中津浦優斗から見た輝奈子16
輝奈子の寝顔可愛いな。起きた時に食べれるように飯でも作っておくか。目玉焼きとサラダでも。何度見ても可愛い。相変わらず体勢は変だけど。
「にゃん♡おぁよ♡」
1月23日、朝飯を作っていると輝奈子が起きたようだ。輝奈子は寝ぼけ眼で俺を探してるみたい。何だかそれも可愛くて、愛おしい。
俺は「おう。起きたか。金がねぇから作っといた。目玉焼きとサラダ、あとは食パンだな」とまだふわふわしてる輝奈子に話しかける。
「ありがとう。いたぁい♡」
「相変わらず腰痛いのか?」
「ぅん。痛い。でも優斗と一緒に居れるのは嬉しいな」
「そうか。俺も幸せだ」
声が可愛すぎる。この、ぽやぽやした輝奈子ボイスは俺の特権だ。可愛いな。
何を言おうかな。特に何も話さなくても一緒に居られるだけで嬉しい。言葉が思いつかなかったのか俺に抱き着いて、頬に接吻をする輝奈子。「節分にはまだ早い」とでも輝奈子なら言うのだろう。
鬼が来ても俺が撃退するけど。輝奈子も頑張るつもりだろうが、俺の方が強いはずだ。強いよな?信じるぞ、俺。
俺は「相変わらず急だし、キス好きだよな。こうして欲しいのか?」と言いながら、輝奈子を抱き締めて口づけて愛を吹き込んでくれた。
キスの味はそこまでしなかった。お互いまだ朝ごはん食べてないもんな。でも、重なり合う体温は暖かくて冬の寒さを吹き飛ばしていく。実際はエアコンのおかげだろうけど。
輝奈子に言わせるとこういうのは体感とか心とかが重要で別にエアコンだろうがキスだろうが詳細はどっちでもいいらしい。きっと「detailだけにtailでいい。詳細は尻尾でいい。重要じゃない、そんな私のフェアリーテール」なんて言うのだろう。
今日もギャグが絶好調なようで。一体どれほどキスをしていたのだろう。多分息が続く限りだと思うけど。多分1分とかなのだろうが、長えよ。
唇を離すと俺は「相変わらずキス好きだよな。飯食べようぜ」とからかう。輝奈子は「そうだね」と返し、一緒にご飯を食べる。輝奈子が作品を作っているからなのかそれとも輝奈子が一緒だからなのかわからないけど、こんな些細な瞬間にも喜びを感じてしまう。また、配信をしたいと思ったけど普通に平日の昼間になんて人は集まらないのと、あとテスト週間だからな。
まぁ、俺たちには関係ないんだけど。だってテストは昨日の遠隔でのテストだけだったし、レポートも提出し終わったからな。
さて、何をしようかな。なんか平日の昼間だし、そういえば猫耳とか犬耳とかの話があったことを思い出したのか、輝奈子は俺に「そういえば、買い物でも行く?犬耳とか猫耳とか忘れてたし」と提案する。
「おう。いいな。てか、やってくれるんだな。アニキってコスプレとかしなさそうなイメージだった」と久しぶりにアニキ呼びしてみた。定期的にアニキであることを思い出さないと、無限にできてしまう気がするから。心の高ぶりは隠せただろうか。
俺の中でようやく友人としての魔沙斗と恋人としての輝奈子が統合できた。統合する前に色んな事やりすぎだけど。まぁ、それはそれ、これはこれだ。人生って何があるかわからなくて、それも面白い。そんなことを言いながら輝奈子はメイクをして、お出かけの準備をし終えて俺に「行こう」と微笑む。
その微笑みさえも天使に思えてしまう。可愛い。
輝奈子は「どこに行く?やっぱりTEONかな?」と言いながら俺の手を握る。まだ寒いけど、輝奈子の手は温かくて、とてもかわいらしい。俺は「コスプレショップなんてあったか?」と聞く。
よく覚えてないのか輝奈子は「あったような気がするけど、知らないなぁ。でも、この前クマのぬいぐるみ見たところならあるかも」と返す。
「それってジャスミンの香水買ったところか?」と俺が聞くと「そう。よく覚えてるね。あの時何しようとしてたんだっけ?」と意外そうな顔をしていた。
「スマホケースを買いに行った気がするぞ。実際に買ったのはペアルックの服とジャスミンの香水だけだった気がする。スマホケース結局変えてないもんな」
「そうだね。あの頃は女の子として好きになってもらうために頑張ってたんだよね。今はそんなに気を張らなくても優斗は好きでいてくれるでしょ?」
「おう。うまく言えないけど全部かわいい。そういえば、結局どうするんだ?就職」
「親は説得できたし歌手活動に専念しようかなって思って、いるんだけど。まだ悩んでて、どうしようかな。言わなきゃいけないのはわかってるの。でも、不安だし、どうしたらいいのかな。悩んでるの」
「いっそ、1回やってみたらいいんじゃないか?いやになったら戻れる場所はあるだろ」
そういって俺は、より強く輝奈子の手を握る。相変わらず、可愛い手をしてる。その手を離したくなくて、握る手のひらに力が籠もる。
「ありがと。でもちょっと痛い。手が」
「ごめんよ」
相変わらず、痛いらしい。声可愛いからばら撒かないで欲しい。
TEONに着いて、この前香水を買った3階のイレヴァンに向かう。向かってる間にTHがあったから、また服を見る。
「これとこれどっちがいいかな?」
そう言って輝奈子は茶色のワンポイントTシャツと緑のワンポイントTシャツを比べていた。俺の個人的な好みは茶色かな。冬らしい色だし、とても似合うから。
「アニキの感性なら茶色か?緑も似合ってる」
「茶色にしようかな。いや、今日はいいや」
「そんなに高かった?」
「3980円。買えなくはないし、別に何も問題ないけど、個人的には高い」
「あんなに稼いでるのにか?輝奈子、もう少し高い服も着たらどう?」
「確かにね。でも、安くても良いものはあるからコスパ重視しちゃうんだよね」
「そうか」
いや、買えよ。そんだけ収入あるなら買ってもいい気がするぞ。何のためにそんなに貯金をしているのだろう。
さて、ちゃんと3階に上がり、イレヴァンに入る。イレヴァンに着いたから色々見てみる。猫耳とか、犬耳あるかな?
「あ、これ、かわいくない?」
そう言って輝奈子が指差したのは黒の猫耳カチューシャだった。俺は「めちゃくちゃ似合ってる。値段さえ良かったら、それがいい」と楽しんでしまった。
そんな俺を見て、値札を確認する、輝奈子。600円だった。でも、きっと輝奈子は買わないと思う。
それが予想に反して輝奈子は買っていた。何でだろうか。
「これ買おうかな。優斗も気に入ってくれてるし」
「おう。めっちゃ似合ってる。つけて帰る?」
「うん。優斗も何かつけてよ。犬耳とか猫耳とか」
「俺はいいわ。金もないしな」
「買ってあげるよ。だめ?」
上目遣いで頼まれると断れなくて、「しょうがないな」と言いながら猫耳を買った。似合うかわからないから、おそろいにした。輝奈子には色んな服を着てほしい。
さて、帰ったら、メン限配信しないといけないのだろうな。あと7曲分のタイトルを考えなきゃいけないから割と大変だなぁ。なんて考えながら、黙っている輝奈子を見て、俺は「どうした?悩みか?」と聞いた。輝奈子は「違うよ。メン限の曲タイトル決め配信2をしようかなって。1の方は、もう編集作業に入ってるらしいけど」と返してきた。
「そうか。帰ったら配信するんだろ?飯どうする?」
「思い出のうどんでも行こうか」
「おう」
そう言って2回目のキスをしたうどん屋に着いた。俺は前と同じ肉うどんにしていた。輝奈子も結局ゆずとろろうどんにして2回目のキスと同じ構成だった。やっぱり、柚子が好きなのか。ナスが苦手な輝奈子に申し訳なくなったけど、俺はナスが好きなんだ、すまん。
「ねぇ、あの時みたいにキスしとく?」と輝奈子が投げかけてきて、俺は「慣れては来たけど、こんなに人がいるのにするのか?」とあの時と変わらない反応をした。
輝奈子に「それでもしたいの。だめ?」と上目遣いでお願いされて、俺は「しょうがないな」と言いながら照れたけど、とても嬉しかった。だって可愛いから。
やっぱり、出汁の味がした。美味しい。お互いに唇を重ね、違う体温を感じ合えるのがとても嬉しい。俺は「相変わらず急だし、キス好きだな。特にディープな方」とツッコミを入れた。
「うん。だって優斗の体温をダイレクトに感じれるんだもん」
天使のような笑みを浮かべる輝奈子に「その微笑み、ばら撒くなよ。物凄くズルい顔してるから」と釘を刺しておく。可愛すぎるだろ、うちの彼女。
「そっか。やっぱり大好き。帰ったら、また、しよ♡」
「配信とキスか?」
「もっとダイレクトな奴も♡」
やめろ、ばら撒くな。あと、俺の欲を試すな。暴走するな。そんな色々を含んで、「掃除大変だから手伝えよ」と言の葉を紡ぐ。
「いつも手伝ってるでしょ?」
「とりあえず帰るか?」
「うん。配信楽しみ」
「そうか」
そんな会話をして帰って来た。輝奈子は手を洗い、うがいをして、俺に抱き着いた後、配信を始める。あったかい。可愛い。
「こん夢幻桜。あなたの人生に音楽の彩を。夢幻桜輝奈子と」
「こん夢幻桜。俺だ。輝奈子、その猫耳つけたままするのか?」と俺が聞くと「あ、忘れてた。でも、いいや。優斗とおそろいだし、可愛いでしょ?」と悪魔のような天使の笑みを返された。
あまりにも猫耳が輝奈子に似合ってて「その顔ズルいからな」と俺は照れる。
「知ってる。あとで抱き締めてよね」
そう言って微笑む彼女にいつも元気と生きる希望をもらっている。
『こん夢幻桜』
『こん夢幻桜』
『こん夢幻桜。猫耳輝奈子さん、かわいい』
『¥50000 猫耳輝奈子さんの鑑賞代』
『またしてもベタ甘な輝奈子さんで草』
『このカップル可愛すぎて推せる』
「今日も歌のタイトルを考えていくよ。では、さっそく」と言いながら、本日の1曲目を流す。
「あなたと初めての東京~♪初めてのライブ~♪一緒にいられる時間を噛み締めて~♪また生きている~♪この世界を~♪一緒に見られる景色が輝いて~♪また力をくれるんだ~♪」
「今~私の歌があなたを救えるのなら~♪この声で世界を笑顔に変えていきたい~♪」
『この曲良いよね』
『あなたと共に』
輝奈子の声可愛すぎる。あと、この歌難しくね?どんなリズムだよ。音高いし、なんで出るんだよ。
「『あなたと共に』ってタイトル良いよね?」
「そうだな。他の候補出るまで待つ?」
「そうだね」
そんな会話をしているときにも曲は流れていた。
『初めての東京』
『笑顔で満たして』
「『笑顔で満たして』も良さそう。でも、『あなたと共に』にしようかな」
「いいと思う」
相変わらず俺の返事は短い。でも、この中には輝奈子と一緒にいたいという気持ちと、2人の歌になってほしいという気持ちも含んでいる。
「ともに見られる景色を噛み締めて~ともに進もう~♪たとえ困難がこんなんでも~♪あんな困難もこんな困難もどんな困難も~♪Oh~♪」
『Ohの高さえぐいんよ』
『レソは地獄』
『HiDからのHiGは鬼』
コメントにも有るけど、ほんとに高くない?なんでそんな声出るんだ?俺には絶対出せない音だと思う。輝奈子は凄いな。
「おおきな力を手に入れたとしても人を傷つけたくはない~どんな時も~♪ただあなたのそばで~♪」
『出たMiD2G→MiD2F#→HiA→MiD2Gのソファ#ラソ』
『名物で草』
名物なのか。コメントを見て初めて知った。輝奈子が曲を作るとソファ#ラソで終わらす曲ばかりになるらしい。知らなかった。
続いて、2曲目を流す。
「会えない時、手が震えるような辛さが~♪心に突き刺さる~♪誰かがそれを癒せるというなら~♪それはきっと~♪あなただけなの~」
「だから~♪」
いよいよサビが流れるらしい。
「肩の痛み~♪消えない傷も~♪過ちも~♪それでもあなたのそばで笑っていたいから~♪肩は痛いけど~♪肩上がらないけど~♪四十肩の一部始終~♪恋の痛みも~♪会えないさみしさも~♪全て分かち合いたい~♪ただあなたのそばで~えぇぇ」
『相変わらず、たけぇ』
『音の高さヤバくて草』
『てか肩の痛み出てくる歌こんだけあるのstrengthだけだろ』
『四十肩の一部始終』
『肩の痛みとラブソング』
何だろう、この意味のわからない歌。相変わらず肩が痛いらしい。
「どんな時でもそばにいて~♪私の笑顔も泣き顔も~♪どんな表情も見ててほしい~あなたの表情も全て覚えておきたい~だって大好きじゃ足りないほどに~愛しているから~♪」
『何度聞いてもこの声可愛すぎる』
その後曲が終わるまで聞いていたんだがタイトル考えるコメントがあまりなかった気がする。しいて言うなら『四十肩の一部始終』とか『肩の痛みとラブソング』とかだった。とりあえずタイトルもおかしいし、歌もおかしい。
「『肩の痛みとラブソング』って良いかも。なんか奥深そう」と微笑む輝奈子に「深そうなだけで深くないからな」とツッコミを入れる。
「たしかにそうかも。でも、いいの。面白いじゃん」
悪魔の微笑みにドキッとした。
「投票してみるね。『肩の痛みとラブソング』と『四十肩の一部始終』どっちがいいかな」
そう言いながら、輝奈子は投票を作成し、ウィスパーで投票する。
『どっちになっても面白すぎるんだよな』
『そもそも肩が痛い歌多くね?』
『ここまでくると名物』
名物になるのか?それ。その間に、3曲目を流すんだけどこれで折り返しを超えたかな?10曲のうち3曲は前回考えたしね。これが通算6曲目だ。
「これでやっと折り返しだよ。じゃあ流していくね」
「お疲れ様」
『頑張れ』
『相変わらず凄いよな』
『即興ソングってこんなに作れるもんだっけ』
『少なくとも俺は無理』
「We tend to take it for granted that the happiness comes, but we should not do that. It is not natural that happiness should come. We should calm down. I have a shoulder ache every morning. I get up , stand up, and stand the pain I have. I'm not a bear , but I bear the pain of my heart that I can't see you.」
『Aメロで仮定法現在はやりすぎなんよ』
『英語の勉強ちゃんとしないと意味がわからない歌詞で草』
『言ってることも深すぎて草』
『英語でギャグすな』
『訳して英語得意な人』
『輝奈子たちは幸せが来るのを当たり前だと考えてしまうけど、当たり前だと思わない方が良い。幸せが来るのは当たり前ではない。落ち着いた方がいい。毎朝肩が痛い。目覚めて、立ち上がって、持っている痛みに耐える。クマじゃないけど、あなたに会えない心の痛みに耐える』
『意味そっちのけの英語ギャグで草』
コメントで意味を理解したけど、これを即興で作って歌うのは控えめに言っても才能が有りすぎる。
「I was born in Tokushima. My mother patiently bore the pain of bearing me. I'll keep on singing for you all that I love till my life ends, so keep on believing.」
『徳島出身です。母親は辛抱強く輝奈子を産む痛みに耐えた。輝奈子が愛するすべての人のために歌い続けよう、我が人生の尽きるまで、だから信じ続けてほしい』
いよいよサビが来る。1番のサビが。
「You all have your own lives. I love livestreaming. I hope you enjoy yourself in my livestreaming. There are no descriptions of life and no guarantees that the life is easy. Therefore, you have to believe your own choice and you have responsibility of your choice.」
『皆それぞれの人生がある。配信大好き。輝奈子の配信楽しんでくれてると嬉しい。人生が楽である保証も人生の説明もない。だからこそ、自らの選択を信じなければいけないし、その選択の責任を負うのも貴方自身だ』
『歌詞がガチすぎる』
『これを思考時間0秒とか意味不明』
『才能ありすぎだろ』
「I'll patiently bear the pain I have. Everyone is a patient of disease named "life". Everyone bears the burden they have. We make gardens of our lives. Many flowers will surround you, so don't surrender your belief.」
『私は自らの痛みを辛抱強く耐えよう。皆、人生という名の病気の患者である。皆、自身の持つ負担に耐えている。我々は自らの人生の庭を作る。沢山の花があなたを囲むだろう、だから、信条を捨てないで』
『ガチすぎる歌詞で草』
『どんな歌やねん』
『出産の痛みに耐えるクマ、ベアー』
『難しすぎるだろ』
『音高い、英語ムズイ。ボカロかよ』
それな。難しすぎるだろ。英語で出す音じゃない気がする。他の歌手からしても天才すぎると思う。
「『出産の痛みに耐えるクマ、ベアー』いいね。他に候補あれば見てみたいかも」
『クマベアー』
「『クマベアー』にしようかな。かわいいし」なんて感想を話す輝奈子に「この歌にそのタイトル付けるのか?」と割と素の反応が出てしまった。
「良いと思うんだけど、どう?」
『恐ろしい難易度の歌に付けるには可愛すぎるタイトル』
『『クマベア―』歌おうかなって言われてこの曲来たら、一瞬で惚れそう』
『あまりにもタイトルが可愛すぎる』
『なお難易度は考慮しないことにする』
「『クマベア―』でいいのか?こんなに難しいのに」
「確かにフェイク鬼だし、音程変化地獄だけどいいんじゃない?」
「なら、それ採用するか」
クマベアーか……。どんなタイトルだよ。可愛いタイトルと反して、歌が難し過ぎるだろ。
「てことで、次の曲流していくね」
そういって、輝奈子は次の曲を流す。これが4曲目。通算7曲目。やっていることが阿呆すぎる気がしてきた。
「計画性皆無のノリだけパッション、燃え滾れって感じだけどまぁ、いいや」なんて考えているのだろうか。
俺は思った。我が彼女ながら、どんだけーーっと。
「あーーーーーーーーーーー」
『『あ』しか言ってないのに、Aメロで目まぐるしく音程変わるうえにフェイクと音域やばすぎる』
『これこそ『ああ』だろ』
『それな。伝説の『ああ』5種事件な』
『あれはこっちが『嗚呼』ってなるわ』
「えーーーーーーーーーーー」
『これ次なんだったっけ。い、お、うが続くんだっけ?』
『それな』
『しかもこの『え』だけで1オクターブ分を目まぐるしく移動してるから鬼』
「hey yeah えぇぇぇぇぇっぇぇええぇぇぇっぇぇぇぇ」
『階段状に上がっておりて、また上がるフェイクマシマシソング』
「遠く離れた~♪あなたの元へ~♪今すぐにでも~♪飛んでゆきたいよ~♪心の翼を広げながら~♪この内容のないような歌が誰かを救うなら~♪それもいいな」
『急に良いことを言いだした』
『きっと、この『あなた』は優斗さんを差してるんだろうな』
コメントを見て、俺は「輝奈子、そうなのか?」と聞いた。輝奈子は「そうだよ。だから、いつまでも一緒に居てくれていいんだよ」と微笑む。やばい。すぐにでも抱きたくなってしまう。
そんな心を持っているうちにあっと言う間にサビが来た。
「どんな高い壁でも~♪どんな辛い葛藤も~超えて見せる~この小さな体でも~♪」
『みんな歌詞に注目してるけど、動きヤバくね?』
『それな』
『どうしてあの動きで安定した声が出るのだろうか』
『これ、1発撮りしたらマイクにぶつけるだろ、腕とか足とか』
『しかも、ラジオ体操みたいな動き入ってるし、股関節の運動とかも入ってるよな』
『翼を広げて』
『信じよう』
「『翼を広げて』っていいね。どう思う?」
いきなり話題を振られて俺は、「お、おう。いいんじゃない?」としか返せなかった。
「じゃあそれにしようか」
「もしも~♪超えた先で~♪あなた~に会えなくても~その時は~来世で~待って~いるから~♪So just
believe yourself Don't give in 信じ続けよう~♪」
「良い曲だよな。この後のサビひどかったけど」
「ひどくはなかったでしょ?内容皆無だけど」
「それは酷い」
「内容が~♪なくても~今も生きている~とりあえず生きている~相変わらず、内容はないようですが~それでもいいの~さて~何をしようかな~楽しみな人生を~」
『お家芸の内容がない歌』
『お家芸ktkr』
「何も~ないような~私の歌に~内容なんて~無いようだけど~それでも~生きている~生きる意味なんて~考えても~作るものだから~ないとしか言えナイト~常闇の冬空に~灯せlight〜きっとIt'll be alright〜I'll be your knight〜If nights make you feel dark, I'll be your hero 疲れは疲労~その頑張りを披露~皆それぞれのHero」
「かっこいい曲だな。相変わらずギャグ全開だけど」
「そんなことないでしょ?」
「ギャグばっかじゃん」
「そんなこと……あるね。ナイトで遊んだうえで疲労で畳みかけるのはやりすぎかもね」
当たり前だろ。何でそんなにギャグ浮かぶんだよ。疲労からのヒーローとかやりすぎだろ。
『夫婦漫才面白すぎるだろ』
『輝奈子さんの親父ギャグ好きかもしれん』
『誰か親父ギャグ輝奈子さん作ってください。読みます』
今日の5曲目、通算8曲目を流す。そろそろ終わらないかな?もう疲れてきたんだけど。時計見たくもないもん。次からは減らしてもらおう。何もしてないけど、もう何時間も考えている。流石に疲れてきた。
「無理をして~早く進ま~なくて~いい~♪疲れた~時には~休め~ばいい~♪急がなく~たぁて~♪何とか~なる~のが~人生~だろ~♪き~っと~いつでも~♪ケセラセ~ラセ~ラセラ~♪」
『意外にかっこいい歌詞で草』
『ケセラセラの後適当に付けられたラセラセラは草』
『もう、これ、『ケセラセラセラセラ』だろ。タイトル』
『セラ』
「信号に~ひっかか~って~ゆっくり~止まって~いるときも~♪きっ~と~何かを~考える~♪時間に~なるの~だろう~♪」
「だから~♪どんな~とき~♪でも~ケセラセ~ラセ~ラセラ~♪」
「so just be yourself~♪believe in yourself~♪今も~過去も~まだ~見ぬ~未来も~」
「今~だって~生きている~♪信じ~続けて~進もう~oh~♪」
『ケセラセラセラセラの親戚みたいなパート出てくるのか』
『何の歌だよこれ』
ケセラセラならまだわかる。そのあとの、ラセラセラってなんだよ。
「信号に~引っかか~って~ゆっくり~止まって~いるときも~♪きっ~と~何かを~考える~♪時間に~なるの~だろう~♪」
「だ~か~ら~♪意味は~ある~♪すべ~てに~信じて~進もう~♪」
「どんな~時でも~ケセラセ~ラセ~ラセラ~♪今だって~♪生きている~♪信じ~続けて~進もう~oh~♪going on your way~♪yeah~♪stick to your belief~♪」
『最後だけキーが2個上がるのかよ』
『ケセラセラセラセラでいいと思う』
『怒涛のセラで世良』
輝奈子が「じゃあ『ケセラセラセラセラ』にしようか。あまりにもふざけた歌になった気がするけど。さすがにドラマで使われるとかないよね?」と俺に問いかけてきたから、「さすがにないだろ。そこまで人生は甘くないと思う」とどこまでも現実的な答えを返した。
輝奈子は悪魔のような天使のほほえみで「だよね」と俺の方を見る。ラストスパートだ。やっと9曲目を流す。次でラストらしい。長かった。もう疲れた。結局何時間かかったのだろう。もういいわ。もう絶対しない。だって、疲れるから。あと、ライブも2時間尺ぐらいでいいだろ。8時間もしてんじゃねぇよ、輝奈子。見る方も疲れるだろうよ。
「何を~作ろうか~そう考えても~何も浮かばない~だから~♪や~めた~な~にを~しよ~かな~とりあえず~on my way」
「内容が~なさ~過ぎて~それもよくて~あれもよくて~内容はな~くて♪~花に~な~って~えぇぇ~♪適当に~できた~♪この歌が~何か~を~変えて~ゆくなら~♪そ~れも~いい~かな~♪だ~って~今~♪生きている~か~ら~」
『ゆくならのソシドドはえぐい』
『かっこよすぎる』
『かな~♪のレラはお家芸』
『相変わらずのレラ』
『内容が無いようです』
『NO Content』
「『NO Content』っていいね。これにしよう。よく似た歌ができる予感するけど」
「8割、内容ないと思うぞ。0秒で考えてるならそんなもんだろうけど」
「もう絶対しないから。疲れるし、長いし、後が大変。ネタキレそうだもん」
『それはそう』
『当たり前』
『むしろ、5年で50曲以上の即興ソングをリリースしてるのがおかしい』
『曲覚えてるのかな?』
輝奈子は「えー、曲は覚えてないよ。だって多いもん。他のアーティストさんに聞きたいけど、何年分の歌の数でしょうか。50曲作るのに何年かかんだよ」と文句をたれる。それにしても多すぎるだろ。
ついに最終曲10曲目だ。
「我ながら~♪どれほど~♪作って~いる~んだよ~♪貴様~♪作り~すぎ~だよ~♪今回の~♪アルバムを~♪作る~なら~♪一体~どれほどの~再生~時間~に~なる~だろう~」
「作り~す~ぎて~♪後の~作業~が~♪めんど~くさく~なって~♪しまうよ~」
「あ~あ~♪終わらない~作業の~幕開けだ~♪ああ~終わらない~って~いいながら~♪き~っと~♪たくさんの~レコーディング~♪こなして~いくんでしょ~♪もういいや~♪あきら~めて~自分で~作~った~ものだから~♪誰かに~届く~歌~に~なれ~♪」
『諦めた』
『諦めるんかい』
『頑張れ』
『タイトル浮かばねぇ』
『作るのめんどくさい』
『どこかに響け魂の歌』
「どれほど~作るもの~なの~かしら~♪終わらない~作業に~トンネルを~感じても~いつか~終わりが~♪来~るから~また~作るんだ~ろう~♪」
「終~わ~れ~よ~♪」
「あ~あ~♪終わらない~作業の~幕開けだ~♪ああ~終わらない~って~いいながら~♪き~っと~♪たくさんの~レコーディング~♪こなして~いくんでしょ~♪もういいや~♪あきら~めて~自分で~作~った~ものだから~♪誰かに~届く~歌~に~なれ~♪」
「なんかいいタイトルないかな?」と輝奈子に聞かれてコメントを見ていた俺は「そうだな。これとかどうだ?『終わらない歌』とか『Endless song』とかあるけど」と提案する。
輝奈子は「よし、『終わらない』にしよう」とさっぱりと答えを出した。早いよ。あと候補になかったぞ、それ。
『結局どちらでもないやつになるの草』
『まさかの『終わらない』だった』
「これで全部かな?あー、長かった。もう絶対しない。流石に1回のライブで10曲も考えるのおかしい。準備期間0秒で10曲も作ってるのはおかしいから」と輝奈子が溜め息を吐いたから、俺は「お疲れ様。よく頑張ったな」と褒めた。幸せだなぁ。
『このカップル可愛すぎる』
『優斗さん可愛いよな』
『輝奈子さんじゃないのかよ』
『わかる。カップルとして可愛すぎる』
輝奈子はまとめようとメモを見直す。
「えーーーーっと、今回の配信の1曲目が『あなたと共に』で、2曲目が『四十肩の一部始終』で、3曲目が『クマベアー』で、4曲目がー、えーなんだっけ?」
輝奈子が忘れることも考慮してメモを取っていた俺は「ここに書いてるだろ?『翼を広げて』だ」とメモを指さす。
「そっか。えっと4曲目が『翼を広げて』で、5曲目が『ケセラセラセラセラ』で、6曲目が『No Content』、ラストが『終わらない』だったね。今までの感情が『終わらない』だよ。もう疲れた。優斗、褒めて、抱き締めて」
そんなことを彼女に言われて断れる奴がいるのだろうか。いねぇよな?だから俺は「お疲れ様」と言いながら抱き締めた。この笑顔ズルいよな?
『お疲れ様』
『何気に1番疲れてるの俺さんじゃね?』
『それな』
『あと、抱き着き輝奈子さん可愛すぎる』
「では、これを送りまして、おつ夢幻桜。次からぜってぇしねぇからなー。ばかやろおつ夢幻桜」と最後にドスの利いた声を出す輝奈子とは対照的に俺は「おつ夢幻」とシンプルに配信を終わる。
『おつ夢幻桜』
『ばかやろおつ夢幻桜』
『相当恨み籠ってるのか、セリフが完全に悪役』
『この作者なら悪役令嬢がデュクシしてきそう』
『ヒロインに親父ギャグ言わせるんだろうなぁ』
配信を切ると、輝奈子は疲れすぎたのか寝落ちした。おやすみ、輝奈子。この感情をどこにぶつければいい。横に座ってる俺の膝の上に上半身を預けるのは、やめろ。とても襲いたくなる。自制心が試されている。可愛いな。
頑張って輝奈子を布団に下ろし、掛け布団をかけて寝かせておく。俺は横で寝顔を眺めながら、ゲームを起動していた。暫く起きないだろう。
ゲームに夢中になっていたはずの俺なのに、輝奈子の呼吸が乱れて来るとすぐに気付けるようだ。輝奈子は「いや、死にたくない」とか「あ、銃がある。これで逃げれる」とかをうわごとのように呟いていた。どんな夢見てるんだろう。
あまりに輝奈子の息が荒くなっていたので俺は「大丈夫か?だいぶ魘されてたぞ。呼吸も浅いし」と聞いた。輝奈子が「私、人殺してないよね?」と焦っていたので、あえて「ついにか……」と返す。
「え?いやホントにやっちゃってたのかな?不安なんだけど」と輝奈子が言う。この反応可愛すぎるだろ。
俺は「問題ない。怖い夢はもうないよ」と言いながら抱き締めた。少しは安心させられただろうか。輝奈子の少しあったかい体温が俺のムラムラを加速させていく。輝奈子も俺を抱き締め返し、「ありがとう」と呟く。可愛い。
俺はムラムラを抑えるように相変わらず言葉少なに『おう」と返す。
そんなやり取りをして時計を見たら、まだ21時だったらしい。そういえば、夜ご飯食べてないし、お腹空いた。どうしよう。
「お腹すいたね。何食べる?」
「もう9時だぞ。明日東京行くって聞いてるから早めに寝たほうが良くないか?」
「大丈夫。お腹すいたし。何か食べよう。あと、お風呂も入らないと。メダネルで買う?」
「そうするか。ダブルチーズとコークだろ?寝てなくていいのか?」
「大丈夫。一緒に行こ♡」
そう言って輝奈子は俺の手を引いて、メックに行く。冬の寒さは、まだ厳しいけれど俺と繋いだ手はやっぱり温かい。かっこいい手だなぁ。輝奈子が可愛いのは知っている。だって会うたびに彼女を好きになるから。
黙ってる輝奈子が物珍しくて「黙ってるけど、どうした?」と聞くと「特に、何も。ただ、この幸せを噛み締めなきゃなって。会えなくなる日が近づいてる気がするから」と輝奈子はどこか寂しそうな顔をしていた。
居た堪れなくなって「そうだな。キスでもするか」と返すと「そうだね。思い出のこの場所で」と物凄く明るく微笑んでくれた。
そう言ってキスをしたのは俺の家を出て3分も歩けばつきそうな公園だ。そう、豚骨ラーメンキスの聖地である。誰も巡礼になんか来ないだろうが。来られても困る気がする。一体何をしているのだろう。冬が恋愛で温まった頭を冷やしてくる。豚骨ラーメンもよかったなぁ。空いてないけど。
そのままメックに向かいながら、俺に「結婚するんだよね?私と」と話しかけてきた輝奈子に「おう。そうだな。でも、できれば俺がもう少しかっこよくなってからが良いな」と格好をつけた。まぁ、俺も男だし、かっこつけたいよな。輝奈子もその感覚あるからわかってくれるだろうか。
「そっか。かっこつけたいもんね。私もわかるよ。どうしようかな。ご両親には報告してくれてるの?」
「お、おう。一線超えた時に」
「そっか。私もご挨拶行かないとね」
「愛媛に来てくれるのか?案内ぐらいならできるけど。家には呼べんかもな」
「そうなんだ。いいよ。一緒にホテル泊まろ♡」
「良いんだけど。タオルはたくさん持って来とけよ。絶対大変なことになるから」
「そうだね。20枚ぐらいいるかな。買い足しとかないと」
「歩きながら、こんな話をするのもどうかと思うぞ。今更だけどな」
「そうだね。気を付ける。友達が下ネタがんがん話しているの見た時引いたしね」
「そうした方がいいと思う」
相変わらず、輝奈子は可愛いし、エロい話を過ぎな気がする。そんな話をしていたらメックに着いた。安定のいつものメニューを買って持って帰る。モバイルオーダーとか使えたらかっこよかったかもしれない。そんなことを思いながら、結局現地で買った。輝奈子とゆっくり歩きたかったし、時間に縛られるのは苦手だから。
商品を受け取って帰る。俺は、いつものようにナゲットを買った。普段そんなに返せている気がしないから、また輝奈子に気持ちのいい思いをしてもらえるように頑張ろうと思う。
「ナゲットありがとう。優斗にはいつもお世話になってばかりだね。私は何か返せてる?」
「気にしなくていいぞ。むしろこっちが返せてるか不安になるわ」
「え?そうなん?いつもありがとう」
「それは俺のセリフだろ?ありがとな」
照れくさくなってお互いに前を向いたまま無言になる。冬の寒さが体も心も冷やしてくる。それでも、心にぬくもりが残っているのは輝奈子のおかげだろう。お互いの体温が繋いだ手のひらから伝わってくる。一線超えてしばらく経つのにどうしてこんなにお互いに初心なのだろう。
「えっと、あれだね……」
「今日もするのか?」
沈黙を破ろうとすると声がかぶってしまった。ハモってしまって少し照れくさくなりながら、「お先にどうぞ」と輝奈子が言うので、俺は「今日もするのか?」と返した。
「したいな」
「そうか。掃除手伝えよ」
「もちろん。あ、そうだ。明日から東京でレコーディングあるから、NAOのところに泊めてもらうことになってるの」
「そうか。ほんとは俺も一緒に行けたらいいんだけどな」
「ごめんね。何も起こさないから」
「ほんとは不安で仕方ないけどバンドメンバーだもんな。幼馴染なんだろ?」
「そう。だから、もっと不安になるかもしれないけど。輝奈子だけで出歩くよりはマシだと思うから」
「わかってる。ライブの時に俺がいるって説明してくれてただろ。信じることにする」
「ちゃんとTXTとかは返すから。ごめんね」
「大丈夫。その代わり、今日ホラー見せていいか?もしくは、いつも以上にしてしまうかも」
「いいよ。いっぱいしようね」
「来る時言ったこと覚えてる?」
「ごめんね。言わなきゃいけないと思ったから。あと投げかけてきたの優斗でしょ?」
「そうだな。すまん」
物凄く喋った気がする。そんなやり取りをしていると、あっという間に俺の家に着いた。やっぱり、安定の美味しさだった。
始めるきっかけが欲しかったのか、輝奈子は「ねぇ、今日凄く肩が痛いの。腰も。揉んでくれない?」と頼んで、寝転がる。俺は「おう」と言いながら、肩を揉んだ。何でこんなに、凝るのだろう。胸の大きさとか?それとも持ち前のだろうか?胸、結構あるもんな。
輝奈子が物凄く蕩けていた。俺の握力ってそんなにいいのか?よく分からないが、俺はどうしてこんなに輝奈子を好きになってしまったのだろう。アニキだからか?それとも輝奈子がドがつくほどタイプだったからだろうか。
どこかで誰かが「肉体の結びつきが精神の安定につながる」とか言っていたけど、その通りだと思う。
「痛くないか?」と俺が聞くと、輝奈子は「気持ちいい。ぁん♡そこ♡いい」と物凄く煽情的な声で返してきた。罪悪感を煽られて「声やばいぞ。そんなにいいのか?」と返す。色っぽ過ぎるだろ。可愛いかよ。しかも柔らかいし、いいにおいするし、可愛すぎる。
「ぅん♡気持ちいい。腰も肩もほぐれてきたし、やる?」
「もっと、ムードがあると思う。あと、女の子側から誘うの珍しいかもな」
「そうかな?でも、嬉しいでしょ?いつもありがとう」
そう言いながら、俺の唇を防ぐ、輝奈子。俺は目で「急だな」と訴えたけど、伝わっただろうか。
そんなことを訴えながら、輝奈子の体温を生で感じたくなって、俺も服を脱いでいく。 輝奈子が一枚脱ぐごとに心が高揚して、言い訳のできない生理現象が起きてしまった。
輝奈子は「高揚する心に顔が紅葉するのは恋の効用かな?」と呟いていた。だから俺は、「親父ギャグかよ」とツッコミを入れる。やっぱり輝奈子のおやじギャグが大好きだ。声も可愛いし、肉体も心も可愛らしい。何度も思う、大好きだと。そして、俺が守らなければと。
「ねぇ、気になった体位あるんだけど、やってみない?種付け?みたいなやつ」と輝奈子から提案されて、「良いけど、腰は大丈夫か?あと、女の子の口からそのワードを聞きたくない」という返す。まぁ、本音を言えば、輝奈子に可愛い声で言わせてみたいセリフではあるが、欲を前面には出したくない。
「かわいい声で言って欲しいワードじゃないの?」
「アニキももともと男だからわかるだろ?男を何だと思ってるの?」
「性欲モンスター、とか?」
「それはお前だ、輝奈子。もともと強いのは知ってるけど、用法容量は守ろうぜ」
「守ってるでしょ?征服感とか欲しいんじゃない?」
「あー。セーラー服姿の輝奈子みたいかも。めちゃくちゃ似合いそう」と俺が言うと輝奈子は「お金掛かりそう。マネージャーに聞いて見ようかな。今すぐは無理だけど」とすぐに仕事に持っていこうとする。
「それってドラマ出るとかならない?いいとは思うけど」
「きっとなるね。女優で歌手で小説家で配信者が爆誕するね」
「凄いな。それは。それはそうと、やるんだろ?」
「うん」
アニキはなぜすぐに何かを始めようとするのだろう。主にクリエイティブな方向で。結構面白いことをしているから見てて面白い。
それにしても、この視点やっぱり慣れない。輝奈子が大の字に寝転がると、上から俺が腰を打ち付けてる。向かい合ってることでお互いの表情が見えるし、多分内側に互いのビームが飛ぶはずだから、散らからないはずだ。今日は輝奈子の腰の調子もいいらしいし。主に散らからない方に喜びを感じてしまった。いつも大変だからな。
それでも、念の為タオルは敷いておく。何度でも言おう、念のためである。やっぱり、輝奈子の肉体は可愛い。俺も気持ちよくできてるのかな。
ふと気になって、俺が「なんか感覚違うのか?これ。前は腰痛いとか言ってたけど痛くない?」と投げかけると輝奈子は「大丈夫ぅ♡ぅん♡いつもより刺さってる。これいいかも」と物凄く蕩けた声を出していた。
俺の璧の部分が少し花園に打ち付けられる感覚が割と気持ちいい。あとで、きっと輝奈子が触りたがるのだろう。あの手の感触は俺も好きだ。あのフワフワした手で触られると、くすぐったいし可愛い。
暫く睦あっていると、快感が押し寄せて来て「そうか。無理しなくていいからな。あー、俺もイきそう」と言葉を放つと輝奈子が「一緒にイこ♡にゃん♡」と答える。
輝奈子なら「重なり合う2つの嬌声がハーモニーを奏でる」なんてオシャレに表現するのだろうか。第何話かで見た気もする。どんな風に描かれているか気になって読んでいるから。プリクラの前だっただろうか。
「やっぱ、デカいな声。いつも思うけど」
「だって優斗の気持ちいいんだもん。抱き締めて。優斗の上寝転がりたい。キスも」
「了解。俺も触っていい?」
「もちろん」
俺は寝転がらせてもらって輝奈子がその上に寝転がる。俺のエクスカリバーと璧の部分両方を触りながら満足げな顔を浮かべている輝奈子に何がいいのか聞きたくなってしまう。あったかい。キスもやっぱり気持ちがいい。ロングトーンには自信があるんだろうけど、キスの時間長すぎると思う。重なり合う体温がいいし、ダイレクトに感じられていいという気持ちはわかるけど、よく息続くなと思う。窒息しそう。
「次はどうする?」と俺が聞くと輝奈子が「おそろいの猫耳でやろ♡」と提案する。俺は「いいな。コスプレみたいな感じでやるの萌える」と応じた。
「色よい返事、色欲だけに、なんちゃって」と呟いてるの聞こえたからな。口に出てるぞ、輝奈子。
結局何回したか記憶にない程、盛り上がってしまった。やっぱり、輝奈子、絶倫だと思う。というか俺もたいがい絶倫かもな。でも、それはほぼ輝奈子のせいである。俺じゃない。
「なんで腰痛いんだろう」といつも不思議そうにしてるけど、絶対これのせいだし、寝相も悪いし、理由は明白だろうよ。
輝奈子が「あ、痛い理由わかった。やり過ぎたんだ。そりゃ15回も20回もヤッてれば痛いに決まってる。当たり前だったわ。また、温泉も行きたいなぁ」と悟ったような顔をしたけど、今更気付いたか、輝奈子。てか今日18回してたぞ、責任はとるけど、金でも請求してやろうかと言うほど金がかかる。
「いったぁい♡もう一回揉んでくれない?優斗の握力感じたい」
「お、おう。毎回思うけど凄い量だよな。あと、やりすぎだから控えない?」
「確かにそうかも。ごめんね。でも優斗の体温あったかいから。安心するの。お風呂も一緒に入ろ♡」
「お、おう」
やっぱり、俺のマッサージは気持ちがいいらしい。どうしたらいいだろう。物凄くムラムラしてしまう。今日はもう絶対しない。その代わり、抱き締めて寝るくらいは許してほしい。その前にお風呂入らないと、明日はレコーディングがあるからね。
「そういえば、明日午後には東京に着かなきゃなんだろ?寝なくていいのか?」
「大丈夫。それより、お風呂とお片付けしないと」
「そうだな。今日も一緒に入るのか?」
「うん。もし、途中で寝ちゃったら運んで欲しい」
「あんだけすればそうなるだろうよ。お疲れ様」
お風呂に入り、俺が輝奈子の体を洗った。7曲もタイトルを考えたのがだいぶ来ているみたい。最近疲れが取れてなかったのだろうか。いや、違うな。明らかにやりすぎた。輝奈子の体温を感じながら重なって居られたのだから嬉しいけど、今後は控えようと思う。流石にこのペースでしてると近くの薬局とかコンビニに顔を覚えられるし、無くなるかもしれない。
もちろんシャンプーとトリートメントは自分でしていた。で、代わりに俺の体も洗ってもらったけど、時折背中に当たる胸の感触が物凄く心を高ぶらせてきた。で、湯船に浸かって1,2分ぐらいで輝奈子が寝た。とりあえず、輝奈子の体を拭いて服を着せて布団に運んでから、片付けをした。輝奈子は知らないのだろうな、その無防備な姿が可愛すぎるということを。そのおかげで片付けが少しだけ楽しく思えていることを、そのうえで大変であるということを。




