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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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13.報告と魔力鑑定

ペルラン公爵夫妻との話し合いを終えたレオンとお兄様が部屋に帰ってきた。

いい結果だったのは表情を見ればわかる。


「おかえりなさい!」


駆け寄ってきたレオンが私を抱き上げようとしたけれど、

お兄様が横から奪うように手を伸ばすのが先だった。


「ユリウス!」


「少しくらいいいだろう。レオンは夜まで一緒にいるんだから。

 俺は屋敷に戻らないといけないんだ」


「それはそうだが、ルシールを返せ!」


懐かしい二人のやり取りに思わず笑ってしまう。

リアーヌはよくこうして二人に取り合いされていた。


たいていはレオンが勝っていたけれど、

今日のお兄様は譲るつもりはないらしい。


「あ~あ。俺も王宮内に部屋が欲しいな。

 そうすれば屋敷に帰らないですむのに。

 なぁ、レオン。俺にも部屋をくれよ」


「お前も妃にでもなるつもりか?」


「それはごめんだな」


屋敷と王宮を行き来するのが面倒なのか、

部屋を欲しがっているけれど、臣下で王宮内に部屋を持つのは難しい。


「そうだな、正式に宰相になるのなら特例で部屋を用意してもいい」


「わかった。なってやってもいい」


「本当か?あんなに嫌がっていたのに」


「公爵を継いだばかりで余裕がなかったからな。

 だが、ルシールを後見するならば権力はいくらでも欲しい」


「お兄様、宰相になってもいいの?もっと忙しくなるのに?」


「今だって宰相のような仕事をしているんだ。仕事量は大して変わらない。

 任命されて貴族たちが騒ぐのが面倒だっただけだ。

 ペルラン公爵家が失脚したことで、他の家もおとなしくなるだろう」


そうだった。まずはそれを聞きたかったのに。


「ペルラン公爵家との話はどうだったの?」


「ペルラン公爵家は三年間社交と王宮の出入りの禁止。

 あとはアンペール国との協議次第だな。

 ルシールの後見はアルベール公爵家がすることになった」


「本当!?よかった……」


実の父親とはいえ、ペルラン公爵とは関わりたくない。

少なくとも王宮に来ることがなければ会わずに済むはずだ。


「ユリウス、いつまでルシールを抱き上げているんだ。降ろせ」


「妹を可愛がるくらい許せよ」


「はぁぁ……気持ちはわかるが、部屋の外では気をつけろよ。

 今は血のつながりはないんだ。不貞だと思われかねない」


「さすがに外ではやらないから安心しろ」


言われてみればその通りでしかない。


お兄様が私を抱きあげるのはいつものことだと思っていたけれど、

何も知らない人から見れば他家の令嬢を抱き上げている状態だ。


疑われるようなことは外ではしないほうがいい。


「じゃあ、お兄様と呼べるのもこの部屋の中だけなのね」


さみしいと思ってしまったら、レオンとお兄様が慌てだした。


「あ、いや、うん。この部屋の中ならいくらでも呼んでいいんだからな」


「ああ、いっそのことルシールを養子にするか。

 父上たちの養子にしてしまえば、また妹にすることができる」


「え?そんなことできるの?」


「もうすでに後見に入っているから、可能だよ。

 だけど、養子の手続きには前公爵に署名をもらわないといけない。

 領地にいるんだよな?王宮まで来れそうか?」


「……王都に戻ってきてくれるように手紙は出したんだが、

 母上の体調がおもわしくない。

 一度ジニーを領地に行かせようと思っている」


「ジニーを?」


ジニーはお兄様が一番信頼している侍従だ。

領地への連絡役なら、わざわざジニーを行かせなくてもいいのに。


「手紙でルシールのことを伝えるわけにはいかない。

 誰かに読まれてしまうかもしれないしね。

 だから、ジニーにルシールのことを打ち明けて、父上に話してきてもらう」


「それならジニーを行かせるのも納得だわ。

 お母様はそんなに良くないの?」


「母上はリアーヌが死んでから生きる気力がなくなってしまっている。

 だけど、ルシールのことを知ったら、元気になってくれると思う」


「……もう一度お父様とお母様に会いたいわ」


「ああ、ジニーにそう伝えさせるよ。

 大丈夫、すぐに会える」


「ええ」


私のせいでお母様につらい思いをさせてしまったのだと、

涙がぽろりとこぼれた。


それをレオンとお兄様が両側から拭おうとしてくれる。


「ルシールのせいじゃない。泣かないでいい」


「ほら、俺のところにおいで。お茶にしよう」


我慢できなくなったのか、レオンが私を奪い返そうとする。

お兄様も今度は抵抗せず、私をレオンに渡した。






それから一週間後、魔力がようやく安定したらしく、

魔力鑑定を行うことになった。


王宮魔術師が来るのだと思っていたのに、

鑑定する場にいたのはレオンとお兄様だけだった。


「魔術師を呼ばなくていいの?」


「鑑定結果を全部公表できないかもしれない。

 だから、ユリウスに鑑定させることにした」


「公表できない?」


貴族令嬢の魔力量と魔力属性は基本的には公表される。

お見合いする時の条件の一つになるからだ。


公表できないと言われた理由がわからなくて首を傾げる。


「まぁ、鑑定してみればわかる。ユリウス、やってみてくれ」


「わかった。ルシール、両腕に器具をはめるから手を出して」


椅子に座り、テーブルの上に手を出すと、両腕に輪っかをはめられる。

ルシールが魔術具で鑑定されるのは初めてだ。


「火……風……水。やはりレオンの魔力属性まで移っているな」


「やはりそうか」


「三属性?」


普通は、主属性と副属性の二つを持っている。

たまに単属性の場合もある。リアーヌがそうだった。


だけど、三属性はめずらしい。しかも、火と水を持つなんて聞いたことがない。


「問題はそれだけじゃなさそうだ……」


「え?」


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