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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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41.香の効果

だが、このことで側妃候補たちは焦り始めたようだ。

本当に二十歳をこえたら後宮から追い出されるのだとわかったからだ。


次に追い出されるのは十九歳になったマノン様。

あと一年で追い出されてしまうことになる。


以前からレオンとお兄様につきまとっていたマノン様だが、

後宮に入る前に警告されている。


それに反省したのか、今ではリアーヌのことは言わなくなり、

ずっとレオンを慕っていたと口にするようになったらしい。


正当な方法でレオンの側妃になろうとしているのなら問題はない。

だけど、それで側妃になれるわけではない。


レオンに執着しているマノン様が素直にあきらめるだろうか。

あと一年しか残っていないとなれば何かするかもしれない。



リリアナ様はまだ十六歳。

成人するまでは強引な手を使っても意味がないと思っているのか、

面会しても和やかに話をするだけのようだ。


例の香を毎回たいているのは気にかかるが、媚薬ではないと聞いている。

同席しているマリアンヌ様が何か仕掛けてくるかと警戒していたけれど、

会話に入ることもなく、ただ穏やかに微笑んでいるらしい。



最年少のティナ様は相変わらずレオンとは話せないようで、

ルミエが同席することでなんとか会話をつないでいると聞いた。


レオンもさすがに無言で見つめられるのは苦行でしかないと、

ティナ様の相手をルミエに任せて、二人の会話を聞いているらしい。


成人するまでまだ時間があるせいか、

ティナ様が焦る様子はまったくないのだとか。



レオンが側妃候補を後宮に入れたのには、

私の立場が強固なものになるまで邪魔されないためでもあった。


ペルラン公爵家は謹慎中。

デュクロ公爵家はマリアンヌ様とリリアナ様がいない。

側妃候補として筆頭だと言われていたマノン様もいない。


今の社交界には私に対抗できる令嬢がいないことになる。

そのせいか表立って私の文句を言えるものがいなくなっていた。


他国の王族の血だから、ペルラン公爵家の縁者だからと私を嫌っていた者たちも、

お母様の援護のおかげで夫人たちも認めざるを得なくなっていく。


夜会でもレオンの隣に堂々と立ち、妃としての仕事も任されていくうちに、

いつの間にか誰もが私を正妃として扱うようになっていた。



そんなある日、ラルフが興奮した様子で執務室に駆け込んできた。


「陛下!香の成分がわかりました!」


「本当か!」


「手に入れた香を分析した結果が出たんです。

 これは嗅いだ者の魔力を増幅させるものでした」


「魔力を増幅?そんなことできるのか?」


「もともとはその目的で使われていた物のようです。

 ですが、本当に一時的な増幅なのであまり役にたたなかったそうです。

 その上、副作用として体力が削られます」


「ユウリとラルフがぐったりしていたのはそのせいか」


「おそらくは。陛下は魔力がもともと多いですから、

 あまり効果を感じられなかったのでしょう」


「なるほどな」


分析結果の報告書をのぞいてみる。

そこには増えた分の魔力量の予想が書かれていた。


レオンにとってはほんの少し増えただけ。

でも、子爵家のユウリとラルフにとっては魔力量が倍近くになっていた。


急激にそれほど魔力を増やされたら体力も削られるに決まっている。


「どうしてそれが惚れ薬になるんだ?」


「魔力量が上がることで気分が高揚するからだと思われます。

 その結果、一緒にいる相手に好意を持つ可能性があるのだと」


「ああ、気分が高揚するとはガイオが言っていたな。

 身体に害はないと聞いていたが、それも本当なのか?」


「魔力をあげるために体力を使うので疲れるでしょうけれど、

 他に何かあるわけではありません。

 煙にほんの少し毒性はあるようですが、尿で排出される程度のものです。

 魔力が元からない平民には効かないようですし……」


「それではデュクロ公爵家は軽い惚れ薬として使っていただけなのか」


いまだにレオンの面会日には香をたいているらしい。

他の日は香をたかないそうなので、レオンのためにたいているのは間違いない。


「俺には効果なさそうだけどな」


「魔力量が多ければ効果がないと知らなければ、

 陛下にも効果があると思っているかもしれません」


「それもそうか。俺たちだってラルフが分析しなかったら知らなかったしな。

 リリアナ嬢やマリアンヌが知らなくてもおかしくないか」


もう一年以上も効果がなかったにもかかわらず使い続けている。

レオンには効果なかったとわかっていてもいい頃だけど。


「高価なものなのかしら?」


「貴族の香として考えればそれほど高いものではありません。

 ですが、ペルラン公爵に伝手がなければ手に入りません。

 もしかしたら、ペルラン公爵家とつながりがあることを示すためにも、

 使われていたのかもしれませんね」


「あの男は一部の夫人たちには人気だったからな。

 香を手に入れたいと言って近づくこともあったんだろう」


自分の父親ではあるが、以前からそのように女性にだらしなかったことは知っている。

それを知った上であこがれる夫人たちがいることも。


私の母である元第三王女もそのような思いで公爵に近づいたのだろうか。

あの別邸で会う事は何度もあったけれど、会話らしい会話はほとんど記憶にない。

向こうも自分の娘だとはあまり思っていなかったような気がする。


関わらないことをルシールはそれが普通だと思っていたけれど、

リアーヌの記憶を思い出した今は異常だとわかっている。


問題になるとわかっていて、どうして私を産んだのだろうか。





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