砂漠で歌舞伎揚を齧る 八
「訊きたかった事はこれでいいかな?それともまだ何かある?」
子供みたいに両足を上下にブラブラと振りながら話していた彼女は不意に足を振るのを止めて、指で口元を微妙に隠すように顎に右手を顎に当てて視線を少し外して小声で呟き出した。
「いや、この言い方は間違いか?君はこちらの事なんて何も知らないんだ、知らない事ばっかりなんだから……うん」
何事か勝手に納得をしたようだ。俺へと彼女が向き直る。
「知りたい事はオネーサンが教えてあげるから何でも訊いてね」
「はい、ありがとうございます」
何にせよ、俺は現状この人を頼るしかない。もしかしたら今は良い人を装っていて後々碌でもない目に遭わされる可能性だってあるが、いきなり殺されたり拘束もされていない。マシだと思ってしばらくは彼女に着いていくしかない。
「さっき、昼寝の前に話していた廃棄都市はその後どうなったんですか?続きが気になります」
「あぁ、結局人がいっぱい来て考えなしに地下から水を汲み上げたから周辺とか地下の水が干上がってきてこれは不味いと土地の専門家が思ったタイミングで樹が忽然と消えたんだよ」
「樹が、消えたんですか?だって物凄く大きい樹なんですよね?水が無くて立ち枯れたなら分かりますけど」
「実際になくなっちゃったからね。あった場所には大きな穴が空いちゃってさ、多分今もそのままなんじゃないかな?」
まぁファンタジーな世界で神様みたいな樹ならそんな事もあるんだろうな。
「でね、でね?樹が消えちゃったから今まで呪いを恐れて集まっていた人達は留まる意味がなくなっちゃったんだ、そもそも水もなくなり始めてたしね」
「結果、廃棄されてしまったと」
「そういう事。どんなに都市として大きくなっても本来集まっていた呪いの無効化が消えて普通にも生きていけない環境だもの、ただの大きな棺桶になっちゃった感じかな?」
「自給自足とかは出来なかったんですか?」
「それも込みで、生活用と農業用に水を汲み上げたせいで水が無くなるのが早くなったんだよ。ほら、もう住んでいる自分達の口も賄えない」
そういえば、北海道なんかでも農業用水のせいで水不足になるから夜間に断水して水の使用制限するとか聞いた事がある。野菜も植物だから育てたらいいなんて全然論外なんだな。
「さて、廃棄都市に関してはとりあえずこんな感じの説明でいいかな?私としてはこの話に繋がってドワーフの町の話も君にしたいんだけど」
ドワーフの町、町全体が借金だらけの破綻寸前。廃棄都市との取引が無くなって困窮しているんだったか、衰退が都市と関連しているとはいえ、どう話が繋がってくるんだろうか。
住んでいる人達には悪いが少し興味が出てくる。日本にもそういった自治体あったし。あ、それも北海道でメロンが有名な所だったけ。
ここは大人しく町の話も聞いておこう。




