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異政界転生  作者: はくさん
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4歳の進言

いつもありがとうございます!

皇帝暦1894年9月13日。

「ドット様、どうか、どうか税をお下げください! 我々領民は不作に苦しんでおります!」

冬の足音が近づくある日、必死な嘆願の声がセイラント侯爵家の屋敷内に響き渡った。

「ならん! 税を下げてしまっては、陛下に納める上納金が減ってしまうだろう? さすれば我らセイラント家の地位と、中央での権力が揺らぐ! あってはならんことだ!」

父であるドットは、険しい表情で一蹴する。

上層部のことしか見えていない、典型的な旧体制の貴族らしい反応だ。このままでは民の信頼は地に落ちる。

「父上。税を下げてはいかがでしょう」

私は齢4の幼子の体を使いながら、あえて冷徹で落ち着いた声で言い放った。

「何を言うかアクルよ。いくら愛しい息子の願いとて、国家の基本に関わることを無条件で聞くわけにはいかぬぞ」

「父上、我が領土に住まう民の数は約45万人です。我々は彼らから民税と土地税を徴収しており、それがこの領土の命綱であることは私も理解しております」

「ああ、さすが我が息子だ。よくわかっているじゃないか!」

父の表情が緩む。しかし、私の本当の狙いはここからだ。私は畳み掛けるように言葉を紡ぐ。

「しかし父上。不作の年となると、その徴収条件を変更せざるを得ません」

「なぜだ? 不作だろうと税率は一定だ。商人の懐には影響なかろう?」

「それは違います。農作物の不作は、巡り巡って商人や経済全体に打撃を与えます。我々が領民の痛みを理解しようとしない姿勢を見せ続ければ、それがやがて不満となり、反乱の火種に変わるでしょう」

私はさらに具体的な折衷案を提示した。

「問題を解決するため、民税は例年通りとします。しかし、土地税に関しては食料生産に関わる者のみ、一時的な減税措置をとるべきです」

ドットは目を見張り、そして感嘆の声を上げた。

「アクルよ……お前は齢4にして、なんと立派に育ったものか! これなら我がセイラント領も安泰だ!」

我が息子の賢さに歓喜する父。……なんと単純な男なのだろう。

しかし、この分かりやすさは統治に利用するには最高の性質だ。

「アクル様……ありがとうございます! これで農民たちも救われます!」

直談判に来た農民代表は、涙を流して頭を下げた。

「頭を上げてください。領民あっての諸侯です。我々が領民の生活を理解するのは当然のことでしょう」

私は微笑みとともにそう答えた。

この言葉で、農民たちの心は完全に私の方を向いたはずだ。

さて、問題は山積みだ。

我がセイラント領は、民税と土地税以外の税をほとんど徴収できていない。この状態が続けば、生産性の高い商人は私腹を肥やす一方で、貧しい者はいつまでも富を蓄えられない。

このような格差こそが、前世の歴史において過激な思想を生み出したのだ。

(共産主義のような愚行など、この国には絶対に誕生させない。私が統治の仕組みごと塗り替えてやる)

私は心の中で強く覚悟を決めた。

この日から、私は赤ん坊のふりをやめ、父の執政『政治』に堂々と関わっていくこととなる。

次回をご期待ください!

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