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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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73/102

73.審議終了(ユリウス)

「決めるのはノヴェル国の国王だけだ。

 処罰結果を知らせることはするが、口出しは無用だ」


「ユリウス殿!だが、それではこちら側は気が済まない!」


「なぜだ?不貞というのは片方だけでできるわけではない。

 不貞したのがただの貴族だったとしたら、貴族家間で解決させるだろう?

 ペルラン公爵とジョアン公爵との間ではもう話し合いが済んで、

 慰謝料を渡しているそうだ」


本来は呼び出してまで審議するような内容ではない。

ただ、元第三王女が亡くなっていること、ジョアン公爵が何も言わないこと、

ペルラン公爵が他国の貴族だったことでこうなっている。


ペルラン公爵が不貞を認め、賠償が済んでいるのなら問題はない。

アンペール国が知りたかったのは元第三王女が本当に不貞したかなのだろうけど、

それも証言されたのだから審議は終わっていいはずだ。


なのに、アンリ王子は引き下がらなかった。


「……だが、叔母上が不貞したという証拠はない。

 無理やりだったかもしれないじゃないか!」


「それはない。元第三王女がペルラン公爵に出した手紙を持っている。

 証拠を出せというのなら公表するが、いいのか?

 故人の恋文を公表することになってしまうが」


さすがに元王族の醜聞を公にするつもりはないのか、アンリ王子は黙った。

これだけ元第三王女に執着するのは何かあるのか?もしや、初恋の相手だったり?


「だが……簡単に許すわけには」


「同盟を結んでから国家間の争いがなかったから条文の出番はなかったが、

 こちら側はペルラン公爵を、そちら側は元第三王女を処罰するのが妥当だろう」


「叔母上を処罰だと!!もう亡くなっているし、王族だぞ!」


「それがどうしたと?ペルラン公爵には王位継承権があるんだが。

 元第三王女には王位継承権はなかっただろう。

 他国だから身分は比べられないが、さほど差はない」


「……だが」


「不貞をしたということは本人が証言している。

 ペルラン公爵にはレオンハルト国王が責任をもって処罰する。

 その結果もそちらにきちんと報告する。それで納得してくれ。

 そちらとしては元第三王女の不貞よりも審議することがあるだろう。

 現在も身分を偽っているかもしれない者が二人もいるんだからな」


「…………わかった。これで審議は終了させよう」


審議が終わり、ペルラン公爵は我が国の騎士団に部屋まで連れて行かせる。

監視がなければ、アンペールの者に連れていかれる可能性もある。

けっして目を離さないようにと命じておいた。


これで役目も終わったし、部屋に戻るかと思っていたら、

アンリ王子に引き留められる。


「少し待ってくれ」


「まだ何か?」


「頼みがあるんだ。

 あの血縁関係を検査する魔術具を貸し出してくれないだろうか?

 この国では血縁関係を調べることができない」


「貸し出すのは無理だが、必要かもしれないと思い持ってきている。

 今なら検査に協力してもいい」


あの魔術具は売り出すつもりはない。

こちらに貸し出して、技術を盗もうとされては困る。

盗めるわけはないと思っているが、分解されたら壊れてしまう。


言われることは予想していたので、あらかじめ持ってきている。

ジョアン公爵家もそのままにしておく気はないからな。


「本当か!では、頼む。

 ジョアン公爵の息子ミシェルと娘マリルーが王族と血縁関係か調べてほしい」


「はっきりさせていいのか?」


「はっきりさせない限り、公爵は話さないだろうから」


「そうか。では、部屋から持ってこさせる」


ユウリに部屋から魔術具を持ってこさせるとジョアン公爵が逃げ出そうとした。

すぐさまアンリ王子が騎士に命じて捕獲させていたけれど、

本当に往生際が悪い公爵だ。


「ミシェル、マリルー、こっちに来て」


「……はい。アンリ殿下、本当に私は母上の子ではないのですか?」


「それを今から検査する。

 ユリウス殿、検査相手は私でもいいだろうか?」


ここでふと気づいた。

アンリ王子が王族の血縁者だという証明がない。


「前回、アンリ王子はアルマン王太子としか検査していない。

 申し訳ないが、王族の血を引くかどうかを調べるのなら、

 アンペール国王が確実なんだ」


「そうか……そうだな。父上を呼んでくる」


国王をこの場に呼んでもすぐには来ないだろうと思っていたが、

ジョアン公爵の不貞のことを知ったのか、慌てた様子で審議室に入ってきた。


「話は聞いた。協力に感謝する」


「いえ、問題ないです。それでは、検査をします」


国王とミシェルの血を一滴ずつ垂らす。

ジョアン公爵にも王家の血は入っているが、三代前のことらしい。

だから、元第三王女の子でなければ反応しない。


結果は、少しも反応しなかった。


「……そうか」


「そんな……本当に陛下とは血がつながっていない?」


国王は眉間にしわを寄せ、令息は真っ青になっている。


そして、同じように真っ青になっているマリルー嬢。


「では、次にマリルー嬢も」


黙ったまま、国王とマリルー嬢が血を垂らす。

やはり少しも反応せず、血縁関係にないことがわかった。


「この魔術具を証明するのに必要でしょうから、

 アンペール国王とアンリ王子で検査をしておきますか?」


「頼む」


国王とアンリ王子で検査をすると、

今度はすぐさま反応し、血は一つにくっついた。


「これで魔術具が問題なく検査できていることが証明できましたね。

 ジョアン公爵、どちらにせよ重罪になることは間違いないのだから、

 この子たちに誰が本当の母親なのかくらい教えてやったらどうだ?」




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