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その夢、つぐないにつき

目を開けると、それはいた。
黒い髪をした童顔の、人の良い
悪魔。

「いけません、お戻り下さい」
「これだけ一緒にいて帰るの?」

「薄情」
「違います、貴方の為に」

「ご家族の為に言っています」
「やだ。一緒にいたいから居る」

「いいでしょ?」

世間体で結婚した男を
ボロボロに傷つけた夫人から
さらったって 罪に問わないでくれますか

いいえ さらっていません
選んだのです 逃げるという選択を


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※あらすじを修正しました。
※7章の料亭場面を一部直しました。
※9章に椿の過去を追加しました。
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