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歌舞伎揚を齧っているだけだったはずの異世界生活の話  作者: 宮清水 和


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レティーシャの会話が理解出来ない 三

「(それでだけど、ドワーフの奴隷を購入したいんだ、都合が付くかな?)」


「(それは構わないが、どんな事をさせるかによって買うドワーフの選別が必要だな。何をさせるんだ?)」


「(先ずはドワーフの町から放棄都市までの道のりに中継点だった宿場が2つあるじゃない?アレを修繕しながら進んでいって都市を目指すよ。その為の修繕に人手がいるでしょ?その人員だよ)」


「(そうか?ふむ……となると働き手の男手と現場を指揮する技術職人が必要だな)」


「(あぁ、そんなにガチガチの労働者じゃなくても良いよ。そうじゃなくてとりあえずは1家族単位、まとまった人員で良いや)」


「(アンタ何を言ってるんだ?そんな環境で家族って。どう考えたって女子供、衰えたような老齢な人材なんて役に立たないだろう?そんなのまで買うっていうのか?)」


「(うん。あんまり良い値が付かない年寄りもまとめて引き取るんだ、値段は割引してくれるんだろうね?)」


「(それはまぁ。いくらを予想、予定しているんだ?)」


「(1家族の1人辺り金貨100枚、どうかな?その家族に技術職者がいるなら追加でその1人に50枚追加しよう。父親が技術職者、母親がただの一般人、子供が2人、老いた爺さん婆さんだとしたらその家族の代金は金貨650枚だね、どう?)」


「(技術職だと通常はその技量、知識量にもよるが金貨250から300枚が妥当だ。だが、女子供や老人まで1人辺り100枚か。子供や老人は20枚位だしな、実際悪くないな、しかしだ)」


「(何かな?不満な事でもある?)」


「(女子供、更には老人まで。何をさせる気だ?なぜ男手で固めない?)」


「(そんなの簡単だよ、別に急でやるものでもないんだもの。あの町のドワーフは個人も町も借金まみれで今やそういう市場じゃない)」



「(それはそうなんだが、どう今の話に繋がるんだ?)」


「(だったら家族単位で買って男性には土木、建設の実務労働作業、女性には現場で身の回りの生活を整えてもらう労働環境整備で分業、それで子供も近くで手伝いでもさせてれば働く側も安心でしょ?)」


「(売る側の人間が買う人間にこんな事を言うのは筋が違うのは分かっているが、言わせてもらいたい。アンタのしようとしている事は概ね理解した、その計画の労働に従事させる奴隷の購入の理屈も理解する。単純に人間を雇って給料を払うより奴隷の購入の方が長期で見れば安価だろうさ)」


「(それで?分かってくれているなら何を言いたいって?)」


「(アンタがやろうとしている事は自身の調査に付き合わせる形で奴隷を購入、その流れで実質的に解放しているように思える)」


「(えー?そんな事ないよ?こんな他人から見たら馬鹿げている事に付き合ってくれる労働者なんていないだけだよ)」


「(そうか?1家族や2家族を動員するならアンタのいうようにそんなもんなのかもしれない。だが、この調査とやらが長期であればあるほど人員が必要になってくるのは明白だ)」


「(そうしたらまた新しい奴隷を家族単位で買うだけさ)」


「(それを繰り返していく事でドワーフを町から移動させるつもりじゃないのか?)」


「(結果そうなるかもね。でも、今の時点じゃ最終的に何人の奴隷を買うかなんて考えてもいないよ?)」


 何を話しているんだろう、ていうか、俺この場に本当に必要か?いる必要なくない?


「(アンタ自分で言ったじゃないか。長い付き合いになる、私も相当な利益を得ると。それは奴隷の事か?確かに利益にはなるがそんな大袈裟なものでもないのではないか?)」


「(うーん?結構頭がキレるじゃない?)」


「(そんな事もない。これ位なら一般的な商人なら気付くが自己の利益の為には黙って商売をするのが普通なだけだ)」


「(じゃ、今こうしている自分が普通じゃない自覚もあるんだね)」


「あの、ちょっといいですか?」


 2人の会話を中断させて俺は声を出す。いい加減この状況に耐えられなくなってきた。

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