表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/48

 カリンの値段は金貨10枚だった。

 シルヴァーナの2倍か。

 いや、人が1000万円程度で買えると考えると安すぎるのか。

 

 帰りはカリンの服を買って帰るので、ルキウスさんとは別れた。

 さすがに再び一緒に輿に乗るのは避けたい。


「そういえば、出身はローラン国でした、って言ってたけどどうして過去形なの?」

「はい! ローラン国は滅びちゃいました!」


 重いよ。

 元気よく答えてくれたけど、重いものは重いよ。


「でも、私が子供のころなのでよく覚えてません!」

「そ、そうか」


 ここは楽しい話題に変えよう。


「そうだ、そろそろ昼飯だな。どこか食堂に入ろう。カリンの好きな物でいいぞ。そういえば、笹もこの前見かけたから……」

「ご主人様」


 カリンが真剣な顔をして遮ってきた。


「ご主人様はご存知ないかもしれませんが、熊猫族にとって、その言葉は最大の侮辱です」


 話題変え失敗だ。


「そ、そうか。それはすまなかった。謝罪させてくれ」

「いえ、とんでもありません! こちらこそ失礼しました!」


 ちなみにシルヴァーナは先ほどからカリンの耳をモフモフしている。

 ずるいぞ。


「ところで昼飯だが、なんと言えばいいか、その、特別に好きだったり嫌いだったりするものはあるか?」

「いえ、好き嫌いはありません!」

「そうか、シルヴァーナは何か食べたい物はあるか?」

「ご主人様にお任せします。ご主人様は美味しいお店を見つけるのがお上手です」


 そう言われても困っちゃうな。

 何が食べたいと女性に聞いて、なんでもいい、と答えられたときは注意しなくてはならない。

 この“なんでもいい”は、美味しい物なら何でもいい、の意味である。


 早速、脳内グルメマップを検索して、店へと案内する。


「昼だからな、軽めにしよう」


 そう言って早速席に着いた。


「ご主人様、ここは何のお店なんでしょう?」


 シルヴァーナが鼻をひくひくさせて聞いてきた。


「ここはな、メニューは一つしかないんだ。小麦粉の生地を薄く延ばして、中に豚肉の挽肉と野菜類の餡を包んで蒸し上げた料理だが、食べ方にちょっとコツがある」


 そう言うと、早速小龍包のせいろが3枚きた。


「ほあー、変わった料理です! 初めて見ました」

「私もです、ご主人様」


 早速食べ方をレクチャーする。


「いいか、まずはこの大きなスプーンの上に小龍包をのせるんだ。そして、箸でそっと生地を破ると……ほら、スープが出てくるだろう? このスープをこぼさないように、スプーンで一気に食べるんだ。熱いからよーく冷ますんだぞ」


 そう言って二人のスプーンに小龍包を乗せてやると、二人とも早速口に運んだ。


 シルヴァーナの尻尾がピンっと立つと、二人とも口を開けて、ハフハフと口の中から熱気を出す。


「ほら、二人とも。焦ると口の中を火傷するぞ」


 二人ともハフハフといいながら、ごくんと飲み込む。


「熱いけど美味しいです。スープがコクがあって……」

「美味しいです! すっごくジューシーです!」


 どうやら好評のようだ。


「こっちの酢をつけて食べたり、刻み生姜を一緒に食べても旨いぞ」


 そう言うと、3人でハフハフといいながら、10枚も小龍包を平らげてしまった。 


 気に入ってもらえたようだ。

 毎晩寝る前に帝都ウォーカーを読んで予習していた甲斐があった。

 勤勉は成功の母だな。



 午後からはカリンの服を選んでいく。

 あれ?


「そういえばカリン、変身した時、服や防具はどうなるんだ?」


 通常時と変身時の2種類のサイズを買わなきゃいけないんだろうか。


「えっと、おっきくなります!」

「は?」

「自然にサイズがおっきくなります!」


 何を言ってるんだこの子は。

 でもシルヴァーナはうんうんと頷いている。

 普通のことなのか……?


「えっと、変身できる種族は、服も破れないようになっています!」

「そ、そうか」


 俺は考えるのをやめた。




 買い物を終えて宿に戻ると、お湯を二人分頼んで、早速二人を洗ってやった。

 カリンは体を洗われることにあまり抵抗がないようだ。

 なんだろう、小龍包が効いたのかな。


 通常時のカリンにはシルヴァーナと違って尻尾はないようだ。

 普段のパンダ成分は頭の上の丸耳と毛先の色だけらしい。

 まあ、変身するとパンダそのものになるんだけどね。



 二人を洗った後、公衆浴場へ行った。

 帰ってくると、パンダ状態になったカリンが仰向けに寝転がって、シルヴァーナの尻尾にじゃれついている。

 なぜか俺も一緒にじゃれついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ