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8.オレの勇者伝説はこの場所から始まるぜ!

8話にしてやっと中央区に着きました……。

本当はもっと短くまとめる予定だったのですが、筆者の力不足だったんですよねぇ~。

少し読みにくい箇所を訂正、加筆いたしました。

中央区の周りにはには大きな石で組まれた粗末そまつな外壁が作られていた。高さは三メートル程、上には松明たいまつがずらりと灯っている。月の光もあって周囲は足元が分かる程度には明るい。

オレとガドルが今いるのは、金属でできた門の外だ。わりと幅も高さもあるので、ここから荷車ごと中央区の中に入る事ができそうだ。


「(それにしても粗末な壁だな……)」


他の地区とは違って、中央区には城があるんだし囲まなかったらまずいだろう。気持ちは分かる、だが、こんな物じゃモンスターの襲撃は防げない気がするんだが? 他の地区は完全に壁が無かったし、魔物は人を襲わないのか? って、そんな事は無いよな。現にオレは炎龍ばけミミズに襲われたしな。


ガドルが門のわきらされたひもを引くと呼び鈴の様な音が鳴り、頭上から門番らしき若い男が顔を出した。


「ガドル隊長! 副団長がめっちゃ探してましたけど!? ドコ行ってたんすかっ!?」


ん? 隊長? このオッサンが? そう言えば、何とか騎士の名にけて、とかって偉そうな事言ってたっけ?

うん。別に驚かない。だって、オレのイメージの中の勇者なら王女とだって恋に落ちるもんな。この如何いかにも冒険者風のオッサンが騎士団長だったとしても、召喚勇者であるオレが騎士団長にすごい(囮になる)才能を見出だされたって不思議じゃないな。


「わりぃな。西まで行ってた。土産みやげがあるぞ?」


ガドルの言葉に若者は頭を抱えた。


「いらないっすよ!! んな事より早く副団長の所へ行ってください! 副団長、団長を風俗街まで探しに行って、そこで娼婦に間違えられたとかですんげー怒ってんすよ! 隊員のほとんどがとばっちりくったんすからね!!」


その言葉を聞いた瞬間、ガドルの顔には疲労と不安の表情が浮かんだ。

先程までの余裕はまったく見えない。オレに炎龍退治を真剣に頼んだ時、あの時と同じくらい追い詰められている様に見える。

なんとも劇的な変化だ。


「セリシアか…………俺はまた怒られるのか……今日は疲れてるってのに…………それよりもその、間違えて声掛けた奴ってのは……無事なのか?」


ガドルはウンザリといった表情を浮かべて呟いた。


「あ、旅人だったらしくて、一発殴られるだけで済んでましたてました。気絶はしてましたけど多分大丈夫っす。副団長、そういう手加減には慣れてますから」


若者の言葉にガドルは安堵した様な疲れた笑いを返した。


副団長と呼ばれているのはどうやら女性騎士の事らしいな、と脈絡無くオレは推測した。名前はセリシア。そして、ガドルは彼女によく怒られているらしい。このガドルを叱るなんてどんな人なんだろうか……女性って恐ろしいよな。なんだかガドルの後ろ姿が可哀想なんだが……。

ま、でもオレには関係ないだろうな。女騎士かぁ……異世界名物みたいなモノだよなぁ、取り敢えず会ってみたい。

オレがそんな事を考えていると不意に、ガッコン! と、大きな物音、まるで機械のレバーを引くかの様な音がした。

最初見た時から重そうな門だとは思っていたが、案の条機械仕掛けらしい。

目の前で門がゆっくりと開いてゆく。

荷車が通れる広さになると、ぐったりと項垂うなだれているガドルに命令されるでもなく、二頭の動物は進み始めた。

ガドルの部下らしい若者はニヤニヤと憔悴しょうすいした様子のガドルを見ている。

どうやらオレの存在は不問らしい。ガドルの事しか見て無かったし……


こうして、オレは中央区に足を踏み入れた。せっかくだし自分の足で中央区の土を踏みたい、そんな考えが一瞬頭をかすめたが、すぐにそんな些細な事はどうでも良くなってしまった。


「お、おおおおお!?」


夜の闇を押しのける様にきらめく無数の灯り、独特の形をした家々に活気のある美しい街並み、そして、にぎやかな町の喧騒けんそうがオレを迎えた!



*****


門を潜るとガドルは少し気を取り直したようだ。もしかしたら、一刻も早く副団長の元に行かなければいけない事を思い出したのかもしれない。ソワソワしている。


「じゃあな、オッサン。また……いつだっけ?」


「二日後の朝だ。この場所で待ってるからな? 来いよ、必ず」


オレが尋ねると、ガドルは気怠そうにしながらも、もう一度念を押した。

炎龍と鋼炎龍ブレイズドラゴン退治は二日後の早朝からという事になった。

ガドルが整えなければいけない準備があると言い出したからだ。

その為にオレ達は一旦別れ、明後日にこの場所、門の外で待ち合わせする事になったのだ。


ま、まぁ、オレはいつ行ってもよかったんだぜ? 

時間が経っちまうと決心が揺るg……間違えた、や、やる気が半減しちまうからな! 


「そりゃ、行くに決まってんだろ? 男に二言はないぜ!」


早くも不安になってきたオレは、その不安を振り切るように無理矢理ノリで返事をし、片手を差し出した。

ガドルは少しも迷わず例の豪快な笑顔を浮かべて握り返してきた。

ゴツく大きく温かい掌がオレの手をすっぽりと覆う。

なんかこういうおとこ同士の握手みたいなのには前からあこがれてたんだよな~。帰宅部だったオレには体育会のノリなんて無縁だったし、外国人の友達なんていなかったしな。


え? ホントに行くのかって? そ、そりゃ、男に二言は……ある。そう確信しているが、無い!と言わせて貰おう。

そう。実際、ノリで約束しちまった様な仕事バイトだし、まだ分からない。

今は行くつもりだが、明後日あさってのオレが同じ風に思うかは分かんないからな! 


「またな、小僧! 明後日まで野垂れ死ぬんじゃねぇぞ?」


ガドルは最後に手を振り、荷車と一緒に歩いて行く。

どうやら門番も一緒に行くらしい。二人で談笑しながら左の方角(東西南北はコンパスが無いから分からないな。)に消えて行った。

そして、オレの周りには誰もいなくなってしまった。


「だが、問題は無い!」


それどころか好都合だ。

ついに中央区に着いたのだ、これでオレは自由! もう誰にも、ああしろこうしろ、と指図さしずされることは無い。何をするのも自由なのだ!


「ふっふっふ! オレの勇者伝説はこの街から始まる!!」


手始めに冒険者ギルドに行こう! こういう時はまずギルドに行く、と相場は決まってる!

そう、念願の魔法使いの職業ジョブ登録をして魔法を使うんだ!

そして、そういう重要施設があるのは……やっぱ街の中心だよな!

ガドルに街の地理を教えて貰わなかったのはちょっと失敗だったな……

だが、


「ま、……せっかくの異世界だし、夜遅くまで起きてるのはこれまでザラにあった事だしな。そもそも明日の予定なんて何もないじゃん! まずは、朝まであせらずに街を見ながら散歩するか!!」


今夜は異世界で過ごす初めての夜を満喫まんきつするとしよう。

オレは屈伸くっしんとアキレス腱伸ばしで身体を温め……人々でにぎわう街の中に足を踏み入れた!




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よろしければ、ぜひ。

m(_ _)m

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