めんどくさいけど村で奮闘してみる
ミュール村についた。
「怪鳥ガルーダはどこかしら?この22位銅印騎士、マリーヒェン・フォン・マリーンドルフが直々に相手してあげるわ!」
着く早々名乗りを挙げるマリーだが、鳥なんかに名乗って意味があるのだろうか。
つーか、いい加減はっきり言ってやらないと。
「あのさ……」
「なによ」
「敵に対して、もっと慎重になるべきじゃないかな。あまりにも猪突猛進すぎるというか……」
「な、なんですってぇ!!」
案の定キレるマリー。しかし命に係わる問題だし、引き下がるわけにはいかない。
「いや、君のためを思って言ってるんだよ、まずは敵の力量を見定めるとか」
「あんたに騎士の戦い方の何が分かるって言うのよ!」
取り付く島もない……敵を倒すよりマリーを死なせないようにする方がよっぽど難しい。
もう、敵が出たら腹パンでもして気絶させようか……
でもよく漫画やアニメでやってる腹を殴って気絶させるのって、実際にやったらヤバいんじゃないのか。
今の自分の力では手加減しても致命傷になりかねんし……。
と、最後の手段を考え始めていると……
ブァサッ、バサッ!!
凄い羽音が聞こえてきた。見上げると、でっかい鳥が近づいてくる。
これがガルーダか!
「出たわね怪鳥!この私の前に出てきたのが運の尽きよ!たあーっ!」
マリーが剣を構えて、鳥に向かって行く。
俺が戦い方について諭したいせいで、かえって意地になって逆効果だったのだろうか?
ガルーダは大きく鋭い鉤爪を前に出している。
まずい、あれではマリーがえぐられて、やられてしまう!
「マリー、どけっ!」
「えっ!?」
俺はマリーの前に飛び出して、マリーを突き飛ばした。
ガシッ!!
ガルーダが爪で俺をがっちり掴んだ。
「うへえっ!?」
変な声が出ちまった。
ガルーダは俺を捕まえたまま高く飛び上がった。
……こ、こええええ!!
空中でこんな高い所を飛ぶ体験なんかしたことが無い!!
スカイダイビングとかやったことないし。
今の俺なら落ちても死なないかもしれないが、怖いのはどうしようもない。
ガルーダは俺を山中の切り立った高い崖の上にまで運ぶと、そこで俺を降ろして去って行った。
完全に孤立した場所で道は全く無く、降りることは常人には無理だろう。俺なら飛び降りても平気だとは思うが。
崖の上には高い草の茂みがある。……ん?誰かいるぞ。
「だ……だれですか?」
茂みの中から声が聞こえた。女の子の声だ。
俺と同じくガルーダに連れてこられたのだろう。安心させなくては。
「大丈夫、俺は敵じゃない」
「そ、そう……良かったぁ」
草の間から女の子が出てきた。ミュール村の住人だろう。
顔は丸顔で目がくりっとしている。髪は栗毛色でおかっぱ……いやショートボブというのか。
そしてなにより……む、胸が凄く目立つ。メロン大……いやもっと…メロンとスイカの間くらいの2つの巨大な球が胸にぶらさがっている。
バストはきっと三桁あるだろう。
マリーもかなりスタイルは良いが、胸はこの子には全然及ばない。
ただ……その分、ぽっちゃりしている。決して、デ〇とは言えないが、ちょっとむちっとしている。
全体的に、丸いって感じの子だ。
さらに嬉し……じゃなくてやっかいなのが、その子が薄着であることだ。
上はシャツ一枚なので、大変なことになっている。下のスカートも短い。
丸見えではないものの、あちこちはみだしていて、目のやり場に困る。
「き、君は……」
「あたしはミュール村のミルンといいます。あなたはどちら様ですか」
無理して敬語で話している感じだ。
「俺はサトシ。この村の怪鳥ガルーダを退治しに来たんだ」
「そうですか!よく来なすったなあ!……あ、よく、いらっしゃいました」
そう言ってニコニコ笑った。とても気立てのいい子のようだ。
訛りを気にしている所もチャームポイントかな。
「君……ミルンも、あの鳥に捕まってここに?」
「そうです……サトシ様もですか……」
ミルンはちょっとがっかりしたようだ。無理もない、自分と一緒に捕まった奴が強いとは思えないだろう。
「ミルンはいつここに連れて来られたの?」
「あたしは昨日です……こんな高い所からじゃ降りることもできなくて、どうしたらいいのかなって……」
ガルーダが人間をここに連れてくる理由は……おそらく、保存食だろうな。
鳥にはよく見られる習性だ。モズの早贄みたいに殺されないだけ、ミルンにとっては良かった。
バサッ、バサーッ!
ガルーダが帰って来やがった!『食事』をするつもりか!
「ひいっ!」
ミルンが俺に抱き着いた!
ぶよんっ!
こ、これは……この肉のカーテン、俺には刺激が強すぎるぅ!
いかん!いくら俺が強くても、冷静にならないと流石にやられる!
「こ、怖いっ!サトシ様、助けて!」
ミルンは柔らかい枕のような大きな胸を、ぐいぐい押し付けてくる!
ミルンの体はちょっと汗ばんでいるが、でもいい匂いがする……。
あっ……ああっ
この人生初体験の事件、もっと堪能したいけど、今はそれどころじゃない!
俺はガルーダに向けて炎魔法を撃った。パワー全開!
ゴオオオッ!
「ひゃっ!」
ミルンが体をびくっと震わせた。その感触が俺にもダイレクトに伝わる。
こんな時じゃなければ、この柔らかい物に包まれるような感覚を、もっとじっくり堪能したいのだが……。
魔法はかわされた。決してミルンのせいではなく、ガルーダが巨体に似合わず意外と素早いのだ。
もう一回!
ゴオッ!
しかしまた外れる。でかい図体のくせに、ひょいひょいかわしやがって。
意外と頭も良く、こちらが何か撃ってくる可能性を読んでいたようだ。野盗なんかよりよっぽど賢い。
俺の魔力を感じ取っていたのかもしれない。
俺の炎魔法には欠点があることを悟った。一点突破型の魔法で、広範囲に攻撃できないのだ。
今回のように素早く飛び回る敵には、この魔法は向いてない。
ゴオッ!
ガルーダに近寄らせないために、牽制として炎魔法を撃ち続けなければならない。
しかし、これではいつか魔力が尽きるかもしれない……。
物理戦になったら、あの素早い相手に対して、ミルンを守りながら戦うのは難しい。
ミルンをかかえて崖から飛び降りるか?……着地の衝撃にミルンが耐えられるかわからないし、落ちている間にガルーダに攻撃されるかもしれない。
どうする……詰んだのか?
「僕を必要としているレスね。さあ、選択の時間レスよ」
目の前に、再びあの悪魔が現れた。




