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24.炎上する町

炎霊討伐編と言えば良いんでしょうかね・・・?

こっから少し長くなります。

今、無数の星が宝石のように煌めく夜空の下、広大な草原の中をシノフォスという動物(ガドル曰く半分は爬虫類だそうだが……)に曳かれた荷車は常歩(なみあし)で西区への道程を進んでいた。


あの突然の出立からもう数時間が過ぎただろうか? 


不自然なくらい全く眠気が湧いてこないオレは、退屈しのぎに満天の星空を見上げていたのだが……贅沢な話、それにも飽きた。新しい退屈しのぎを見つけようと辺りを見回した時、オレはそれを見つけたのだ。


「………っつ、おい! なんか空が明るくねぇか!?」


オレの声に御者台でうつらうつらしていたガドルが顔を上げ、小さく舌打ちをする。


人の住んでいない西区には明かりが灯っていない、と思っていたのだが……西の空はまるで夕焼けのように赤々と照らされていた。

それに、上空に立ち込めるあれは……煙?


「おいおい、なんてこった! ……誰か、俺達より先に炎龍と戦っている奴がいるぞ!? くそっ……仕方がない……加勢するぞ! 小僧、しっかり掴まっとけよ!? 少しばかり急ぐぞっ!!」


パシリッという軽い鞭音、シノフォスが高い(いなな)きを上げる


「ちょいまっ……!?」


半ば飛び付くようにして、なんとか荷車の縁に指をかける事に成功した。

その瞬間、荷車は急激に速度を上げ、オレの頬を痛い程の風が叩く。


再び、荷車にしがみつきながら 「あ、オレ、大分この乗り心地にも慣れたな……」なんて事を考えていたのだが……その後数十分間程、激しい目眩と頭痛、そして吐き気に襲われる事になる。


*****


オレ達は燃え盛る町に足を踏み入れた。

大通り沿いの区画は炎に包まれ、昼間以上の熱気に満ちているが、それ以外に異常はない。

パチパチという火花が散る音がはっきりと聞こえるくらいだ。

誰かが戦っている雰囲気は無い。


大通りに沿った町の屋根が燃え落ちていたり、破壊されていたりして戦闘の跡に見えない事もない。入り口から近いこの一区画で……ガドルの言葉が正しいとするなら誰かが何かしらの魔物と戦って“いた”という事だろう。それも、高い屋根を足場にして……。


「まさかコイツと……嘘だろ? これ、夢だよ、な?」


ガドルの影に隠れるようにして街を歩くこと数分。


巨大な遺骸の前でオレは絶句した。まさかこんな化け物がいるなんて想像だにしなかったのだ。崩れ落ちた建物と瓦礫に半ば埋もれるようにその化け物は倒れていた。


その姿は当にファンタジー世界の『(ドラゴン)』そのもの。

口には純白の鋭い牙が覗き、所々剥げてはいるが白い鱗に覆われた瞼はしっかりと閉じられている。まるで今にも目を覚ましそうな迫力だ。

恐らく力尽きた時に建物にぶつかったのだろう、大通りに沿った建物の壁が軒並み崩れ落ちている。その瓦礫に埋まっていても体長は優に五十メートルを越えるんじゃないだろうか……遥かな尾の先が町の屋根の上に乗っかっている。


「コイツぁ……魔法使いの仕業かも知れんな……少しばかり妙な点はあるが、戦闘の跡が一人分しかない、それに……体が凍り付いている」


竜の胴体を触ったりつついたりしていたガドルが呟く。


「なっ! 魔法使いだって!? 一人でこの怪獣を倒すってのか!?」


「っ!! シーっ!!!」


オレのあまりに素頓狂な声にガドルは指を唇に当て、細く息を吐いた。

“細く”と言うには数メートル離れていても十分に聞こえるほど大きかったが……。

そして、ガドルが急いで、しかし忍び足でオレに近づいて来た。


「お前ってやつぁ、まったく! ここは炎竜共の縄張りなんだぞ! ちったぁ静かにできねぇのか!?」


ガドルが早口で、しかし小声で何かをまくし立てている。

だが、オレの意識は別の方向に気をとられていた。


地面だ。

地震の様に小刻みに揺れてる。

石畳がたてるカタカタという小さな音が町中から響き、不気味な地響きとなっているのだ……。


「じ、地震?」


まるで弱い地震の様に小刻みに震える地面。

地震だ、とオレは信じたかった。日本人ならわりと慣れているレベルの小さな地震。そうだと信じたかった。

だが。


「ちぃ……まさか、まとめてお出ましたぁ……豪気なことだな。」


『小僧、俺の側を離れんじゃねぇぞ』ガドルのその言葉によって、オレは危機を察した。


今日の昼は炎龍への囮にされた。囮にしても大丈夫なくらい(オレは全然大丈夫じゃなかったが……)の余裕があったという事だ。それでいて今度は側を離れるな、である。出立前ののガドルの緊張の具合からいっても今回想定される相手がそれだけ強敵ということだろう……


「側を離れんなって、それって……」


ガドルが緊迫した表情で頷いた。


「……この下に、“奴”がいる」


その瞬間。

オレ達の周囲の石畳が吹き飛び、紅い津波が沸き上がった。


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m(_ _)m

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