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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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21.両親との再会

私室に戻って、ゆっくりと呼吸する。

思っていたよりも緊張していたみたい。


「大丈夫か?疲れただろう」


「ええ、そうね。向こうがどう出てくるかわからなかったから」


「それにしても、意外と素直に引き下がったな。

 ルシールを娘だと認めないと言い切るかと思っていた」


「そうね」


親権移籍届けはあるけれど、それだって偽物だと主張することもできたはず。

アンペール国のためを思えば、何が何でも否定するべきなのに。


私とレオンは不思議がっていたけれど、お兄様の考えは違った。


「おそらくルシールのことで騒ぐと、

 上の子どもたちのことも調べられそうで嫌なんだろう」


「ああ、そうか。愛人が産んだ子を元王女の子として籍に入れているのか。

 たしかにそれが知られたら困るよなぁ」


考えてみれば、私が元王女の不貞でできた子だと知られるよりも、

ジョアン公爵家の息子と娘が愛人の子だと知られる方がまずい。


降嫁した王女をないがしろにしたという証拠なのだから。


「じゃあ、もうこちらに言いがかりをつけることはないかしら」


「ジョアン公爵は今回だって関わりたくなかっただろう。

 だが、国王から命じられれば来ないわけにもいかない。

 また国王が命じれば何か言ってくるかもしれないな」


「そう……できればもう来ないでほしいけれど」


と言いながらも無理だろうとは思う。


「ねぇ、親子を鑑定する魔術具って本当にできるの?」


「いや、実はもうできている」


「え?そうなの?」


「ああ。だが、これを売り出すとめんどうなことになるだろう。

 だから、時期を見て発表する予定だったんだ。

 ルシールの血筋を鑑定しなければいけないとなれば、それで鑑定すれば済む」


「それなら安心ね」


アンペール国の使者との話し合いが済んだことで、

一応は両国の間で私が正妃候補として認められた形になる。


教師は相変わらず見つからないけれど、

王宮内での生活は穏やかなものになった。




そうして二か月が過ぎた頃、ようやくお父様とお母様が王都に戻ってきた。

待ち望んでいた面会の日、朝から落ち着かなく待っていると、

お父様たちが王宮入りしたことが知らされる。


どうしよう……お父様もお母様も事情は知っているはずだけど、

何を話せばいいのかしら。


お茶会で突然倒れてそのまま死んでしまった娘のことを、

二人はどう思っていたの。


早く会いたいと思う反面、ルシールを受け入れてもらえるのか不安もある。


ドアがノックされ、入室の許可をもとめられる。

部屋に入ってきた二人は、すぐに立ち止まった。


二人とも目を見開いている。

二人とも白髪交じりになり、お母様はやつれて見える。


「あ……」


何を言おうと思っていたのか。

言葉が何も出てこない。


ゆっくりとこちらに近づいてくる二人を見て、

涙だけがあふれてくる。


「……リアーヌなのね」


「ああ、本当にリアーヌが」


「……お父様、お母様」


それを言うのが精いっぱいだった。


「帰ってきてくれたのね……ありがとう」


「ご、ごめんなさい……あんなことになってしまって」


「いいんだ。リアーヌのせいじゃない」


「でも……」


「ここに戻ってきてくれただけで、もういいのよ。

 おかえりなさい、リアーヌ」


「お母様!」


お母様に抱きつくと、強く抱きしめ返される。

その上からお父様にも抱きしめられ、三人でただ泣いていた。


落ち着くまで泣いたら、レオンに顔を拭かれる。

お兄様もお父様とお母様にハンカチを渡していた。


「話はゆっくりすればいい。

 これからいつでも会えるのだから」


「ええ、ありがとうございます、陛下」


それからレオンを交えて、今後の話し合いをし、

まずは、お父様がお兄様の代わりに公爵領の仕事をすることが決まった。


「引退したのに悪いが、ユリウスには宰相の仕事に集中してほしい」


「問題ありません。

 ルシールを正妃にするまでは宰相の仕事に集中できるようにしましょう」


「助かる。どこで妨害されるかわからないからな」


お兄様も王宮内に部屋を与えられ、あまり屋敷には帰らないようになっている。

お父様が公爵領の仕事をしてくれるなら、帰る必要はなくなる。


「父上、ルシールを養女にする件、進めて問題ないですね?」


「もちろんだ。すぐにでも手続きをしよう」


あらかじめ用意してあったのか、お兄様がお父様に書類を渡す。

書類を確認して署名をし、レオンに提出する。


これが認められれば、私はまたアルベール公爵家の娘になれる。


「アルベール公爵家の養女になれば、教師の問題も解決するかしら」


「そうなるといいんだがな」


「それはどういうことでしょうか?」


これまでの教師たちの態度を説明すると、お父様も渋い顔になる。

お父様でも難しいのかもしれない。


そうなると、もう教師を探せなくなってしまう。

教える必要はなく、試験をしてくれるだけでかまわないのに。


「そういうことであれば、私が教師になりましょうか?」


「え?お母様が?」


「公爵家に嫁ぐために、妃教育と同じものを受けていますからね。

 私が確認したといえば、認めないとは言えないのでは?」


「夫人が見てくれるのならそれが一番いいな。

 だが、まだ体調が万全ではないだろう。

 元通りになったらルシールの教師役を引き受けてくれ」


「かしこまりました」


「お母様、ありがとう」


悩んでいた教師の問題もこれで解決できそう。


養女の書類もすぐに認められ、私は正式にアルベール公爵家の長女となった。


「これで公式の場でもお兄様と呼んでも大丈夫ね」


「ああ、これで安心だ」


アンペール国のことも、アルベール公爵家のことも、

教師のことも片付いたことで、

これでもう大丈夫かもしれないと思い始めた頃。


国内の貴族家からいくつもの嘆願書がレオンに届いた。


それはいち早く側妃を娶ってほしいというものだった。





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