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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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33/50

33.側妃候補の後宮入り

こうして新しい仲間が増え、安心して暮らせるようになった頃。

ようやく後宮が出来上がり、側妃候補が後宮に入る日が来た。


後宮内は候補ごとに区分けしてあり、同じだけの広さに作られている。

ここでは身分差はなく、全員が側妃候補という身分になる。


部屋は来た順に振り分けられることになっているが、

それを知らないで後から来たものが苦情を言ってきた。

当然、苦情は受け付けられず、最初から波乱の幕開けとなる。



最初に後宮に入ったのはゴーシュの妹ルリアナ様だった。

もうすでに学園を卒業し、今年十九歳になるので、

後宮にいられるのは一年と少し。


それでも後宮に入ることになったのは素行が悪いため。

ゴーシュが当主になることを拒否し側近になっていることもあり、

十七歳の弟が当主になる予定だそうだ。


その弟の結婚までは邪魔されたくないという事らしいが、

結婚後にルリアナ様が後宮から戻ってくる際には、

側妃候補を降ろされたという理由で領地に送ることにするという。


そんな家族にも見捨てられている状況のルリアナ様は、

後宮の部屋を見て狭いと騒ぎ出した。


「使用人たちの部屋もあるのでしょう?

 こんな狭い区画しか与えられないの?

 私は側妃候補なのよ!?」


側妃候補という身分にはなるが、特権はないと説明されたはずなのに、

後宮女官長のアミーナに苦情を言ってきた。


「主人の部屋と使用人十人の待機部屋、

 陛下と面会するための部屋も用意されていますし、

 生活するのに必要な空間は確保されています。

 主人の部屋は伯爵家の屋敷の私室よりも広いのではないですか?」


「そういうことではないわ!

 側妃候補なのに普通の部屋の広さでは足りないと言っているのよ!」


「嫌ならば後宮に入らなくてもいいと言われております」


「なんですって!?」


「陛下からのお言葉です。

 側妃候補をこちらが求めたわけではない。

 嫌ならば帰ってくれ、とのことです」


「……」


「それで、どういたしますか?」


「わかったわよ!我慢すればいいんでしょう!?」


アミーナに冷たくあしらわれたルリアナ様は、

納得しきれない顔だったようだけど、部屋に戻っていった。


アミーナは後宮と王宮の連絡係ではあるけれど、

後宮内を平和にするようにとは命じられていない。


ただ、他の候補との争いは避けるように、

死ぬものが出ないようにとは命じられている。


アミーナとルミエの一番注意しなければいけないことは、

側妃候補たちを関わらせないようにすることだった。


それぞれに区分けされているので、

他の区画には行かないように指示されてはいる。

ただし、見張ることもできないので、勝手に行くこともできる。


最初から苦情の対応にあたったことを聞いて、

想定よりも後宮内が荒れそうだと思った。


あまりにも女官長の二人に従わないようであれば、

それを理由に後宮から出すこともレオンたちは考えている。


そもそも側妃を持ちたくなくて後宮を作ったのだから、

側妃候補が全員いなくなってもかまわないのだから。




次に後宮に入ったのは、モーリア侯爵家のマノン様だった。


私は見ていないけれど、とてもあでやかなドレス姿だったそうだ。

使用人たちも着飾って、本当に側妃として後宮入りするようだったと。


マノン様は使用人の数で何か言ってくるかと思っていたけれど、

意外にも何も言うこともなく部屋に入った。


レオンの側妃になるために後宮に入ったのだろうから、

ある程度は我慢する覚悟で来たのかもしれない。



三人目はベラント伯爵家のティナ様。

側妃候補のお茶会ではあまり目立っていなかったけれど、

レオンのことが好きだと目で訴えていた令嬢だった。


学園にも入っていない十三歳のティナ様は、

黒髪に青目で可愛らしい。


性格はおとなしそうな感じに見えていたけれど、

つきそっていた当主はあまり後宮に入れたいようには見えなかった。

その反対を押し切って後宮に来たのなら、意思は強いのかもしれない。


ティナ様は使用人に教師も含めて連れてきていた。

学園に通わなくても学ぶことはするようだ。


ティナ様もやはり区画の狭さに驚いていたそうだけど、

文句を言うことはなく使用人に荷物の整理を命じていた。


十四歳のティナ様は最長で七年も後宮にいることになる。

学園にも通えず、社交もできず、レオンに月に一度会えるだけ。


望んでそのような環境に身を置いたのだろうけど、

二十歳で後宮を出されることを考えると胸が痛む。




最後に入ったのは、デュクロ公爵家のリリアナ様。


区画の部屋について苦情を言ってくるだろうと覚悟していたけれど、

それよりも驚かされたことがあった。


なんと使用人の一人として、

マリアンヌ様が一緒に後宮に入ってきた。


執務室に来た報告をお兄様がレオンに伝えに来て、絶句していた。


「……は?」


「え、今、マリアンヌ様も後宮に入ったって言ったの?

 つきそいで来て、帰るのではなく?」


「違う。使用人としてだ。ルミエが慌てて執務室に報告に来た。

 本人もマリアンヌ・デュクロだと名乗っていたそうだ」


「……嘘だろう」


「まさかマリアンヌ様が来るなんて……」


あまりのことに驚きすぎて、レオンも私も言葉が続かない。


「どうする?許可を出すか?さすがにこれは想定外だろう?」


本当に想定外すぎる。

側妃候補の使用人として、次期公爵夫人が来るなんてありえない。


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