レティーシャはかなりのお金持ち 三
「どうしよう、どうしよう、どうしようかな?」
「何でしたらこっちから向こうへ行くのは?馬と荷馬車を借りてあっちに向かって、途中で接触したらそのままドワーフの町へ向かって今日はあっちに宿泊して明日の朝出発して戻ってくるとか?」
「悪くないけど、それだと結局意味がないよ?モビーが同行しないと水の問題があるから結局モビーの存在が明るみになっちゃうね」
うーん、ダメか。そうだよなぁ、俺がここに居るのが問題なんだもんな。俺はいるからダメ。なんかこう、都合の良い光学迷彩みたいな魔法とかないのかな?
「一応聞きますけど、俺がここにいるのって相当不自然なんですよね?」
「うん、それはもう不自然極まりないね」
「じゃあ、あっちの俺は最初にアラダリって商人と遭遇した時に自分をどう説明したんですか?」
「確か言葉が通じないのをリルが通訳して彼女の機転で水を司る精霊と契約した大魔道士とか言ったんだったかな」
「それじゃーもうそれで良いじゃないですか?最初がそうだったんですから、間に入るのがレティさんでも小さい誤差ですよ」
「そうかなぁ?」
「そうですって、難しく考え過ぎですよ」
「そうだとしてだよ?何でここにモビーがいるのって事になるじゃない?」
「いる理由ですか?それは……樹があった都市を調査しに行く途中とか言えばいいでしょ?動機は好奇心、これで十分ですって。レティさんだってここの地質調査するって嘘付いてここにいるんでしょ?」
「それはそうなんだけど……」
この人は何の躊躇いもなく行動する時と割と小さな事で考え込む気がする。自分の知っている未来に囚われ過ぎているのだろうか?
「最悪の場合、他の全ての事に目を瞑って2人でその都市に勝手に住み着いて樹を復活させるだけでも良いんでしょう?」
「…………うん」
「それにあっちではここに半年位留まってから都市に向かったって事は、今から行けばレティさんの知っている流れよりも数ヶ月程度は早く樹が復活するんじゃないですか?」
「うん」
「それはそれで良いんじゃないですか?ドワーフ達に都市を創り変えてもらう必要があるなら話は別ですが」
「そうしようか」
早いなぁ。なんだこの落差は?
「それでいこう、ここに拘る理由はない。あっちで調査するフリをして調査に必要だからって口実でドワーフをどんどん買い上げていこう」
まぁ、悩んでいても始まらないしこれで良いだろうさ。
「買い上げていこうって、相場なんて俺は知らないですけど」
大体の異世界物だと奴隷の相場って金貨何十枚とかそんなもんだっただろうか。もし仮に日本の十万円金貨だったとして数百万円じゃないの1人辺り。
「お高いんでしょう?1人だけでも」
なんだそんな事かみたいにこっちを見ている。やれやれとでも言いたいような表情だ。
「モビー、私は200年お金を計算している間に給金をほぼ使わずに貯め込んでいたんだ。200年だよ?200年!金貨でどれだけか分かるかい?」
ムカつく位不敵な顔で笑っていらっしゃる。知らねーよ、年収がどれだけかも知らないのに何とも言えませんな。
「知りませんよ、そんなの。年収は金貨でいうとどれ位だったんですか?」
「聞いて驚いてよ?500枚だよ!!」
金貨が500枚?500枚、500枚……それが200年分?
500×200で?10000枚?十万円金貨だったとして十万円が十万枚?………………百億!?
「いぇい」
親指立てながらウィンクしてきた。
「どこにそんなお金を持ち歩いてるんですか!?」
「持ち歩いてなんかないよ、そんなの危ないし重いよ。額が大きいから嫌がられるしで今は20枚しか持ってないよ?後はみんな国庫に預けてあるからそこから引き出して使うか、代金をそこに請求してもらう」
「そんな額使ったら国に怪しまれるじゃないですか、絶対に!」
「大丈夫だよ、今の担当はユルグなんだから。狙ってあの子を財務担当にしようとした訳じゃないよ?」
「それ絶対に一度ユルグ王子に会いに行って経緯と計画話しておかないとダメですよ!?」
「そんなんもんかなぁ?」
「行ってくださいね!?絶対ですからね!!」
「分かったよぅ……」
そうだよなぁ、何不自由なく衣食住は必要経費で負担なしで計算してはダラダラを200年やってたらそりゃ貯まるよ。多分買いたいような物とか興味もなかったんだろうし。貯まるよなぁ。




