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歌舞伎揚を齧っているだけだったはずの異世界生活の話  作者: 宮清水 和


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これまでの事 レティーシャの語り 二

 龍が私の前に現れた理由?


 それは分かっているよ?あっちの私の記憶にその経緯もちゃんとあるから。


 あっちの私は、まぁ、今は詳しい内容は伏せさせてもらおうかな。

 大まかに言うと100年程放浪して龍を探したんだ、ある目的に力を貸して貰う為。


 そもそも本当に存在するか、していたかも分からない存在だったからね。私の寿命が尽きるまでに出会えれば儲け物、出会えなければそれまで、程度だった。


 100年放浪してそろそろ900歳に届きそうって時に、龍が自分から私に会いに来たんだ、興味を持ったらしくてね。

 龍は問うてきたよ。力が必要な理由、その使い道。問いに私は素直に答えたよ、自分の身勝手な目的を。


 龍はもの凄く喜んだ、面白そうだからって理由で力を貸してくれた。


 そして私は目的を果たした。


 そんな私の前に再び龍が現れた。

 見事だ、なかなか面白かったから追加で褒美をやる。龍はそう言った。


 私は目的を果たせたから十分満足でこれ以上は何も望まないと告げた、でも龍はお見通しだった。


 過去の自分、ここにいる私に記憶と感情を転写してやり直しをさせてくれる、そんな提案をされた。

 少し疑った。余りにも話が美味すぎるんだもの。

 でも、龍の説明で納得した。


 やり直しをするのはあっちの私ではなく、今ここにいる私。

 あっちの私はそのまま残りの人生を生き続けている。何の解決にも改善にもなっていなかった。


 それが、今の私に引き継がれたあっちの私の最後の記憶。


 それでもあっちの私はそれを望んだ。


 あっちの私は今何を思い生きているんだろうね。


 それは私にも分からない。

 私はあっちの私じゃないから。


 でも、私も今ではこの感情が自分の物だと思っているよ。私も私になったんだ。


 私が出来なかった事をする為にこうやって足掻いているんだ。

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