ドワーフ少女との邂逅 三
ちょっと移動中に雑談と思っていたのに結構な話をされてしまった。
やっぱり、こういう世界だから弱い者や立場が弱ったら即お終いみたいな環境なんだな。
「それで、結局その後の国と都市の関係ってどうなって落ち着いたんですか?」
「話した通り手出しが出来なくなってね、その後に呪いが無効化される話を交渉の際に都市側から提示されたの」
呪いが実際にある世界だもんなぁ。目に見えない忍び寄る恐怖が1つでも消えれば心も休まる時間が増える、これは魅力的だ。
「樹の力で呪いが無効化されるのは200年前までは有名だったんだけど、人間にとって200年は昔の事過ぎてね。私にそれは本当なのかって国王が訊いてきて、そうだよって答えてあげた」
「やっぱり喰い付いてきたんですね?」
「うん。いやぁ理不尽な事を言われたね」
理不尽な事、はてなんだろう?
「どうして今まで教えなかったって、だって無かったんだものその時は。訊かれなかったからって言ったら凄く憤慨してたね」
「確かに、昔はあったけど今はない理想郷の話しされてもどうしようもないですからね」
「ね?だから言い返した。呪いなんて物は為政者なら善政で民を遇して心からの感謝されていれば大体の物は跳ね返せる、何をそんなに怯える必要があるって」
「中々に相手を追い詰める事を言ったんですね」
「更にね、お前達は樹を枯れさせた人間の子孫何だからそもそも樹が受け入れたりするとは思えないって」
追撃がキツい。よくそこまで追い込むような事を言ったもんだ、本当に怖い物なしだったんだ、この人は。
「あー……それで、国というか王側との交渉はどうなったんです?」
「第一防壁と第二防壁の間の区間に王族が保養地として土地を借りて別宅を建て始めたよ、大商人なんかもね。どっちも強い怨恨が切っても切れないから」
「そうなると国も出資して都市の再開発に携わっていったとか、そんな感じですか?」
「国の許可で公式に開発出来るようになって自治も認められただけなんだけど、十分勝ちだね」
「どうせ勝てないし命令も意味がないから、こうなったらその安全圏に自分から赴いてきたんですね」
「うん、しかも呪いの無効化以外にも利点があったんだ。樹が何かしていたんだろうけど、樹が張っている障壁の中って凄く涼しかったんだ」
「それホントですか!?凄いじゃないですか!!」
こんな暑さで簡単に死にそうな環境で凄く涼しいだなんて。温度計で測ったら一体何度だったんだろう。
「ただね、昔は樹の周りが涼しいなんて話は無かったんだ」
「復活する前は涼しくなかったって、それは確かなんですか?」
「間違いないよ。そんなに涼しいなら人が集まる前に色んな動植物が集まっていた筈だもの、オアシスもあったんだし」
なるほど。種になって休眠状態でいた時に何かあったのか、それともまた巨大な樹に復活した際に力が強くなったのか。
「何にせよ都市は樹の力で攻め落とす事が出来ない、周囲はとても過ごし易い環境。挙って人が集まりだした」
「それはそうでしょう。ちょっと言い方が極端ですけど楽園じゃないですか」
酷暑の中でそこだけが涼しい、水問題も解決している。
もしも同じ環境下の他国がいたら侵略されてしまいそうな魅力がある。
「大体そんな感じの事が起きたから、こっちもそんな感じに落とし込みたいんだよね。あっちは商人ギルドが主だって協力したけどこっちは国が主だった協力者に変わるかな」
まぁそれはどっちでも良いんだけどね?と、軽く言ってしまう彼女はやはり長い年月で色んな物を見て、色んな経験を積んできた人物だからと思い知らされる。
「上手くいきますかね?」
「ダメだったらそれまで、2人で何処かに落ち延びてただ静かに過ごすのも悪くないよ」
どこまで本気なのか、どこまでも本気なのか、俺には分からない。それを分かるには経験が浅すぎる人生だ。




