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恋愛経験ゼロの私、愛の女神様に同情されて異世界転生! ~《不落の運命守護》で運命の伯爵様を守ります~  作者: 月城宮 雅仁


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第11話 もしかして私のスキルの効果?

「……よし!」


私は王都の大通りで両手を握りしめた。


どうやら、時間が昨日に戻っているらしい。


しかも、私以外の人は誰も覚えていない。


最初は本当に驚いたけれど、いつまでも怖がっているわけにはいかない。


だって、ここは異世界だ。


魔法もあれば、スキルだってある。


時間が戻るなんて、普通なら絶対にあり得ないけれど、この世界なら何か理由があるのかもしれない。


「……あれ?」


そこまで考えたところで私はあることに気付いた。


……スキル。


そういえば、私にもあるじゃない。


《不落の運命守護》


女神アモリア様が、私のためだけに作ってくれた特別なスキル。


しかも、教会で鑑定しても効果がわからなかった。


「……もしかして」


私は自分の胸元に手を当てた。


「これって、私のスキルのせい?」


運命の人に出会えて、その人を守れる。


女神様は、確かにそう言っていた。


でも、その守り方までは教えてくれなかった。


……まさか。


時間を戻して誰かを守るとか?


「……いやいや!」


思わず首を振った。


まだ運命の人に出会ってすらいないのに、誰を守るっていうの?


それに、時間が戻ったところで、どうすればいいのかわからない。


「うーん……」


私は腕を組み、考え込んだ。


でも、何となく気になった。


もし本当にスキルが原因なら何か条件があるはずだ。


……よし!


「とりあえず、調べてみよう!」


原因がわからないならわかるまで調べればいい。


前世では普通のOLだったけれど、こういうときこそ落ち着いて考えなきゃ!


まずは、本当に同じ一日が繰り返されているのか確認することにした。


◇


次の日の朝。


私は昨日と同じ道を歩き、同じ店を訪ねた。


王城の近く。


大聖堂。


魔道具のお店。


どこも、昨日と変わらない。


……まあ、建物が一日で変わるわけないんだけど。


問題はそこで起きる出来事だった。


私は昨日、道端で赤い果物を落とした少女のことを思い出した。


確か午前中だったはず……


時計のある広場へ向かい、少し待ってみる。


すると。


「きゃっ!」


少女が小さな布袋を落とし、赤い果物が転がった。


「……おお!」


思わず声が出た。


本当に同じことが起きた!


……いや喜んでいいのかな、これ。


私は少女のそばへ歩み寄り、転がった果物を拾い上げた。


「はい、どうぞ!」


「あっ! ありがとう!」


少女は嬉しそうに笑った。


「今度は落とさないようにね!」


「うん!」


私は手を振って、その場を離れた。


……なるほど。


私が行動を変えれば、相手の反応も変わる。


時間が戻ったとしても、全部が決められているわけじゃないらしい。


「……ふむふむ」


私は手帳を取り出した。


昨日の行動と、今日の出来事を記録する。


……って。


「あっ」


書いても、また時間が戻ったら消えちゃうんだった。


……不便!


せっかく調査しているのに、記録が残らないなんて。


私は小さくため息をついた。


「……覚えるしかないかぁ」


◇


次に試したのは、昨日と違う行動をしてみることだった。


昨日は王城や大聖堂を見て回ったけれど、今日は商業区の市場へ行ってみる。


「……わあ!」


市場には、色とりどりの野菜や果物、珍しい香辛料などが並んでいた。


王都だけあって、見たことのない品物も多い。


……あっ。


あのお菓子、美味しそうっ!


「……いやいや!」


違う違う。


調査に来たんだった!


……危うく普通の観光に戻るところだった。


私は気を取り直して周囲を見渡した。


特に変わったことは起きていない。


人々は普通に買い物をしているし、商人たちも元気に客を呼び込んでいる。


「……うーん」


何か手がかりはないかなぁ。


そう思いながら歩いていると、一軒の店先で小さな騒ぎが起きていた。


「おい! ちゃんと数を確認したのか!」


「す、すみません!」


どうやら、商品の数が合わないらしい。


店主らしい男性が、若い店員を叱っていた。


私は少し離れた場所で、その様子を眺めた。


……そういえば。


昨日、この道は通っていない。


つまり、昨日も同じことが起きていたのかどうかはわからない。


「……なるほど」


これじゃ、確認のしようがないか……


やっぱり、同じ場所で同じ出来事を見て、それを比べないと駄目みたい。


私は手帳に小さく印を付けた。


……まあ、どうせ消えちゃうんだけど。


◇


昼過ぎ。


私は宿へ戻り、オスカーさんに相談することにした。


「ユイさん? どうしたんだい?」


オスカーさんは応接用の小さな部屋で、書類を確認していた。


「ちょっと、不思議なことがあって……」


「不思議なこと?」


「実は、昨日と同じ一日が繰り返されている気がするんです」


「……ほう?」


オスカーさんは少し驚いたように眉を上げた。


「それは、どういうことかな?」


私は、これまでに起きたことを説明した。


昨日買ったお土産が消えていること。


同じ会話が繰り返されたこと。


同じ少女が、同じ場所で果物を落としたこと。


そして、日付が変わっていないこと。


オスカーさんは、途中で口を挟まずに聞いてくれた。


「……なるほど」


説明を終えると、オスカーさんはしばらく考え込んだ。


「確かに、不思議な話だね」


「ですよね……」


「だが、もし本当に時間が戻っているのだとしたら、私には確認する方法がない」


「……あっ」


そうだった。


オスカーさん自身は、昨日のことを覚えていない。


私だけが記憶を持っているなら、どれだけ説明しても確かめようがない。


「ただ、君が嘘をついているとは思っていないよ」


「……!」


オスカーさんは穏やかに微笑んだ。


「何か理由があるのかもしれない。気になるなら、王都の教会で相談してみるのもいいだろう」


「教会……!」


確かに。


リーベルクの教会では、スキルの鑑定をしてもらった。


王都の大聖堂なら、もっと詳しいことがわかるかもしれない!


「ありがとうございます!」


「はははっ! 何かわかったら教えておくれ」


「はい!」


私は頭を下げ、再び街へ向かった。


◇


王都の大聖堂には、スキル鑑定を担当する聖職者もいるらしい。


私は受付で事情を説明し、鑑定をお願いした。


案内された部屋には、リーベルクの教会で見たものとよく似た水晶が置かれていた。


「それでは、手を置いてください」


「はい!」


私は水晶に触れた。


淡い光が灯り、文字が浮かび上がる。


【固有スキル】


《不落の運命守護》


【系統】


不明


【効果】


解析不能


「…………」


……ですよねぇ。


わかってました。


でも、ちょっとくらい期待していたんだけどなぁ。


鑑定を担当した聖職者も、困ったように首を傾げた。


「非常に珍しいスキルですね。申し訳ありませんが、当方にも詳しい記録はありません」


「……やっぱり」


「ただ、守護という名称から考えると何かを保護する能力なのかもしれませんね」


「そうですよねぇ……」


リーベルクでも同じことを言われた。


……うん。


ここまで来たらもう自分で調べるしかない!


私はお礼を言って大聖堂をあとにした。


◇


その日の夜。


私は宿の部屋で、今日一日を振り返っていた。


同じ日付。


同じ出来事。


でも、私が行動を変えればそのあとの出来事も変わる。


王都の教会でも、私のスキルについては何もわからなかった。


「……うーん」


私はベッドに腰を下ろし、腕を組んだ。


もし、この時間逆行が《不落の運命守護》の力だとしたら。


何かを守るために、時間が戻っている?


……でも、何を?


……誰を?


「ま、まさか!?」


私は小さくつぶやいた。


「……運命の人が、近くにいる!?」


女神様は言っていた。


運命の人に必ず出会えて、その人を守れると。


それなら、もう私の近くにいるのかもしれない。


まだ会ったことがないだけで。


……少しだけ、可能性が見えてきた気がする。


「よし!」


私は両手を握りしめた。


明日も時間が戻るなら、もっと詳しく調べてみよう。


今度は、王都のほかの場所にも行ってみたい。


何か手がかりが見つかるかもしれない。


……それに。


「……ちょっと気になる」


私は窓の外を眺めた。


本当に何度でも同じ日を繰り返せるなら、調べる時間はいくらでもあるのかな?


……いや、それはそれで大変そうだけど。


私は小さく笑い、ベッドに横になった。


「……おやすみなさい」


◇


そして、翌朝。


「……んん」


目を開けると、見慣れた天井があった。


窓から差し込む朝日。


机の上に置かれた予定表。


「……また十六日かぁ」


私はベッドの上で大きく伸びをした。


「……よし!」


どうやら、これで三回目の十六日らしい。


怖いというより、むしろ気になって仕方がない。


だってこんな不思議なこと、普通は体験できないもの!


「絶対に原因を見つけてやるんだから!」


私は勢いよくベッドから起き上がった。


こうして、私のちょっと変わった王都での調査生活が始まったのだった。

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