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対立

 マリーは急いでいた。

 クリスに伝えなければならないことがある。

 トミーが生きているかもしれない。

 今ならまだ、トミーを救い出すことができるかもしれない。

 クリスにそのことを伝え、どうすべきなのか考えなければならない。

 マリーはクリスの姿を探して学園中を駆け回った。

 レクリエーションルームにもいない。

 教室にもいない。

 食堂にもいない。

 中庭にもいない。

 どこに行ったの? クリス。

 マリーは心の中で呟きながら、クリスの姿を探す。

 生活棟から渡り廊下を抜け、学習棟に入って左右を見回したところで、ようやくクリスを見つけた。

 クリスは学習棟の廊下をこちら向かって悠々と歩いて来る。

 マリーは「クリス」と彼の名を呼び、駆け寄る。

「どうしたんだい、マリー?」

 切迫したマリーの声に、クリスが驚いた様子で訊き返す。

「大事な話があるの」

 マリーが掴みかかりそうな勢いで告げると、クリスは「しっ」と鋭く制し、親指で背後を示した。

 そうだ。この先には職員室がある。こんな場所でうかつなことを口にしてはいけない。

 マリーは慌てて口をつぐんだ。

「三十分後、例の場所に来られるかい?」

 クリスが小声で訊ねた。

「ええ」

「そこで話そう」

「わかったわ」

「一緒にいるところを見られるとまずい。僕は先に戻っておくよ」

 マリーが頷くと、クリスは「じゃあ、あとで」と言って、彼女が来たほうへ歩き去った。

 その背中を見送ってから、マリーは反対側へ顔を向ける。

 この先には職員室があり、さらにその奥には実験室がある。

 洞窟のような暗い廊下を見据えて、マリーは思う。

 クリスはどこに行っていたのだ?


 三十分後、マリーは物置小屋に向かっていた。

 トミーが生きているかもしれない。

 早くそれをクリスに伝えなければならない。

 なのに、足が重い。

 別のことが頭から離れない。

 なぜ、クリスはあんな場所にいたのだ?

 いや、おかしくはない。生徒たちは、すすんでそうしないだけで、職員室に近づくことを禁じられているわけではない。何か用事があれば、職員室に入ることだってある。例えば、授業でわからなかったところを先生に質問したり、壊れた玩具の修理を職員に頼んだり……何の不思議もない。

 だけど、クリスの用とはいったい何だ? 

 今は職員たちの目が厳しくなっているから、余計な行動は控えるように、とそう指示したのは、他ならぬクリスだ。この状況下で、わざわざ職員室に出向かなければならない用件とはいったい何だ?  

 答えも見つからず、いや、そもそも考えたところで答えが見つかるはずもないことを考えているうちに、マリーは物置小屋の前まで来ていた。

 今は、そんなことに気を取られている場合ではない。トミーが生きているかもしれないのだ。早くクリスに相談して善後策を考えなければ。

 そう頭を切り替えようとするのだけれど、思うようにいかず、気持ちは宙ぶらりんのまま、マリーは物置小屋の木製扉をノックした。

 軋み音を立てて扉が開き、クリスが顔を見せた。

「さあ早く入って」

 クリスに促され、小屋に入ると、もうひとつ人影あった。

 ジョーだ。

 クリスはジョーも呼んだらしかった。

 ジョーは怪しいから気をつけろと注意したのは、クリスではないか。クリスは何を考えているのだ。クリスのことがますますわからなくなり、そっと見遣ると、クリスは澄ました顔で、「三人そろったね」と告げた。

「で、話って何だ? 何かわかったのか?」

 ジョーが無愛想に訊ねる。

「いや、そっちのほうはまだ調査中だ」

「早くしろよ」

 ジョーは険のある声で言った。

「わかっているよ」

 クリスが冷然と答えた。

 ジョーは小さく舌打ちし、それから訊ねた。

「じゃ、今日はいったい何の話だ? よほどのことがない限り、ここには集まらないって話じゃなかったのか?」

「マリーから話があるそうなんだ」

 クリスが答えると、ジョーが今度はぎろりとマリーを睨む。

「ええ、あなたたちに伝えておくことがあるの。とても大事な話よ」

 ジョーの様子に、マリーは弁解するように答えた。

「何だ、また、俺のことをあれこれ探るのか?」

 ジョーが皮肉っぽい笑みを浮かべた。

「この前のことは謝るよ、ジョー。気分を害するようなことを言って、悪かった」

 クリスがあっさり非を認めると、気勢をそがれたのか、ジョーは小さく肩をすくめた。

「で、何なんだ、大事な話って?」

「さあ、マリー、聞かせてくれ」

 クリスが水を向けた。

 トミーが生きている可能性がある。そのことをジョーにも教えていいのか、マリーにはわからない。だが、ここまできて言わないわけにもいかない。

「トミーが生きているかもしれないのよ」

 マリーは単刀直入に言った。

 気怠そうに木箱にもたれ掛かっていたジョーは、ばっと身を乗り出した。

「本当か? どうしてそんなことがわかるんだ?」

「キララと話したのよ」

「キララ?」

「ええ。生徒が行方不明になったあと、他の生徒たちはその子のことを忘れる。そういう話だったわよね」

「ああ」

「実際、キララに話を訊いたら、ここ最近で行方不明になったリンダやケンのことは忘れていた」

「うん」

「けれど、トミーのことは憶えていた」

「つまり、どういうことだ?」

「わたしたちはこれまで生徒が行方不明になると、他の生徒たちはその生徒のことを忘れてしまうと決め込んでいた。だけど、そうではなく、いえ、もっと因果関係を突き詰めると、行方不明が原因ではなく、行方不明になった生徒が死ぬことが引き金になるんじゃないかって、わたしは思うのよ」

「うん」とジョーが相づちを打つ。

「もちろん、どうやって生徒から記憶を奪っているのかはわからないわ。だけど、もし、わたしの推理が正しければ、キララがまだ憶えているトミーは生きている可能性がある」

「なるほど、十分に考えられるな」

 ジョーは顎をさすりながらマリーの考えに同調した。

「うん、確かにそうだね」クリスも頷く。が、そのあとすぐに、「けれど、君の話は推測の域を出ていないな」とにべもなく断じた。

「えっ?」とマリーはクリスの反応に少し驚く。

 彼の言うとおり推測に過ぎないが、話の筋は通っているし、何となく、クリスなら自分に味方してくれると思い込んでいたのだ。

 逆に、ジョーのほうがマリーの考えに肯定的で、「そんなこと言ってる場合かよ」と食ってかかった。

「生きている可能性が少しでもあるなら、助けに行くべきだろう。お前は忘れたのかよ。トミーは俺たちを逃がすために、犠牲になってくれたんだぜ」

「忘れるわけがないだろう」

 熱くなるジョーとは対照的に、クリスは冷静に言い返した。

「だったら、今度は俺たちの番だろ。命を賭けて俺たちを助けてくれたトミーを、今度は俺たちが命を賭けて助けてやらなきゃならない。ええ、そうじゃないのか、クリス」

「どうやって助けるんだい」

「どうって……それを今から考えるんだろう」

「それで、トミーはどこにいるんだい?」

「だからそれも……」

「失敗したらどうなる?」

 クリスに質問攻めにされ、とうとうジョーは黙り込む。

「トミーが生きていてほしいと願う気持ちは、僕も同じだ。彼を助けたいとも思う。だが、それは彼が生きているという確証が得られてからの話だ。マリーの話にも一理ある。あるいは、彼女の言う通り、生徒の死が、忘却の引き金なのかもしれない。だけど、それはただの推測に過ぎない。何の確証もない。何の考えもないまま突き進むことに、僕は賛同できない。危険すぎる。馬鹿げている。こんな状況でトミーの救出に向かうなんて、捕まえてくださいと、学園に自ら首を差し出すようなものだ。それで、僕たちのことが学園にバレたりしたら、それこそ、トミーの尊い犠牲を無駄にしてしまう。ここは、トミーの為にも自重すべきだよ」

 クリスは訥々と言って聞かせる。

「だけどよ……」

 ジョーは力なく呟き、目を伏せた。

「僕たちは子供だ。非力だ。ケンもトミーもいなくなり、残されているのはここにいる三人だけなんだ。彼らのためにも、僕たちはより一層慎重に行動し、何としても計画を完遂しなければならない。そうだろ、ジョー」

 クリスの説得に、ジョーは反論の言葉も出てこない様子だった。

「トミーのことはひとまず置いておこう。マリーもそれでいいね」

 クリスはマリーに向かって言った。

 クリスの言うことはもっともだ。やはり、早計だった。きちんとクリスを納得させられるだけの証拠を集めてから報告すべきだったのだ。

 そうね、とマリーが頷きかけたとき、「やっぱり俺は納得できない」とジョーが敢然と言い放った。

 クリスとマリーは同時にジョーに顔を向ける。

「ジョー」とクリスがうんざりしたように言う。

「俺はひとりでもトミーを助けに行く。俺はトミーを見殺しにすることはできない。あいつは俺の友だちなんだ」

 ジョーの言葉に、クリスが深いため息をつく。

「もちろん、僕にとっても彼は友だちだ。僕だって助けたい。でも、無策ではどうしようもない。今、話したばかりだろ」

「そういうことじゃないんだよ」ジョーがぴしゃりと言う。「友だちが生きているかもしれない。その可能性が少しでもあるんなら助けに行くべきだろう。それが仲間ってものだろう。それが俺たちの武器だろう。そう言ったのはお前じゃないか。仲間の絆だけが俺たちの武器だって。俺は、お前みたいに理詰めで割り切ることはできない」

「ジョー、落ち着いて」マリーが割って入る。「この話を持ってきた私が言うのはおかしいかもしれないけど、やっぱり、あくまで推察に過ぎないわ」

「いや、生きている可能性は十分にある。実験に使えるようになるまで俺たちを生かしておく、って話だったろ。そう言い出したのはお前だ、クリス。トミーは生きているんだよ。俺たちが助けに来るのを待ってるんだ。お前たちが何と言おうと、俺はトミーを助けに行く」

 そう言い放つジョーに、クリスは射るような視線を向けた。

「わかった。それじゃ、こうしよう。トミーの救出も同時に進める。調査の過程で、トミーが生きていると判明したら、彼を救い出す。それでいいだろう」

「ダメだ。今すぐ助けに行くんだ」

「よく考えるんだ、ジョー。君やマリーが解放されたように、やがて、トミーも解放されるかもしれないだろう」

「解放されないかもしれないだろう! 解放される保証がどこにある? そんな悠長なこと言ってられるか。生きていることがわかった以上、助けに行かなきゃダメだろう」

「何をそんなに焦っているんだ、ジョー」

「焦らないでどうする?」

「落ち着くんだ、ジョー」

 クリスはジョーに歩み寄り、ジョーの肩に手を置く。

「触るな!」ジョーが即座にクリスの手を払いのけた。「お前はあのときのことをもう忘れたのか、クリス?」

「あのとき?」

「トミーは俺たちを助けるために囮になったときのことだよ」

「忘れるわけないだろう」

「俺はずっと後悔していたんだよ。あの夜、俺はトミーを見捨てて、逃げた。俺はもう捕まりたくなかったんだ。また、あの地下室に連れて行かれて拷問されるのが怖かったんだ。それで、トミーを見殺しにした。トミーに甘えちまったんだ。あの夜のトミーの叫び声がいまでも耳にこびりついて離れないんだよ」

 ジョーは声を震わせる。

「それが彼の意志だ。それとも何かい、君は、あのとき、トミーを助けに行くべきだったとでも言うのかい。そうして、全員、捕まればよかった、とでも言いたいのかい?」

「だから、そういうことじゃないんだよ」ジョーが顔を顰め、声を絞り出した。「お前にはうんざりなんだよ、クリス」

「今、そんな話をしている場合ではないだろう」

「いや、ちょうどいい機会だ。いまこの場で言わせてもらう」ジョーがクリスを睨む。「お前はそうやっていつの間にかリーダー面して、俺たちにあれやこれや指図するが、それで上手く行った試しがあったか? 調査、調査で何かわかったか? 刑事のまねごとみたいなことして、たまに集まっておしゃべりをして、それで学園の秘密がわかったのか? 実験室に忍び込むと言い出したのも、お前だ。その結果、どうなった? トミーは捕らえられ、いまだ何も掴めずじまいだ。それだけじゃない、お前の言う計画ってのはいつ終わるんだ。いつまでたっても、何もわからないままじゃないか。いつまで経っても前に進まないじゃないか。なのに、仲間は減っていく一方だ。お前の判断が間違っているんだよ。お前の考えが間違っているんだよ。お前がトミーを殺したんだよ」

「言い過ぎよ、ジョー」

 あまりの言い草に、見かねたマリーが諫めた。

 ジョーも言葉が過ぎたと思ったのか、苦々しい表情を浮かべる。

 これだけ悪し様に言われても、クリスは一切取り乱さない。黙ってジョーの話に耳を傾け、聞き終わると、「わかったよ」と静かに答えた。

「君の気持ちは十分伝わった。なら、こうしようじゃないか。今すぐトミーを助けに行くかどうか、調査と同時並行で進めるか、多数決で決めよう」

 クリスの提案に、マリーは「えっ」と声を上げた。

 多数決といっても、クリスとジョーは意見を決めている。つまり、実質的には、マリーがどちらにつくかを迫られているに過ぎない。

 思わぬ方向に話が展開し、マリーは狼狽する。

 ふたりがマリーを見る。

 マリーはふたりの顔を交互に見返す。

 トミーを助けるかどうか、それだけでなく、クリスとジョー、どちらを選ぶのか、その決断まで強要されているようで、マリーは途方に暮れた。

「さあ、マリー」とクリスはどこか余裕のある口調で催促した。

 ジョーは怒ったような顔つきでマリーを見る。

「ごめんなさい」

 マリーはまずそう言った。それから一拍おいて、「ジョー」と彼の名を口にした。

 無論、マリーにもトミーを助けたい気持ちはある。何より、トミーが生きているかもしれないと、ふたりに話したのは自分だ。

 だが、実際問題として、今すぐトミーを助けに向かうのは危険すぎる。

「トミーを助けに行くのは、彼の生死が判明し、居場所が判明してからにしましょう」

 マリーは言い訳がましく付け加えた。

「わかったよ」ジョーは吐き捨てた。それから、「じゃあ、俺は、今日でグループを抜けさせてもらう」と誰の顔も見ずに続けた。

 突然の決別宣言に、マリーはあわてふためいて、「ジョー、何もそこまでする必要はないでしょう」と引き留めた。

「悪いな、マリー。俺は君たちとはやっていけそうにない。俺は俺でやるべきことをする。君たちは君たちでやってくれ」

 しかし、ジョーはきっぱりそう言って、マリーたちに背を向けた。

「ジョー」

 マリーは呼びかけたが、ジョーは目もくれずに扉のほうに向かう。

「待って、ジョー」

 追いかけようとするマリーの肩を、クリスが掴んだ。

 マリーは見返った。

 クリスはゆっくりと顔を左右に振った。

 そうしているあいだに、ジョーは小屋を出て行ってしまった。

「わたしのせいだわ」

 ジョーがいなくなると、マリーは悔悟の言葉を口にした。

 こんなつもりじゃなかった。トミーが生きているかもしれない。ただ、そのことを伝えたかっただけなのに……。

「君のせいじゃない。いずれジョーとはきちんと話し合わなければならなかった。あるいはいい機会だったのかもしれない。今は彼も頭に血が上って、あんなことを口走ってしまっただけだ。落ち着いたら、もう一度話して、戻ってくるよう説得してみる。だから、君は気に病む必要はない」

 クリスはそう慰めるが、マリーの気はおさまらない。自分がもたらした不確かな情報のせいで、チームを空中分解させてしまったのだ。

「それに考えようによっちゃ、これでよかったのかもしれない」

 クリスが言い加え、マリーはクリスを見る。

「どういうこと?」

「彼が裏切り者だという可能性はまだ消えていない」

 クリスは当たり前のように言うが、マリーは受け入れがたかった。

 ついさっきのジョーの態度。あれは、どこからどう見ても本気で仲間のことを思う人の態度だった。危険を顧みず仲間を助け出そうとする人の態度だった。あれが偽りだとでも言うのだろうか。あの態度が嘘だと言うなら、いったい、自分は仲間の何を信じればいいのだ。

 クリスの言葉に納得のいかないマリーは、「そうね……」とおざなりに答えた。


 マリーの気持ちは沈んだままだった。

 クリスとジョーを仲違いさせてしまった。その自責の念が重くのしかかり、なかなか足を前に出せない。

 どうにかして、ふたりの仲を元に戻すことはできないだろうか……。

 クリスと別れ校舎に戻る道すがら、マリーはずっと考えていたのだが、なかなか妙案も浮かばない。

 ふたりは一見正反対だが、根っこの部分は似ている。よく言えば、意志が強く、悪い言い方をすれば、頑固だ。そう簡単に関係を修復できないことは、マリーにもわかっていた。

「ふう」と胸にわだかまるもやもやを吐き出すように、ため息をついたときには、生活棟の前まで来ていた。

 ドアの前に立つと、またどんよりしたものが胸に広がった。

 中に入る前に、もう一度「はあ」と吐き出して、マリーはドアを開けた。

 生活棟の廊下をとぼとぼ歩く。

「マリー」と声をかけられた。

 振り返ると、キララが立っていた。

 先日、キララの部屋を訊ねたとき、少し気まずい雰囲気になってしまったから、キララがいつも通りに接してくれることが、妙にうれしかった。

「キララ」とマリーはキララに歩み寄る。

「どこに行くの?」

「決めていないわ」

「それじゃ、キララと一緒にレクリエーションルームにでも行く?」

 キララが誘う。

「そうね」

 マリーが答えると、キララが右手を差し出した。

 マリーはその手を取る。キララの温かい手に触れると、沈んだ気持ちが少しだけ楽になる。

 マリーの気も知らないキララは楽しそうに大きく手を振った。

「そんなに振っちゃ、手がとれちゃうわ」

 キララのほうを向き、冗談めかしてたしなめると、キララはいたずらっぽい笑みを返した。

 キララのもう一方の腕には、いつもの青い目の人形ではなく、別のぬいぐるみが抱かれていた。

 そのぬいぐるみを目にした瞬間、マリーは固まった。

「……キララ、そのぬいぐるみは?」

 足を止めて、訊く。

「この子?」

 キララがぬいぐるみをマリーに見せる。

 天使のぬいぐるみ。次の被験者を知らせる、天使のぬいぐるみがキララの手にあった。

「キララの知らないあいだに、この子がキララの部屋に来ていたの。可愛いから連れてきちゃった」

 キララはあどけない表情で言った。

「そんな……」と絶句するマリーをよそに、キララは笑みを湛えたまま天使のぬいぐるみを抱きしめた。

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