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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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78.問題解決

ペルラン家については処罰も終え、

妻のマノン様は社交が禁じられたまま。

貴族順位が下がったことで、積極的に社交することもないだろう。


これでもう私に関わってくることもないはず。


卒業まであと二年弱。

学園と妃の仕事を両立しているので毎日忙しいけれど、

充実した日々を送っていた。



そんなある日、アンペール国から手紙が届いた。


それを読んだレオンは眉をひそめてお兄様に手紙を渡す。

手紙を読んだお兄様も同じ表情になった。


「何か問題でも起きたの?」


「前国王夫妻を覚えているか?」


「ええ、血縁関係の検査をした時にお会いしたわよね」


「ああ。ルシールの祖父母になる。

 ……今まで孫だと思っていたマリルー嬢は孫ではなかった」


「そういえば、そうなるのよね」


留学してきていたマリルー様。

ジョアン公爵の本当の娘ではあるが、元第三王女だったメリザンドの娘ではない。


メリザンドが産んだのは私だけ。

前国王夫妻から見れば、私は孫になるんだ。


「今まで可愛がっていたマリルー嬢が孫ではなかったことで落ち込んでいるらしい。

 前王妃の身体が弱ってしまったのを励ましてほしいと」


「励ましてと言われても……困るわ」


そもそも母親であるメリザンド元第三王女とすらあまり交流していなかった。

その両親と言われても、親しみは感じられない。


アルベール公爵家のお父様とお母様を両親だと思っているのもある。

今さらアンペール国の親族と交流したいとは思っていない。


「一度しか会ったことがないし、手紙を書くにしても困るだろう。

 だが、アンペール国に来てほしいと言っているんだ」


「え?お見舞いに来てってこと?」


「ああ」


落ち込んで身体が弱ってしまったのは同情するけれど、

それで私にアンペールに来てというのはどうなのかしら。


「そのために向こうに行く余裕はないわよね……」


「ないな。ただでさえ妃の仕事で忙しいのに、今は学生でもある。

 アンペールに旅するような余裕はない。

 そう返事をしてもかまわないか?」


「ええ。お見舞いのために行くのは難しいもの。

 しかも、顔を見せてすぐに帰るというわけでもなさそうだし」


「おそらく、アンペールにいてほしいということだろう。

 できれば結婚するまで二年」


「二年!?」


「ルシールをアンペール国の血縁者だと強調したいんだ」


「たとえ二年いたとしても、

 私はアンペール国の人間にはなれないと思うわ」


産まれたのはアンペール国であったとしても、愛国心は持っていない。


ずっと部屋の中に軟禁されて育てられたのだから、

アンペールに何も思い入れがないのも仕方ないことだと思う。


本当ならカリーヌ王女を正妃にしたかったのだと思うけれど、

魔力量があわなすぎて子が作れない。

だから、私をアンペールに都合がいいように教育し直したいのだ。


もちろん、それを許すようなレオンではないとわかっている。


「二年だろうと一か月だろうと、

 ルシールを一人でアンペールに行かせる気はない。

 そして、俺もルシールも忙しいのだから見舞いに行くような余裕はない。

 会いたいのなら、こちらの夜会に招待すると返事を書こう」


「弱っているのに、ノヴェル国に来れるのかしら」


「会いたいのなら身体を治して夜会に来るようにと書いておく。

 他国の妃を呼びつけるほうがどうかと思うからな。

 前国王夫妻なら仕事もないし、暇だろう」


「暇……なのかしら。まぁ、国王と妃を呼ぶよりかはましよね」


前国王夫妻からの手紙を現国王が知っているのかどうかもわからない。


「そういえば、ジョアン公爵家ってどうなったの?」


「まだ処罰が決まっていないらしい。

 おそらく夫妻は処刑か生涯幽閉かのどちらかだと思うが、

 子供二人の処罰が決まらないようだ」


「子供たちは何も知らなかったのだものね。

 かといって、そのままにしておくわけにもいかないし……。

 処罰が決まらないのも仕方がないわね。難しいわ」


母親が違っても公爵家の令息令嬢であることは変わらない。

庶子だったとしても、養子にしていれば公爵家のものとして扱うことになる。


ただ、身分詐称していたということもあって、素直に認められるわけではない。

最初からごまかさずにいれば、これほど問題にはならなかったのに。



アンペール国に送った手紙の返事は現国王から来た。

前国王夫妻が送ってきた手紙については知らなかったらしく、

無茶を言ってすまないと謝罪されていた。


そして、できるのならノヴェル国の夜会に前国王夫妻を招待してほしいとも。


「やはり前王妃を元気づけたいらしい。

 ノヴェル国の夜会に行くという目標があれば回復するのではないかと」


「それほど悪いのかしら」


「どうだろうな。病気というわけではないようだし。

 馬車の旅に耐えられるくらいならそれほどでもないんだろう」


「そうよね。招待するの?」


「まぁ、ルシールを正妃にするのにこれ以上もめたくないしな。

 ここで恩を売っておくのも手だ。招待しよう」


次の夜会は三か月後にある。

それまでに回復できていればその時に。

無理なら来年また招待するということで話はまとまった。


「国王からは報告も入っていた。

 ジョアン公爵家は取り潰しになるそうだ。

 子供だちはジョアン公爵の妹が嫁いだ侯爵家の養子になる」


「二人とも?」


「そのようだ。令息の方は婚約者がいたが、それも解消されている。

 ジョアン公爵と愛人は生涯幽閉に決まった」


「そう……」


「処刑にならなかったのは、元第三王女の不貞もあったからだな。

 王家が管理するはずだから、幽閉と言ってもひどいことにならないはずだ」


「それならいいけど」


処刑ではなかったことでほっとする。

ジョアン公爵とは三度しか会ってないけれど、

知っている人が処刑されるのはいい気分ではない。


これでアンペール国の処罰も終わったし、

元第三王女の不貞問題はすべて解決したことになる。


両国の関係も思ったよりも悪化せずにすんだし、

肩の荷が下りた気分だった。



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