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タイトル未定2026/06/17 06:13

 製図室では、卒業課題を一足早く終了させていた渚と佐野と田中が、製作をしていた流花を、静かに見守っていた。

「……できた」

 つぶやくように流花が言うと、確認をするように、渚が言った。

「……完成したの?」

 流花は、渚の方を振り返り笑顔で大きく頷いた。

 そんな流花を見届けた渚は、両手を広げ流花を抱きしめた。

「やったぁ。お疲れ様!」

 渚にハグをされながら、流花は顔を上げて渚と佐野と田中に言った。

「なぎちゃん、佐野君、田中君。最後まで付き合ってくれて、ありがとう」

「流花ちゃん、お疲れ」

 佐野が優しく言い、流花は大きく頷いた。

 

 製図室の片付けを終え、流花達はキャンパスを後にした。

 外はすっかり真っ暗で、街灯が夜道を照らしていた。

 外に出ると、目の前には野田がいた。

 野田は笑顔で、流花に言った。

「お疲れさま」

 笑顔で言う野田に、流花は今朝の野田が言っていた「夕飯おごらせてよ」の言葉を思い出した。

「本当に、待っていたんだ」

「うん。楽しみだったからね」

 流花と野田のやりとりを見ていた渚は、流花に言った。

「私達、帰るね。流花ちゃんお疲れさま」

「なぎちゃん、佐野君、いつも付き合ってくれてありがとう。またね」

 渚と佐野が歩いていき、流花と田中と野田の三人が残った。

「で、今から何をするんだ?」

 田中が、野田に聞いてきた。

「白田さんが、就職の内定をもらったから、今夜はおごるよって言ったんだ。一緒にどう?」

 田中が返事をする前に、流花が言った。

「内定を、もらっただけだよ。じゃあ、ハンバーガーでも食べに行こう。それなら自分の分は、自分で払えるし」

 流花の言葉に、野田は思わず吹き出した。

「それじゃあ、俺が夕飯をおごる意味がないじゃん。流花ちゃんって、変わってる!」

「そうぉ?あぁ、お腹すいたぁ。何にしようかな」

 流花は、歩きだした。


 繁華街にあるチェーン店のハンバーガー屋で、それぞれ好きなハンバーガーを買い、景色が眺める窓側のカウンター席に、流花を真ん中にして、一列横並びに座りハンバーガーを食べた。

 ハンバーガーを食べ終わった流花は、ドリンクを飲みながら卒業課題の作品が完成したことを、野田に話した。

「やったじゃん!お疲れさまでした」

「ありがとう」

「就職も決まったし、後は卒業を待つばかりだ」

「やっと、肩の荷が降りた」

 ホッとしたように流花が言うと、それまで黙っていた田中が、突然切り出した。

「実は、俺も昨日内定をもらったんだ」

「本当に?」

 野田は、大きなショルダーバックから、封筒を出し封筒の中から手紙を出して流花に手渡した。

 流花は、手紙を広げた。

「……これって、私と同じ設計事務所……」

「卒業しても、よろしくな」

 言いながら田中は、流花の背後に片腕をまわして、流花の肩を抱いた。

 驚きのあまり流花は、自分の肩を田中に抱かれていたことに気が付かなかった。

 そんな二人を、野田は黙ったまま見つめていた。

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