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タイトル未定2026/06/17 06:04

 昼休み教室の窓際で、大門と游太が冬の寒空を見あげていた頃、大学のキャンパス内で、たくさんの画材道具を抱えた流花はふと立ち止まり、寒空を見あげていた。

 就職活動はさっぱりだったが、卒業課題が少しながらも、思い描いていたものに近づき、やっと軌道に乗ってホッとしていた。

 ……大門君に会っていないなぁ。

 もう、大きくなったかな?

 元気かな?

 久しく会っていない大門を思い出しながら、流花はマスターを思い出していた。

 マスターとは初めて二人きりで一日を過ごした以外は、週末の夜barジェシカのホールのバイトの時にしか会っていない。

 ホールのバイト中、常連客の男性たちと楽しく会話をしていると、少し困った顔をするマスターと、仕事上がり夜道をマスターと一緒に歩く時間が大好きだった。

 お互い忙しくて、bar「ジェシカ」のホールのバイトの時しか会えないが、それだけで流花は幸せだった。

 渚と佐野の二人は、今では半同棲中だ。

 流花は二人を凄いなぁとは思いながらも、自分もマスターとそうなりたいと言う思いは全くなかった。

 少しの時間でも、マスターの側にいられる。

 それだけで、流花は満たされていた。

「あの……あのぉ!」

 その声で、慌てて振り返った流花は、持っていた画材道具を半分落としてしまった。

「す、すみません!」

 流花を呼んだ相手は、流花が落とした画材道具をすぐさま拾って、流花に手渡した。

「ありがとう」

 流花は画材道具を受け取り、真っ直ぐ相手を見た。

 流花と同じくらいの身長で、サラサラヘアーに、濡れたような大きな瞳とリップをつけているような口角があがった唇は、まるでアイドルのような顔立ちをした男性だった。

 アイドル顔の男性を、流花は思わず見つめていた。

「あの……」

 流花と男性は同時に言って、吹き出した。

 見ず知らずの男性に、声をかけられた流花は聞いた。

「何か、用ですか?」

 流花が聞くと、男性は思い切ったように言った。

「俺……IT科の野田です。建築科の生徒だよね」

「はい……白田です」

 相手がちゃんと名乗ったから、自分も名乗らないと……そう思い、流花は名乗った。

 流花が名乗ると、野田は思い切ったように切り出した。

「……突然声をかけて、すみません!俺、ずっと白田さんを見ていました。俺と……付き合って……いや……友達になってくれませんか?」

 思いがけない言葉に、流花はポカンとしてしまった。

 野田は少なからず落ち込んでいたが、更に続けた。

「白田さん、いつも四人で行動をしていたよね。俺もあんな風に、白田さんの隣を歩きたいと思っていた」

 流花は、小さく息をついた。

「野田さん……IT科でしたよね」

「はい!」

「凄く難しそうな、学部ですね」

「パソコンが、好きなだけです。白田さんの建築科も、大変そうじゃないですか?」

 野田は、流花が手にしていた画材道具を見ながら言った。

「今、卒業の課題の製作の追い込みをしています」

「それは、大変だ」

「就職活動も、うまくいっていないし」

「それは、俺も同じ」

 流花と野田は、笑いあった。

 笑いを収めた流花は、キャンパス内にあった柱時計を見て慌てた。

「あっ、もうこんな時間」

「忙しいのに、呼び止めちゃってごめんね。あの……またこうやって、話をしても良い?」

 返事に困った流花は少しだけ笑い、慌てて走り出した。

 

 野田と別れた流花は、製図室に向かった。

 製図室では、先に来ていた渚と佐野と田中の三人が卒業の課題の製作に取りかかっていた。

 製図室に入った流花に、渚が言った。

「流花ちゃん遅い!もう、先に始めちゃっているよ」

 渚の言葉に、流花は急いで製作に取りかかった。

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