?」


「……私が離れているほうがレオンたちは不安になるわ。

 私が唯一の弱点だもの」


「それはそうかもしれないが。

 敵がいるほうへわざわざつっこむことはないだろう」


私が一人だったら違う方向に逃げて隠れていたかもしれない。

でも、ここには頼りになる味方がいる。


「だから、私が敵に捕まらないように守って。

 その上で、レオンとお兄様も助けるわよ!」


「んな、無茶苦茶な……はぁぁ。わかったよ。行くか!」


「……仕方ないですね」


無理を言っているのは承知している。

だけど、王宮内に賊が入り込んでいる以上、安全な場所などない。

だったら、レオンとお兄様と合流するのが一番安全だと思う。


それまで、ガイオとジニーに守ってもらわなくてはいけないけれど、

私だって上級魔術師並みに魔術は使える。

自分の身くらいは守れるはずなのに。


角を曲がると、王族の部屋に続く廊下に出る。

賊が待ち構えているかと思ったけれど、控室には騎士団が到着していた。


床には転がされている男が数名。

それを調べているか、騎士たちが顔を覗き込んでいる。


そのそばでなぜか困ったような顔をしている騎士団長を見つけた。


「騎士団長!何があったの!?」


「わかりません。こいつらが床に転がされていて。

 ユリアス様からの伝言で、一人ずつ牢に入れておくようにと」


「では、こいつらが襲撃を仕掛けてきたものたちなのね」


「……ですが、こいつらは騎士団の一員でして……」


「は?」


「何かの間違いではないかと……」


縛られたまま床に転がされている騎士たちは偽物なのかと思っていた。

だが、騎士団長が知っている者たちらしい。


それでもお兄様が魔術で縛っているため、解くことはできず、

牢に入れておけという命令も拒むことはできない。


だから、困ったような顔をしていたのか。


「レオンとお兄様はどこに行ったのかしら」


騎士団長や騎士たちは知らないのか首を横にふった。


それを見て、ガイオが床に転がっている男たちの中で、

まだ意識がある者の首元をつかんで持ち上げた。


「おい、陛下とユリウス様はどこに行った?」


「……知らない」


「本当に?言うまで回してもいいか?」


「はぁ?」


魔力操作しているのか、ガイオはくるくると男を回している。

目が回るどころの早さじゃないのか、なさけない悲鳴が漏れ聞こえてくる。


「それじゃあ、話せないじゃない」


「それもそうだな」


ピタッと止めると、男がその場で吐いた。


「ルシール様、汚れますので見ないように」


「え?あ、はい」


ジニーに手を引かれ、少し離れる。


ガイオは男が吐いても手加減するつもりはないようだ。


「で、言う気になった?」


「……」


「じゃあ、もう一回いこうか。

 今度はもっと早くしてみようかな」


「ま、待て……」


「で、どこに行った?」


「…………奥だ。奥の控室に走っていった」


「ふうん……奥ね」


聞いた後はもう必要ないとばかりに男を放り投げた。

……ぐしゃっと落ちたけれど、絨毯の上だから大けがはしていないはず。


「よし、姫さん、行こうぜ」


「わ、わかったわ」


奥の控室に向かって走ろうと思ったら、

ガイオに横抱きにされる。


「え?」


「追いつきたいんだろう。行くぞ」


「わぁ……」


荷物のように持ちあげられ、そのままガイオが奥へと走る。

あまりの速さに目が回りそうになっていると、

奥から何かが壊れる音がした。


「いたか!」


奥でも戦闘になっている?

警戒していると、奥の控室の前に数名が立っているのが見えた。


「あいつら、そうだな。姫さん、見覚えは?」


「ないわ!」


一人、女官がいたけれど、知らない顔だった。

ということは、一緒にいる者もあやしい。


「よし、ジニー、姫さんを守ってろ!」


「えっ?」


「あ、はい!」


私をジニーに放り投げるようにして、

ガイオはその場にいる者たちに向かっていく。


相手も剣を抜いてガイオに向かってきたけれど、勝負は一瞬だった。


あっという間に相手は倒れていき、

最後には女官の服を着た女も首の後ろを叩かれて倒れた。


「すごい……本当に強いのね」


「ルシール様、まだダメですよ。他にもいるかもしれません。

 ガイオが部屋の中を確認するまで待っていてください」


「わかったわ」


危ないのはわかっている。

おとなしく待っていようとしたら、勢いよくドアが開いた。


そこにはぽかんとした顔のレオンとお兄様がいた。


「……は?」


「なんだ……?」



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