黒歴史と魔法
~異世界生活三日目~
俺は目が覚めた。まぶしい光がカーテンの間から透き通っている。
カーテンを開けると、部屋の中全体が光に覆われた。
なんだろう、今日は胸が重いな。
俺は食堂へと向かう。今日はコリンの手作り料理だ。
食堂の扉を開けるとみんないた。いた・・・え!?
そこには俺の姿があった。
「あ、おはようマリエさん!」
キャロは俺に向かって挨拶をしてきた。
いや、俺だよ!てか誰だよそこの俺は!!
「おいマリエ~どうした~?早く座れよ~」
くっそあの団長め!!体を入れ替えやがったな。
俺は魔法を唱えようとした、しかし俺の姿をした団長に止められた。
「お、おい!なんだよ今の魔法は!!」
団長の姿をした俺が聞くと、団長さんは、
「この魔法はですね。相手の魔法を無効化できるんですよ!まぁその分消費は激しいですが・・・」
な、なんだよその魔法!
「そんなのチートだチート!早く元の体に戻してくれ!!」
俺たちが暴れまくったせいで机や椅子がボロボロになっていた。
顔を真っ赤にして見ていたコリンがとうとう・・・
「いい加減にしてくださぁぁぁぁい!!」
団長、俺、そしてキャロもコリンの方を向いて止まっていた。
俺たちは廊下で静かに正座していた。あぁ、めちゃくちゃ寒い。ちょうど真冬の時期だ。暖炉もないこんなところで正座なんかしてたら凍えしんじまうぞ。
「寒いですね。雅也さん・・・」
そういうと団長は俺に抱き着いてきた。
「ちょっ!?団長さん何してんですか!!」
俺が動揺してると、団長さんは、
「私のことはマリエと呼んでください。」
「俺の話を聞いてくれ!!」
はぁ、もう疲れた・・・
マリエがこちらに振り向き、
「どうしたんですか?体戻してもいいんですよ?」
「マリエのせいで体戻せないんだよ!どうしてくれるんだ!!」
マリエは俺に笑いながら、
「そうでしたね」
と言ってきた。
この野郎、あとで覚えていろ・・・!
「そういえばこの家どうしたんですか?とても高そうですが・・・」
「ん?あぁ、この家?キャロの知り合いから安くしてもらったんだよ。なんかその知り合いは泣いてたけど・・・」
それ以上深くは言わないでおこう。
「へぇ、そうなんですか」
なんだその反応!と言いたかったがまだちょっとだけ距離がある。やめよう。俺にはそんな勇気はない。
マリエが急に俺の腕を引っ張った。ってあれ!?縄は!?
「お、おい!どこへ連れて行くんだよ!」
マリエはなぜか楽しそうに、
「ふふっ、内緒です」
一体どこへ連れて行ってくれるのだろうか。俺はドキドキとワクワクで胸がいっぱいだった。
俺はマリエの部屋のベッドの上で縄に縛られていた。お前が連れてきたかったのはここか・・・!!
「お、おい、どういうことだよ。これ・・・」
手足が縛られていて身動きが取れない。変な汗が出てきた。このまま大人の階段を登ってしまうのか?まだ子供なのにか?
「ちょっと痛いですが、我慢してくださいね」
ああもうだめだ!俺はもうあきらめてすべてをマリエに捧げることにした。
な、なんだ、急に体が熱くなってきて・・・!?
「ん・・あがぁ・・・!イ、イダイっ!!」
な、なんだこの痛みは!今まで実感したことのない痛みが俺を襲ってくる。
「・・・!?あっ!息が・・・!ぐるし・・・」
息ができない状態だった。俺はここで死ぬのか・・・俺はそのまま目をつぶった。
ん?なんだここは?俺は今までマリエの部屋にいたはずだぞ?
目の前には色とりどりの花が咲いていた。花一本一本が俺の方を向いて笑っているようだった。
花畑の向こうには川があった。その川の向こう側には人影が見える。
「あなたはこちらには来ていけません。あなたは世界を救う救世主なのですから。」
人影は俺に向かって言ってきた。
そうだ、俺はあいつらとあの世界を救うんだ。
そう思った次の瞬間、俺は謎の光によって・・・
「はっ!!こ、ここは!!」
俺が目を覚ますと、そこには泣きそうになっているコリンと俺の手を握っているキャロがいた。
マリエの姿が見当たらない。自分の姿も戻っている。
「雅也様ぁ!!死んじゃったかと思いましたよぉ!!」
コリンが泣きながら俺に抱き着いてきた。
キャロは俺の顔を見て安心したのか、
「よ、よかった!ぶ、無事で!」
あぁ、俺はなんていい仲間に恵まれたんだろう・・・
「ごめんな、心配かけちまって。なぁ、マリエはどこだ?」
俺がマリエがどこにいるか聞くと、キャロは首を横に振った。コリンはまだ泣き続けている。
「え~っと確か・・・屋上行ってくるとかなんとか・・・」
「まったく・・・なにやってんだあいつは・・・。コリン、キャロ、俺に肩かしてくれないか?」
二人は首を縦に振り、俺はコリンとキャロの肩を借りて屋上へ向かった。
まだいろいろなところが痛む。息もしっかりと呼吸することができない状態だ。
「げほっ!ごほっ!」
「だ、大丈夫ですか雅也様?まだベッドで寝ていた方が・・・」
コリンが心配していってくるが、
「だ、大丈夫だ。」
コリンの優しさに俺は涙が出そうになる。
色々と考えているうちに屋上へ着いた。
そこには、壁に腰を掛けているマリエがいた。
「どうしたマリエ。そんな顔して」
マリエの顔は沈んでいた。
「だ、だって私は、あなたを殺しかけたんですよ・・・!」
俺は正直に、
「そうだ、お前は俺を殺そうとした。」
そういうとマリエは泣いてしまった。
「私は、私はここに住む資格なんてないんですよ・・・!!」
俺はマリエの肩をつかみ、
「いや、それはない、お前がここに住むか住まないかは俺が決める!」
俺はただマリエを励ましたかったのだが、なかなか言葉が思い浮かばなかった。意味わからないことを言ってしまった。あぁ、恥ずかしい!!
「な、なにいってんですか・・・!それで励ましたつもりですか・・・!」
あぁ、もうだめだこりゃ、俺は恥ずかしさのあまり屋上から飛び降りたかった。
「あははは!!」
マリエが大声で笑っている。ん?
「なにをいいたいんですか雅也さん!まったく意味が分かりませんよ!あぁ、久しぶりにこんなに笑った。なんかもう雅也さんこんなピンピンしてるんで大丈夫ですよね!切り替えて明日からみなさんに魔法を教えてあげちゃいますよ!」
励ませたのか・・・?ま、まぁよかったのか?いやよくない!俺に黒歴史が・・・
「うわぁぁぁあ!!」
俺は走って自分の部屋に駆け込んだ。
~異世界生活5日目~
俺は色々な魔法を使えるようになっていた。
性別を入れ替える魔法を教えてもらったな。それを使ったら大変な目にあったな。あはは・・・
ん?それ以外の魔法はどうしたって?それはね・・・
支援魔法とわけわからん魔法しか覚えられなかったんだよ!
なんでよ!俺もファイヤーボールとかいって火の玉出したかったのに!
コリンとキャロはなんで普通に使えんだよ!!
はぁ、落ち着こう・・・
「どうしました?雅也様?顔真っ赤ですよ?」
コリンは俺に心配してくれているんだな・・・!
「攻撃魔法が使えなくてちょっとイライラしているんだよ。」
俺はやっぱり子供だな・・・
「す、すいません!私が使えるせいで雅也様が・・・!」
なんか嫌味にしか聞こえないが本人にはその気は全くないのだろう。
「い、いや大丈夫だよ。俺は支援魔法とわけのわからない魔法で頑張っていくから・・・」
キャロは外で花に水を上げている。その水はもちろん魔法だ。
マリエは火を使ってお茶を作っている。その火ももちろん魔法だ。
コリンは俺に向かって風を出してくれている。その風ももちろん魔法だ。
・・・
俺はコリンと体を入れ替えてみた。
「ウォーター!!」
・・・出ない。
「ファイヤー!!」
・・・出ない。
「ウィンド!!」
・・・出ない!!
「なんでだよぉおお!!」
俺はあきらめるしかないのか・・・
「あのぉ、雅也様・・・体戻していただけませんかね?」
あ、そうだった。
・・・
「コリンごめん。どうしても攻撃魔法を撃ってみたくて・・・」
俺が謝るとコリンは、
「いいえ、大丈夫ですよ!」
やっぱりコリンは天使・・・いや神様なのでは・・・
「あぁ、神よ・・・」
俺は気づかぬうちに口に出していたらしい、
「ま、雅也様、わ、私は神ではないですよ・・・」
なぜかわからんがコリンは動揺していた。
メインヒロインはコリンちゃんです!間違わないでくださいね!




