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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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18.マノン様の言い分

「……待って」


「どうした?」


「私、マノン様と会ってみたい」


 「「は?」」


三人とも驚いているけれど、そんなに変なこと言った?


「会ってどうするんだ?」


「だって、私が正妃になること反対しているのよね?

 まずその意見を聞いてみないと対応を考えられないじゃない?」


「それはそうだが……何かされたら困る。

 反対の意見を聞きたいだけなら、そこで聞いておけばいい」


「ここで?」


「俺が個室の外で話を聞くから、中で聞いていて。

 それだったら許可してもいい」


レオンだけじゃなく、お兄様も同じ意見のようでうなずいている。

それだけ会わせると何するかわからないってこと?


仕方がないので、それで納得することにした。


レオンだけを外に出すわけにはいかないので、

ジニーが一緒についていくことになった。


私はお兄様と一緒に個室の中で聞き耳を立てる。


少しすると、高めの女性の声が聞こえた。


「レオンハルト様!」


「マノン嬢、こんなところまで押しかけるとはどういうことだ?」


「どうして私は王宮に入れてもらえなくなったのですか!?」


「それは何度言っても無許可で押しかけてくるからだろう。

 きちんと謁見の申し込みをするようにと言ったあったはずだ」


「そんな!今まで許してくれていたのに」


「マノン嬢、これまでは君が子供だと思って許していたんだ。

 だが、もう学園に入って準成人になっている。

 あと一年半もすれば成人だ。

 いいかげん、貴族令嬢としてふさわしい行動を取ってくれ……」


「でも……」


レオンの言っていることは誰が聞いても正しい。

それでもマノン様は認めたくないのか口ごもっている。


「……私はどうしてもレオンハルト様に言わなくてはならないと思って」


「何をだ」


「私はレオンハルト様の正妃候補に、

 他国の王族の血を引いているだけの令嬢なんて認めません!」


「なぜだ?」


「そもそもどうして他国の者を正妃にしなくてはいけないのですか!

 我が国の令嬢から選べばいいじゃないですか!」


「それは無理だな」


「どうして!」


「隣国の王家の血を引くものを正妃とすると決めたのは、

 十年前の同盟だ。ここでそれを違えた場合、

 十年分免除されていた関税を払えと言われるだろう」


「え……」


「それだけでなく、違約金を払えと言われる可能性もある。

 マノン嬢に、この国の貴族に、それが払えるのか?

 この国の者を正妃にして、その家がそれを保証できるというのか?」


「……いえ」


さすがにそれは無理だろう。


十年分の魔石の関税なんて、どの家であっても払えるものではない。

莫大な金額になる。

だからこそ、同盟を結んだ前国王は責められなかったのだと思う。


経済の問題でもあると言われ、マノン様は黙り込んだ。


「それに、他国の王族の血を引いただけの令嬢だと言ったが、

 それは俺を見くびっているのではないのか?」


「え?それはどういう……」


「俺がそれだけで正妃候補を選ぶわけがないだろう。

 正妃にふさわしいと思ったから選んだ。

 でなければ、俺は受け入れたりしない」


「そんな……ですが、それではリアーヌ様が」


「リアーヌがどうだと言うのだ」


「私はリアーヌ様に頼まれたのです。

 レオンハルト様が変な令嬢につかまらないように見ていてと。

 だから、私にはレオンハルト様を止める権利があります!」


……私、そんなこと言ってない。頼んでもいない。

マノン様とそんなに仲がよかったわけでもないのに。


「前からマノン嬢はそう言っていたが、それは嘘だろう」


「嘘なんかじゃっ!」


「だったら、俺とユリウスを馬鹿にしているのか?」


「そんな……」


「リアーヌは十二歳だった。当時、マノン嬢は六歳だったよな?

 十三歳だった俺のことをマノン嬢に頼むって、

 どう考えてもおかしいだろう」


「でも……本当のことで」


「リアーヌが頼るとしたら、マノン嬢ではなくユリウスだ。

 これ以上は、勝手にリアーヌの名前を使うな。

 今後、俺の前でそれを言った場合、ただでは済まさない」


「そんな……」


「話は終わった。出ていけ」


「っ!!」


マノン様は出ていくのを嫌がったのか、

ジニーが声をかけて連れて行くのがわかった。


まだ話したいことがあるのか、大声でレオンの名前を叫んでいる。

これって外にいる人たちにも聞こえているわよね。

貴族令嬢として恥ずかしくないの?


マノン様って……あんな子だったかしら。


「お兄様、マノン様ってあんな性格なの?」


「俺が知っている限りではいつもああだ」


「そうだったの……言うまでもないと思うけど、あれは嘘よ」


「だろうな。だが、俺とレオンは否定する気力もなかったんだ。

 放置してしまったのが悪いと、今は思うが」


「うん……そっか」


それ以上はもう何も言えなかった。

戻ってきたレオンとジニーを迎え入れる。


気分を変えるために氷菓を食べてから、王宮に戻ることにした。


「マノン様、さすがにもう来ないわよね?」


「多分な。だが、令嬢の中にはマノン嬢を信じている者がけっこういる。

 それらの誤解をといていくのはけっこう面倒だな」


「そうなの……それは厄介ね」




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