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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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31.体制の見直し

夜会が終わった次の日、今後のことを執務室で話し合う。

マリアンヌ様との会話を聞いたレオンとお兄様は低く笑う。


「焦ってるんだろうな、ペルラン公爵」


「夫人の社交も禁じたからな。頼みの綱は嫁いだ娘か」


「息子はまだ社交できる年齢じゃないしな」


三年間の謹慎及び社交の禁止はかなり厳しいはず。

どうにかして取り消してほしいのだろうけど。


それで私に命じて何とかなると思うのがおかしい。


「私が素直に聞くと思ったのかしら」


「他国で身の置き場がない愛人の子だとでも思ってたんじゃないのか?」


「愛人の娘なら言うことを聞くべきだとか思ってたんだろう」


なるほど。マリアンヌ様というよりかは、

ペルラン公爵夫人なら言いそうなことだ。


「今、ペルラン公爵家はどうなっているの?」


「分家の者を使って他家と交流しようとしているらしいが、

 やんわりと断られているようだな」


「一応は公爵家だからな。はっきりと交流を断るのは難しいだろう。

 だが、三年もあれば関係は切れていくんじゃないか?」


「それはそうよね。

 だから、マリアンヌ様が動こうとしたのね。

 だけど、デュクロ公爵は知っているのかしら」


生家のペルラン公爵家のために動くことを、

嫁ぎ先のデュクロ公爵は知っていたのだろうか。

しかも、国王の婚約者である私に命じようとするなんて。


誰にも聞かれない場所だったから咎めるのは難しいけれど、

護衛の一人でも立ち会わせておけば、

不敬だと処罰を命じてもおかしくない発言だった。


「もともとデュクロ公爵家は穏健派だ。

 権力争いを嫌う穏やかな性格をしている。

 だからこそ、今の夫人やマリアンヌのように、

 気の強い妻の尻にひかれてしまいがちだけど」


「なるほど……」


公爵も次期当主もあまり前に出てこない家のようだ。

龍人の血を持たないので王位継承権もない。

野望を持つ必要も本来ならないのだけど。


「おそらく夫人とマリアンヌの気が合うのだろう。

 娘も気が強そうだしな」


「それはわかる気がするわ。

 側妃になって私を追い出すって言ってたものね。

 絶対にリリアナ様が側妃になれると思っているようだわ」


あの口ぶりではリリアナ様が側妃になるのは間違いないと思っていそうだ。

側妃候補の条件を知ってもそう思っているのは呆れてしまうけれど。


「まぁ、いい。

 側妃を狙う方に集中してくれればこちらもやりやすい。

 後宮が出来上がる前にルシールの警備体制を見直したいからな」


「募集はかけているんだよな?」


「ああ。護衛はジニー、侍女はレナが長になって、

 その下についてもらうことになる」


私の護衛はジニーしかいないし、

専属侍女はレナとユーリしかいない。


今は王宮にしかいないのでこれでもなんとかなっているけれど、

今後学園に通ったり社交をするようになったら足りなくなる。


皆が後宮や側妃候補に目がいっているうちに、

私の周りをしっかりと固めることになっていた。


募集に応じてきたものは、護衛はお兄様が、

侍女はお母様が審査して合格した者でなければつかせない。


これらに関しては、残念ならが私にできることはないので、

今は自主学習するか、魔術の練習をするしかできない。


「そういえば、後宮についての要望書が届いていたぞ」


「要望書?条件を変えてほしいとか?」


「行き場がないから後宮に置いてほしいという令嬢からの要望だ」


「行き場がない……?」


それはどういうことだろうか。

ゴーシュの家のように嫁ぎ先が見つからないとか?


「先妻の娘なので家で虐待まがいの扱いを受けていると。

 持参金がないので嫁ぐこともできず、高位貴族なので身売りもできない。

 後宮に入るにしても、家がそれだけの準備をするはずもない、と」


「それを……王宮でどうにかしてほしいと?」


「自分のことは自分でできるけれど、最低限の衣食の支給はしてほしいと」


「使用人なしで後宮に入るつもりなの!?」


高位貴族ということは伯爵家以上の令嬢だが、

使用人の手伝いなしで身の回りのことができるというのは異常なことだ。

虐待まがいというか、本当に虐待されているのでは?


「さすがにその令嬢だけ衣食を賄うことは無理だろうし、

 こちらは側妃候補になってほしいわけでもない。

 虐待されているのは可哀想ではあるが、

 それなら王宮女官にでもなって働けばいいのにと思うな」


「お兄様の言うとおりね……王宮女官にはなりたくないのかしら」


「どうやら、学園での成績はそれほど良くないらしい」


「……それで側妃候補」


たしかに今回の側妃候補は、

教養についてもとめている条件はないけれど。


本来であれば、一族の総力をあげてでも支えるのが側妃だ。

正妃の代わりに子をうめば、一族の栄華が保障されるのだから。


「まぁ、無理だと断っておこう」


当たり前のようにレオンはなかったことにしようとした。

だけど、何かが引っかかった。


王宮女官にはなれないけれど、身の回りの世話は自分でできる令嬢。


「……ねぇ、その令嬢を雇えないかしら」


「雇う?まさかルシールの侍女に?」


「いいえ。私の侍女は慎重に選ばなくてはいけないのはわかっているわ。

 そうではなくて、後宮内に使用人が必要なんじゃないかって思って」


「使用人?側妃候補が連れてくるだろう?」


「後宮内は男性は入れないのでしょう?

 側妃候補からの連絡を外に伝える者が必要でしょう?

 でも、側妃候補の使用人を王宮内とつなげるのは問題がありそうで」


「それはそうだな……」


後宮から王宮には入れないように扉をつける予定だ。

だけど、使用人たちが何度も出入りするようだと意味がない。


「そうなると、王宮女官に行き来してもらうことになるだろうけど、

 王宮女官が足りないのに、そこに人員を割くのはどうかと思って。

 後宮内に住んで、側妃候補からの要望を取りまとめて伝える者がいれば、

 こちらとしてはやりやすいのではない?」


「そういうことか……」


おそらく、側妃候補のみなさまは後宮に入った後で騒ぐと思う。

隔離された場所で令嬢と使用人だけが住むのだから。

問題が起きないわけがない。


その都度、王宮の者が呼び出されるのは苦労しそうだ。

あらかじめ、外とつなぐ役目の者を置いておけば、

少なくともレオンの側近たちが振り回されることはない。


「そうだな。使用人として後宮に置くのなら、衣食住の面倒と、

 それなりの給金も出してやれるな。

 審査は必要だが、考えてみるか」


「それでね、やってみてほしいことがあるの」



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