レティーシャはかなりのお金持ち 五
「ここや各宿場の水って昔はどうやって確保してたんですか?ここには井戸がないみたいですけど」
この宿場にだけ井戸がないだけで他の各宿場には井戸があるのだろうか?それとも地下水脈の枯れがそっちにも影響して枯れてしまっているのか?
「井戸はないね。宿場っていっても経営しているようなものじゃないんだ」
経営者がいない?じゃどうやって運営していたんだ?
「例の都市が繁栄していた頃だったからね。公共の休憩所、あくまでも各々が勝手に休む為の施設かな?だから当時の国からの命で兵士達が水を大きな幾つかの樽に給水だけしていたんだ」
「そんな樽1個も見てないですよ?」
「とっくに回収されたか、誰かに持っていかれたんじゃないかな?本当ならホールの中央の壁に幾つも並べてあったはずなんだけど」
「では、定期的に樽で水が運び込まれていて、空になった樽と交換していたと」
「ちょっと違うかな?魔法の水袋があるんだよ。それに入れた水を樽に給水するんだよ?そうだね……」
ゴソゴソと片付けをしていた荷物の中にあった干し肉が入った牛の革袋なナップサックを手に取ってこちらに見せるレティさん。
「この位の革袋の大きさで水が、うーん、比較する樽がないから想像難しいだろうけど、とにかく樽1つ分は水が入るんだよ」
「ちょっと待ってくださいよ、そんな凄い物があるならそんなの移動の際の水問題って解決してるんじゃないですか?」
樽がどんな大きさかは本当にイメージ出来ない。しかし、アニメとかで背景に映り込んでいるようなのは大体分かるし、ウィスキー作るドラマで見た樽なら知っている。確かあのウィスキー樽で200リットル前後だっけ?
「すっごく高いんだよ?当時は国が保有していた物を国の兵士が警備も有りで運用して給水していたの」
「高いって、どれ位ですか?」
レティさんが口角を上げて目を細めて笑った、これ悪い笑いのヤツだ。
「金貨1500枚、位かな?」
1500枚、またしても十万円金貨で換算する、と……1億5千万だと!?
「高いっ!!」
「そう、とっても高いんだよ?私の労働3年分だよ?」
「そんな高い物よく警備や護衛?有りでも運用してましたね、国は」
「まぁそれを使ってでも各宿場を維持するだけの利があの都市にはあったからね。正に度外視だね、それを10個も運用して高速巡回で給水していたよ……さて、ここで自分の存在の恐ろしさが分かってきたんじゃないかな?」
いたずらっ子の悪い笑いはなくなって真剣な眼差しが向けられている。
「私が可能な限り君を隠したいのも納得だね?でも、そうだね1日に出せる水の限界が樽の5つ分位っていうのはいいね。それでいこうよ」
「まぁ、俺は何でもいいんですが……」
「…………。精霊との契約って嘘を吐く訳だし、うん、そうだね……精霊の機嫌が悪いとあんまり水が出ない事にもしておこうか。モビーに悪さや酷い事をすると水が出なくなっちゃうんだ、そうしよう」
本来の各中継点の水問題はどうするかという問題はまだ解決していないが、俺の能力の偽装は着々と構築されている。
「で、結局、各拠点の水はどうするんですか?」
「ん?ん〜〜〜〜?当面は樽を買って各宿場に5つも置いておけばいいかな?後は余裕ができてきたら地面を掘って石と漆喰で貯水槽を埋設するで良いでしょう」
なんだ、「あ」とか言っていた割にはもう打開策は考えていたのか。まぁ、頭はキレるし回転も速い人みたいだから、こんなものなのか?
取り敢えずの身のフリが改めて決定したからかまた何かしらをガタガタと片付け始めた。
でも、何れにしてもここを含めた各宿場をどうする気なんだろうか?公共施設だったようだし?勝手に占拠していいのか?それとも国から買い取るんだろうか?
何れにせよ、彼女に任せて着いていくしかないか。




