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歌舞伎揚を齧っているだけだったはずの異世界生活の話  作者: 宮清水 和


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行間 レティーシャとユルグ

 俺には決めている事がある。レティさんより先にベッドに入って寝る事だ。

 実際に眠るとかはどうでもいい、彼女より先に寝るというアピールをして、貴女に手を出すつもりはないと強調する事が大事なんだ。

 彼女は何故、俺に執着するのか。あちらの並行世界では一体彼女との間に何があった?わざわざ時間を逆行、世界を渡ってまで俺と夫婦にならなければいけない事でもあるのか?それは愛とか感情的なものなのか?それとも莫大な富とか利益なのか?

 歌舞伎揚や水がその莫大な富に繋がるのは理解出来るが、既にレティさんは200年も財務大臣みたいな事をしていたんだからかなりのお金持ちじゃないのか?

 分からない。だが、ユルグ王子の存在を知る事が出来たのは良かった。

 7歳だったか8歳だったか?それ位の年齢から酷い目に遭っていたのを助けられて育てて貰ったような少年だ。レティさんには今風に言えば脳を焼かれているはずだ。

 彼にとってはレティさんは母であり、姉であり、教師であり、13歳にもなった今は初恋のお姉さんでもある可能性は非常に高い。

 レティさんがユルグ王子をどう思っていようと彼が彼女をどう思っているかは別の話、問題だ。

 もし、もし本当にレティさんが俺に恋心なりを持っていたとしてもユルグ王子はどうか?彼にも彼女への恋心がある場合は?

 世界や価値観は違うが13歳、まだまだ母親は必要な年齢だ。恋でなくても親子の感覚があれば?それだけでも母親を子供から奪うような行いはしたくない。してはいけない。

 ユルグ王子の存在は俺が考えなしにレティさんに欲情、劣情を抱く大きな防波堤になってくれる。俺はまだ、レティさんに恋愛感情等持ってはいない。このタイミングで知ったのは本当に良かった。

 彼の知らない間にレティさんを掻っ攫うような真似は出来ない。寝取られ物の寝取られる側にも寝取る側にもなりたくはない。

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