砂漠で歌舞伎揚を齧る 九
「ドワーフの町は職人達の町なんだ。想像し易いのは鍛冶だろうけれど、何も鍛冶に限った話じゃないんだよ?裁縫、縫製や彫金細工に木工と石工、それに関連して建築だね。どれも素晴らしい技術を持っているよ」
多分現代日本人が想像するドワーフのイメージそのままで良さそうだな。
黙って話を聞きながら首を縦に振り、相槌だけして話を促す。
「でもその、あ……紙を作るのが得意なのもあった気がする。まぁ今はいいや。いずれにせよそういった事には水が欠かせないんだよ」
ここでも水か。紙を作るのに水が大事なのは分かる。伝統的な和紙の製造工程で漉きで水を使うのはテレビのドキュメンタリー番組で見た記憶もある。ただ鍛冶ってやっぱり冷やすとかに必要なのと研ぎ、研磨に必要くらいしか想像が付かない。
「あの町は鉱山を主だって産業に据えていたからね。これはドワーフの知人から得た知識だけど鉱物は掘り出したら洗ったりして加工する前段階が重要なんだよ。加工する為の前加工も水が大事なんだ。それも大量に、一般的に生活として使用する量なんて比にならない位使うんだ」
「レティさん、質問いいですか?」
「ん、何かな?」
「あの、ドワーフの町が衰退していった話ですよね?今お話を聞いている限りで何となく察したんですが、要はこの町も水が無くなったから衰退が始まったんですよね?でもおかしくないですか?」
「へぇ〜」
俺の発言に彼女はニヤニヤしだした。何だろう質問続けて良いんだろうか?
「いいよいいよ、続けて?その質問をさせた原因、疑問は何だい?」
「はい、では。水が無くなったのってさっきの廃棄された都市の話ですよね?そのドワーフの町も都市と同じ水源で生活や今までの仕事をしていたんですか?」
「いいや、違うらしいよ?私は専門家じゃないけど都市とは別物のだったはず」
「それだったらおかしいじゃないですか?その都市が水が無くなったとしてもそれは遠く離れている場所の話で、何でドワーフの町まで水が不足し始めたんです?」
さっきにも増してレティさんはニヤニヤしだした。面白くてしょうがないといった感じを隠す、というか抑えるのに必死になっているように思える。
「良いね、こっちが説明する前に色んな事に気付くんだね。話の流れは切れるけど、何も考えずに聞いていられるよりちゃんと思考してくれている証拠だ。話をする側にもよるんだろうけど、私は嬉しいね」
「あ、その、すみません。話を続けてください」
「気にしないで、大丈夫。本当に楽しいだけだよ?うん、じゃ、その辺も答える感じで話していくね?都市から樹が消えた時から1年位してからかな?鉱山の方でも水が枯れだしたんだ。時間差が有ったんだよ」
「時間差、ですか?それは何故か分かっているんですか?」
「さぁ?だって今もドワーフの町は水が生活していくのにギリギリしかないんだよ?原因が分かっていたら対処できなくても理由位は説明できたかな。まぁ、それでさ?都市が放棄されただけだったら町は都市相手の特需って言うんだっけ?急に需要が増えて儲かる状況が終わっただけで今まで通りの生活や仕事、取引に戻るだけでそんなに影響なかったはずなんだよ」
「でも時間差で水が無くなって、説明して頂いた通り仕事が出来なくなった。と?」
「そうその通り。正に死活問題だ」




