レティーシャはかなりのお金持ち 一
「荷馬車と馬車がある以上、アラダリが1人でここに来る可能性は低い」
ザクザク、モシャモシャ。咀嚼音を響かせながら食べつつ話をしてくるレティさん。なんか残念な美少女だ、実年齢そんな歳じゃないけど。良く言えば自然体でいいんだろうか?年相応の。
「まぁ、そうでしょうね。持ち主は……誰か分かりませんがいるでしょうからね」
「そうだねぇ〜どこの誰だろうね〜」
わざとらしい会話をして冷たいお茶飲む俺達。最近はレティさんはお茶の方をよく飲むようになってきた。味が気に入ったのか、それともいつもあると思うと水では味気なく思ってきたのか。
「それで、今度はどうします?俺も一緒に横にいますか?」
アラダリは堅実で良識的な商人で、あっちの世界でも都市復興時に物資の搬入やドワーフを横流しするとかで非常に手助けをしてくれたらしい。勿論自分に利があってこその行動だったはずだが、根は良い人なんだろう。昨日わざわざここに来たのもその証明になる、という話だそうだ。
「大丈夫だよ。最初から警戒しているように見せれば、杖でも持っていれば普通はそれだけで察するよ」
昨日のあれを体験してしまっているからなぁ。文字通り長年ここで生きている人が大丈夫と言うなら従うが、不安が消えるものでもない。
「実際問題、俺は腕に覚えがあるような人物じゃないですが男がいるって事だけで相手に牽制出来ません?」
「気持ちは嬉しいんだけど、モビーの存在をあまり人に知られたくないね。アラダリだけなら良いんだけど違う誰かもいると危険性が上がっちゃうかもしれない。私の不注意でもう世界の動きは私の知り得る物じゃなくなっているから」
言ってしまえばレティさんは人生2週目何だろうが、1周目より良くしようとした結果逆に面倒な事になったから慎重になって当然か。
「分かりました。また寝室に隠れていますね?まぁどの道レティさん以外とは会話も出来ませんから、大人しくしています」
「それで良いよ。おそらくドワーフの件や物資でも商談になると思うから……。あ、待てよ?もしかしてアラダリはここに1泊する可能性もあるかな」
おぉっと。なんだその話は、それだと色々と流れが変わってしまわないか?さすがにそんなに長時間は隠れていられないぞ。
「町からここまでは早朝に出て途中休憩を挟んでギリギリ昼に着く位の距離だけど、昼にここに着いた時点で日が傾くまでは危険だから人も馬車も動けないんだよ。」
「それだと商談の話の有無に関係なく下手したら1泊する事になりませんか?」
「そうなっちゃうね。だとしたらモビーの存在を隠しきれない可能性が高い。これはちょっと考えないといけないね」
幸いまだ時間はある、どうするか考えていても問題はない。




