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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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15/18

15.知らない友人関係

隣国の王族の血を引き、筆頭公爵家が後見。

国王と同等の魔力量があり、三属性持ち。


この条件を上回る令嬢はいないはずだが、

それでも一部の令嬢から不満の声があがった。


その中の一人、モーリア侯爵家のマノン様。


リアーヌだった時にはレオンの側妃候補の中で最年少の六歳だった。

今は十七歳。まだ婚約すらしていないらしい。


彼女はよほど許せなかったのか、

王宮にいるレオンに直接文句を言いにきたという。


「え?王宮まで?認めないって言いに来たの!?」


「ああ、そうだ」


令嬢が一人で王宮に来るというのも驚きだが、

マノン様はレオンの執務室に突然押しかけてきたという。


「絶対に正妃候補として認めるわけにはいかないと言っていたよ」


「いろいろと理由は言っていたが、レオンはほとんど聞くことなく、

 近衛騎士に命じて退室させていたな」


「令嬢の意見をいちいち聞く必要はないだろう。

 側近でもないのだから」


よほど大変だったのか、二人ともうんざりした顔をしている。


「それにしても、執務室に来るまで誰も止めなかったの?」


「あぁ……それにはちょっと訳がある」


「訳?」


「リアーヌはマノン嬢と仲が良かっただろう?」


「……マノン様と?良かったかしら。

 あぁ、一番幼い令嬢だったから気はつかっていたかも?」


側妃候補の中で最年少の六歳だったこともあって、

他の令嬢にいじめられたりしないように気はつかっていた。


でも、特別扱いしていたわけではないし、

個人的なつきあいがあったわけでもない。


「どうかした?」


「いや、俺たちは仲が良かったと聞いていた。マノン嬢から」


「そう?まだ六歳だったから、優しくされたことでそう思ったのかもしれないわね。

 そういえば生まれた時は身体が弱かったとかで、

 侯爵が大事に育てているとは聞いていたわ。

 そのこともあって、倒れたりしないように気をつかっていたの」


「……そういう次元の話じゃないんだ」


「どういうこと?」


「特別な関係だと聞いていた。リアーヌから贈り物をされるくらい」


「贈り物?……何か贈った記憶はないわね」


「やはりそうか……」


「そうかもしれないとは思っていたが……」


二人は私の返事を聞いてがっくりしている。


聞けば、二年ほど前からマノン様は月に一度は王宮に来ていたという。

それも、リアーヌの遺品などを持って。


「私の遺品?どうしてマノン様がそんなものを持っているの?」


「リアーヌが亡くなってすぐには何も言ってこなかった。

 だが、二年前に学園に入学したころから王宮に来るようになった」


「学園に入学……準成人するまで待っていたのかしら」


お茶会などの社交と違って、一人で参内できるのは準成人から。

それだって何か理由がなくては入れないのだけど。


「おそらくそうだろうな。一人で来ていたようだから。

 リアーヌ様の遺品を見つけたので渡したい、

 リアーヌ様との思い出を一緒に語りたい、などと言っていた」


「遺品はハンカチや小物などだった。

 正直言って、見てもリアーヌの物かどうかはわからなかった」


「あやしんでいたのに、どうして会っていたの?」


私の遺品かどうかあやしんでいたのに、どうして面会していたのかわからない。

首をかしげると、二人とも気まずそうな顔になった。


「……少しでもリアーヌのことを思い出したかったんだ。

 もしかしたら、本物かもしれないし。

 少しでもリアーヌのことにふれていたかった」


「俺もそうだ。時間が過ぎるにつれて、リアーヌの名前を聞くことが少なくなった。

 マノン嬢からリアーヌの話を聞くのが楽しかったんだ。

 仲良くしていたのが嘘だったとしても、

 リアーヌの話を聞くだけで幸せだったころを思い出せる気がした」


「……そういうことだったの」


私がいなくなって、どれだけ落ち込んでいたのか想像するだけで申し訳なくなる。

マノン様はそんな二人の気持ちをわかった上で近づいてきたらしい。


あの頃は六歳の小さな令嬢で、可愛らしい子だと思っていたのに。

私の死を利用するような真似をしたことを腹立たしく思う。


「何度も執務室に入れて話をしてしまったがために、

 近衛騎士たちも通していいと思ってしまったらしい。

 今後は謁見許可を取らない場合は通すなと命じた」


「さすがに謁見許可を取ってまで抗議には来ないわよね?」


「来たとしても却下するよ。

 ただの侯爵令嬢にそのような権利はない」


「そうよね……まぁ、認めたくない気持ちはわからないでもないけど。

 マノン様のためにも早々にあきらめてもらいたいわ」


令嬢が国王の決定に抗議したなんて噂になってしまったら、

きっと嫁ぎ先がなくなってしまう。


十七歳でこれから婚約者を探さなくてはいけないマノン様にとって、

それはよくないことだ。


「近衛騎士には注意しておくように言うよ。

 今までがおかしかったんだ。

 婚約者でもない令嬢が執務室まで入ってきていたなんて」


「そう……よね」


もしマノン様がそのことで特別な存在だと思っていたならば、

レオンの妃になるつもりでいたのかもしれない。

だから、十七歳になっても婚約すらしていなかった。


もうつけいられることはないと二人は言うけれど、

どうしても不安は残ったままだった。







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