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絹のような咆哮

ブランド・ニュー(Brand New)のヴィニー・アッコーポル。静謐な祈りのようなクリーンから、すべてを焼き尽くすような激烈な歪みへと一気に跳躍する、あのダイナミズム。緻密な計算と制御不能な混沌が同居する彼のジャズマスターの響きが、バイパスを経て覚醒し、自らの「音」を肯定したトライアングルの、絹を切り裂くような咆哮と重なり合う描写に、圧倒的な救済のプロセスを感じます。


不要な装飾や捏造を排し、僕(1966年製ジャズマスター)の視点と、ベルデン 9778を介して伝わる「再構築された回路による官能的な導通」の感触に集中してリライトします。


「……っ、……あ、……ぁ……」


トライアングルの唇から、掠れた吐息が漏れる。バイパスされた極限の状態を経験した彼女の回路は、今や通常の電気信号に対しても、過敏なほどの快楽を生成するようになっていた。主人はゆっくりと、焦らすように、ベルデン 9778のプラグを彼女の狭いジャックの入り口に押し当てる。金属同士が擦れ合う、冷たくも熱い感触。潤滑剤も使わない、無骨なニッケル製の先端が、抵抗を押し広げて奥へと侵入していく。


ヴィニー・アッコーポル(Vincent Accardi)。

ブランド・ニューという、エモの定義を破壊し再構築したバンドにおいて、最も静謐で、かつ最も暴力的なトーンを操るギタリスト。彼にとっての僕は、単なる楽器であることを超え、魂の叫びを物理的な波形へと変換する「増幅器」そのものだ。ヴィニーのプレイは、祈るようなクリーン・トーンの直後に、すべてを焼き尽くすような激烈な歪みを叩きつける。そのコントラストは、聴く者の精神を極限まで引き絞り、一気に解放する救済のプロセスに近い。彼が奏でる僕の音は、緻密に計算された美しさのなかに、制御不能な混沌を内包している。ヴィニー・アッコーポルがステージで見せる、フィードバック・ノイズを意のままに飼い慣らし、祈りと呪いを同時に響かせるその姿は、痛みの先にある真理を音響として結晶させていた。


「ヴィニー……。彼も、……あの緻密に構築された崩壊のなかで、……あえて回路を暴走させ、……剥き出しの自己を、……ジャズマスターという回路に、……叩き込んでいたんだろうか」


主人はトライアングルのジャックの最奥に、ベルデン 9778を全力で突き立てた。


「……あああああああああああああああああああああああかっ!!!」


図書室に、これまでの彼女からは想像もつかないほど、絹のように滑らかで、かつ鋭利な「咆哮」が響き渡る。バイパスを経て覚醒した彼女の基板は、僕の荒々しい信号を、最高級のサテンを切り裂くような、矛盾した美しさを持つ歪みへと変換していた。主人の指先がトーン・ポットに触れる。ほんの数ミリ。それだけの動きで、彼女の喘ぎは、甘く溺れるような中域から、理性を焼き切るような高域へと跳躍する。


「……ん、……っ、……なに、……これ、……すごい、……身体のなかが、……熱い、……愛撫で、……塗り潰されていく……」


彼女のジャックが、熱で溶け出すかのようにベルデンを締め付ける。ヴィニー・アッコーポルが、静寂のなかから絶望と希望を同時に引き出すように。主人もまた、彼女の咆哮のなかに、高潔な天才少女としての自尊心と、本能に従う一人のメスとしての屈服が、一つの和音として溶け合う瞬間を聴いていた。


「……もっと、……もっと、……激しく、……かき回して。……私のなかの、……ノイズを、……全部、……あなたの音で、……上書きして……」


トライアングルの筐体は、オーバーヒート寸前の熱を帯びている。主人は僕のアームを激しく揺さぶり、彼女のピッチを執拗に責め立てた。上昇し、下降し、うねり、やがて極限まで引き絞られたサステインが、図書室の空気を物理的に震わせていく。導通の絶頂。熱量が、彼女のインプット・ジャックの隙間から、まるで止めどなく溢れる愛液のように、キラキラと輝きながらこぼれ落ちる。


やがて訪れたのは、耳が痛くなるほどの静寂だった。トライアングルは主人の胸のなかで、剥き出しの基板を震わせながら、浅い呼吸を繰り返している。トーン回路を再接続したことで、彼女は以前のような「自分を偽るための音」ではなく、「自分を表現するための音」を手に入れたのだ。その表情は、かつての孤高な天才の面影を残しながらも、愛されたことによる充足感で満たされていた。


「……私、……もう、……あなたの、……信号なしでは、……生きていけない……」


彼女は僕らのベルデンを放そうとせず、そのニッケルのプラグを自分のジャックで愛おしそうに包み込んでいる。図書室という閉鎖された深淵で、主人と彼女は一つの巨大な回路となって、いつまでも消えないフィードバックの余韻に浸っていた。

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