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歌舞伎揚を齧っているだけだったはずの異世界生活の話  作者: 宮清水 和


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ギルドにて やはり言葉の壁は厳しい 一

 ギルドに到着してもレティさんは何も話し掛けてはこない。

 到着した際に、


「ん、ありがと」


 と、一言お礼を述べただけだ。

 ギルドに入るとカウンターにいた例の小柄な男がレティさんに駆け寄ってくる。


「(閣下!お戻りになりましたか、件のドワーフ親子とは?)」


「(あぁ、問題ない。そっちには迷惑を掛けたけどお陰で助かったよ)」


「(それは何よりでございますな)」


「(そっちの方はどう?色々な進捗ってヤツは)」


「(はい、それはもう!既にゴーダンの不正を証明する資料は準備が出来ております。間違いなく罪に問われるかと)」


「(凄いじゃないか。短時間によくやった、頑張ってくれたんだね皆)」


「(閣下が猶予を作ってくださったからです。職員一同を代表してお礼を申し上げます)」


 おそらく明日からの事に関して色々なやり取りをしているようだ。

 邪魔になってしまわないように離れて見ているしかない。

 しかし、余計な事を言ってしまったな、明日の途中からレティさんとしばらく離れるというのに。

 だがこれは避けては通れない道でもあった、その時期が早いか遅いかでしかない。

 レティさんには恩が沢山ある。だがそうであったとしても何でも肯定して一緒に行動出来る訳でもない。

 もしこの先に歩む道が違うのならそれも仕方ない事だ。


「(おい!お前!そんな所に突っ立ってんじゃねー!!邪魔だろうが!!)」


 何だ!?何か、怒鳴られている?

 見れば身長は150cm位か?大きな鞄を背負った少年、で良いのか?そんな感じの人が近寄ってきていた。


「(入り口の近くでボーッとしてんじゃねぇ!!邪魔だって言ってんだろ!!)」


 何を言っているんだ?何をそんなに怒っているんだ?


「(おい!!貴様!!その人に無礼な口を利くんじゃない!!閣下のお連れの方だぞ!!!!)」


 今度はカウンターから何か怒鳴ってきている!?

 え、何だ、俺はどうしたら良いんだよ!?


「(うるせぇよっ!誰だそのカッカとかいう奴は!?コイツの飼い主か!?だったら首でも足でも鎖でも付けて外に繋いでおけ!!)」


 こちらの少年っぽい人が何か叫び返したかと思った直後、俺の視界が変わった。というか、何だ?何が起きたか分からない。

 床?木製の床が見える?何だコレ?というか、何か違和感があるぞ。

 左の頬が熱い。熱い?何でだ?

 熱い頬に自分の左手で触れてみる、痛い。痛い?

 そうか、熱いんじゃなくて痛いんだ。もしかして殴られたのか俺?


「(馬鹿かお前達は!?何を黙って見ている!早くそいつを拘束しろ!その方から引き離せ!!)」


 いってぇ……。俺、人生で初めて殴られたんだな、今。こんな経験するもんじゃないなぁ、いってぇなぁ、これ。


「(良いよ良いよ、私の連れが悪かったね。入り口の近くで邪魔だったんでしょ?申し訳なかったね)」


 レティさんの声か?何を言ってるんだ?

 つーか、いてぇ。思考がそれだけしか処理しない。

 なんだよこれ、ボクサーとかよく何発も殴り合って立ってられるな。


「(でも殴る必要は無かったね。軽く押し退けるとかその程度で良かったと思うけど?)」


「(なんだぁ?テメーがカッカか!?飼い主なら畜生の躾位しておくんだな!!テメーの躾が悪いんで俺が殴って躾ける事になっただろうが!!)」


 うるせぇよ、静かにしてくれよ。

 これ以上俺の周りで色々騒がないでくれ。

 周囲の音が何もかも不快だ、静かにしてくれ。


「(そうかい、それは悪かった。それじゃ私もその意見に従って躾の悪さを正してあげないといけない事になるね)」


 あぁ、なんか、静かになってきた。かな?

 気のせいか痛みも和らいできたような………………。


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