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終わってなかった本日

優斗はどこにいるんだろう。抱き締めてほしいし、抱き着きたい。優斗の匂いを感じたい。あれ?なんでグリーンバックなの?しかも緑色のカメが壁に埋まって「壁埋まりカメカメラ」なんて言ってるし、机が空を飛んでいるし、私は全身緑色になっていた。


ちょっと待て、どういう状況?意味わかんない。しかも殺し屋みたいな銃を構えた人が「こいつが死ぬか、それとも、お前が死ぬか選べ」と言ってきた。本当に怖い。どうしようかな。私も銃を持っているし、ここはどちらも選ばずに、倒すことにしよう。


私は銃を構えて、引き金を引く。直後に反動が来て、血だまりが広がっていく。撃ってしまった罪悪感とこれからどうしようという不安感に駆られてしまう。どうしよう。優斗なら、わかってくれるかな。でも言いにくいよ。


そう悩んでいると呼吸も浅くなってきて、手が震えてきた。どうしよう。


ぱっと目を開けると優斗が「大丈夫か?だいぶ魘されてたぞ。呼吸も浅いし」と聞いてくれた。よかった。さっきのは夢だったのか。そう思いながらも、やっぱり怖くて、「私、人殺してないよね?」と聞くと、「ついにか……」と言われた。


「え?いやホントにやっちゃってたのかな?不安なんだけど」と私が言うと優斗は「問題ない。怖い夢はもうないよ」と言いながら抱きしめてくれた。優斗の少しあったかい体温が私の心を癒していく。私も優斗を抱き締め返し、「ありがとう」と呟く。


優斗は相変わらず言葉少なに『おう」と返してきた。


そんなやり取りをして時計を見たら、まだ本日だったらしい。そういえば、夜ご飯食べてないし、お腹空いた。どうしよう。


「お腹すいたね。何食べる?」

「もう9時だぞ。明日東京行くって聞いてるから早めに寝たほうが良くないか?」

「大丈夫。お腹すいたし。何か食べよう。あと、お風呂も入らないと。メダネルで買う?」

「そうするか。ダブルチーズとコークだろ?寝てなくていいのか?」

「大丈夫。一緒に行こ♡」


そう言って私は優斗の手を引いて、メダネルに行く。冬の寒さは、まだ厳しいけれど優斗と繋いだ手はやっぱり温かい。かっこいい手だなぁ。私が可愛いのは知っている。だって鏡見るたびに自分を好きになるんだもの。


「黙ってるけど、どうした?」

「特に、何も。ただ、この幸せを噛み締めなきゃなって。会えなくなる日が近づいてる気がするから」

「そうだな。キスでもするか」

「そうだね。思い出のこの場所で」


そう言ってキスをしたのは優斗の家をでて3分も歩けばつきそうな公園だ。そう、豚骨ラーメンキスの聖地である。誰も巡礼になんか来ないけど。来られても困る気がするけど。一体何をしているのだろう。冬が恋愛で温まった頭を冷やしてくる。豚骨ラーメンもよかったなぁ。空いてないけど。


そのままメックに向かいながら、優斗に「結婚するんだよね?私と」と話しかけると「おう。そうだな。でも、できれば俺がもう少しかっこよくなってからが良いな」と返してきた。まぁ、優斗も男の子だし、かっこつけたいよね。私もその感覚あるからわかる。それでも、2人を縛れるものの名前がなくて、不安になってしまうから、恋人である証を戸籍にも刻み込みたくなってしまう。


「そっか。かっこつけたいもんね。私もわかるよ。どうしようかな。ご両親には報告してくれてるの?」

「お、おう。一線超えた時に」

「そっか。私もご挨拶行かないとね」

「愛媛に来てくれるのか?案内ぐらいならできるけど。家には呼べんかもな」

「そうなんだ。いいよ。一緒にホテル泊まろ♡」

「良いんだけど。タオルはたくさん持って来とけよ。絶対大変なことになるから」

「そうだね。20枚ぐらいいるかな。買い足しとかないと」

「歩きながら、こんな話をするのもどうかと思うぞ。今更だけどな」

「そうだね。気を付ける。友達が下ネタがんがん話しているの見た時引いたしね」

「そうした方がいいと思う」


そんな話をしていたらメックに着いた。安定のいつものメニューを買って持って帰る。モバイルオーダーとか使えたらかっこよかったかもしれない。そんなことを思いながら、結局現地で買った。でも、いいの。優斗とゆっくり歩きたかったし、時間に縛られるのは苦手だから。そんなこと言いながら、締め切りに追われた数年前。何なら今だって意外と忙しい日もある。


商品を受け取って帰る。優斗は、いつものようにナゲットを買ってくれていた。普段そんなに返せている気がしないから、また優斗には気持ちのいい思いをしてもらえるように頑張ろうと思う。


「ナゲットありがとう。優斗にはいつもお世話になってばかりだね。私は何か返せてる?」

「気にしなくていいぞ。むしろこっちが返せてるか不安になるわ」

「え?そうなん?いつもありがとう」

「それは俺のセリフだろ?ありがとな」


照れくさくなって前を向いたまま無言になる。冬の寒さが体も心も冷やしてくる。それでも、心にぬくもりが残っているのは優斗のおかげなのだろう。お互いの体温が繋いだ手のひらから伝わってくる。一線超えてしばらく経つのにどうしてこんなにお互いに初心なのだろう。


「えっと、あれだね……」

「今日もするのか?」

沈黙を破ろうとすると声がかぶってしまった。ハモってしまって少し照れくさくなりながら、「お先にどうぞ」と言うと、優斗が「今日もするのか?」と返してきた。


「したいな」

「そうか。掃除手伝えよ」

「もちろん。あ、そうだ。明日から東京でレコーディングあるから、NAOのところに泊めてもらうことになってるの」

「そうか。ほんとは俺も一緒に行けたらいいんだけどな」

「ごめんね。何も起こさないから」

「ほんとは不安で仕方ないけどバンドメンバーだもんな。幼馴染なんだろ?」

「そう。だから、もっと不安になるかもしれないけど。私だけで出歩くよりはマシだと思うから」

「わかってる。ライブの時に俺がいるって説明してくれてただろ。信じることにする」

「ちゃんとTXTとかは返すから。ごめんね」

「大丈夫。その代わり、今日ホラー見せていいか?もしくは、いつも以上にしてしまうかも」

「いいよ。いっぱいしようね」

「来る時言ったこと覚えてる?」

「ごめんね。言わなきゃいけないと思ったから。あと投げかけてきたの優斗でしょ?」

「そうだな。すまん」


物凄く喋った気がする。そんなやり取りをしていると、あっという間に優斗の家に着いた。やっぱり、安定の美味しさだった。


きっかけが欲しくて、「ねぇ、今日凄く肩が痛いの。腰も。揉んでくれない?」と頼んで、寝転がると優斗は「おう」と言いながら、肩を揉んでくれた。何でこんなに、凝るのかな。胸の大きさとか?言うほどなくない?あー、あるか。


物凄く気持ちがいい。優斗の握力って強くてかっこいいな。どうしてこんなに好きになってしまったのだろう。肉体の結びつきが精神の安定につながるとか聞いたことあったけど、その通りだと思う。


「痛くないか?」

「気持ちいい。ぁん♡そこ♡いい」

「声やばいぞ。そんなにいいのか?」

「ぅん♡気持ちいい。腰も肩もほぐれてきたし、やる?」

「もっと、ムードがあると思う。あと、女の子側から誘うの珍しいかもな」

「そうかな?でも、嬉しいでしょ?いつもありがとう」

そう言いながら、優斗の唇を防ぐ。優斗は目で「急だな」と訴えてきたけど、そんなもんだと思う。


優斗の体温を生で感じたくなって、私は服を脱いでいく。 一枚脱ぐごとに心が高揚し、顔が紅葉してしまうのは恋の効用だろうか。用法容量を守らないと破綻してしまうのだろうか。


そんなことを思っていると相変わらず声に出てたようで「親父ギャグかよ」と返って来た。やっぱり優斗のツッコミが大好きだ。声もかっこいいし、体も心もかっこいい。何度も思う、大好きだと。


「ねぇ、気になった体位あるんだけど、やってみない?種付け?みたいなやつ」と私から提案すると、「良いけど、腰は大丈夫か?あと、女の子の口からそのワードを聞きたくない」という返事が来た。まぁ、そんなものなのかな?私としては可愛い声で言わせてみたいセリフだと思うんだけど。


「かわいい声で言って欲しいワードじゃないの?」

「アニキももともと男だからわかるだろ?男を何だと思ってるの?」

「性欲モンスター、とか?」

「それはお前だ、輝奈子。もともと強いのは知ってるけど、用法容量は守ろうぜ」

「守ってるでしょ?征服感とか欲しいんじゃない?」

「あー。セーラー服姿の輝奈子みたいかも。めちゃくちゃ似合いそう」

「お金掛かりそう。マネージャーに聞いて見ようかな。今すぐは無理だけど」

「それってドラマ出るとかならない?いいとは思うけど」

「きっとなるね。女優で歌手で小説家で配信者が爆誕するね」

「凄いな。それは。それはそうと、やるんだろ?」

「うん」

この視点やっぱり慣れない。私が大の字に寝転がると、上から優斗が腰を打ち付けてくる。向かい合ってることでお互いの表情が見えるし、多分内側に互いのビームが飛ぶはずだから、散らからないはずだ。今日は優斗のおかげで腰の調子もいいし。


それでも、まだタオルは敷いておく。念のためである。やっぱり、優斗のエクスカリバーはかっこいい。私も気持ちよくできてるのかな。


「なんか感覚違うのか?これ。前は腰痛いとか言ってたけど痛くない?」

「大丈夫ぅ♡ぅん♡いつもより刺さってる。これいいかも」

優斗の璧の部分が打ち付けられる感覚が割と気持ちいい。あとで、また触らせてもらおう。さわさわするのが個人的に1番好きかもしれない。


「そうか。無理しなくていいからな。あー、俺もイきそう」

「一緒にイこ♡にゃん♡」

重なり合う嬌声がハーモニーを奏でる、なんて言ってみたかった。


「やっぱ、デカいな声。いつも思うけど」

「だって優斗の気持ちいいんだもん。抱き締めて。優斗の上寝転がりたい。キスも」

「了解。俺も触っていい?」

「もちろん」


優斗に寝転がってもらって私もその上に寝転がる。優斗のエクスカリバーと璧の部分両方を触りながら優斗の生の体温を感じる。あったかい。キスもやっぱり気持ちがいい。ロングトーンには自信があるけど、我ながらキスの時間長すぎると思う。している本人だから気持ちはわかるけど、優斗はよく我慢してくれてると思う。


「次はどうする?」と優斗が聞いて来たので「おそろいの猫耳でやろ♡」と提案すると、優斗からも「いいな。コスプレみたいな感じでやるの萌える」と色よい返事がもらえた。色欲だけに、なんちゃって。


結局何回したか記憶にない程、盛り上がってしまった。やっぱり、私、絶倫だと思う。というか優斗もたいがい絶倫である。それにしてもなんでこんなに腰が痛いのだろう。


あ、痛い理由わかった。やり過ぎたんだ。そりゃ15回も20回もヤッてれば痛いに決まってる。当たり前だったわ。また、温泉も行きたいなぁ。


「いったぁい♡もう一回揉んでくれない?優斗の握力感じたい」

「お、おう。毎回思うけど凄い量だよな。あと、やりすぎだから控えない?」

「確かにそうかも。ごめんね。でも優斗の体温あったかいから。安心するの。お風呂も一緒に入ろ♡」

「お、おう」


やっぱり、優斗のマッサージは気持ちがいい。体がほぐれる感じがする。どうしよう。物凄くムラムラする。でも今日はもうしない。その代わり、優斗に抱き締めてもらおう。その前にお風呂入らないと、明日はレコーディングがあるからね。


「そういえば、明日午後には東京に着かなきゃなんだろ?寝なくていいのか?」

「大丈夫。それより、お風呂とお片付けしないと」

「そうだな。今日も一緒に入るのか?」

「うん。もし、途中で寝ちゃったら運んで欲しい」

「あんだけすればそうなるだろうよ。お疲れ様」


お風呂に入り、優斗に体を洗ってもらった。7曲もタイトルを考えたのがだいぶ来ているみたい。最近疲れが取れてなかったのかな。違うかも。明らかにやりすぎた。それだけ重なって居られたのだから嬉しいけど、今後は控えようと思う。


もちろんシャンプーとトリートメントは自分でした。その代わり優斗の体は私が洗ったし、許されるよね?優斗の体はやっぱりかっこいい。どんなイケメン俳優よりも優斗が好きだと思う。だって、私が好きなのは優斗なんだもん。


なんだか眠たくなってきて悪い妄想が襲ってきた。



もう生きる希望が無いかもしれない。これからどうなるのだろう。漠然とした不安が急に襲ってくる。優斗が居るから今は生きていられる。でも、離れたら?死別したら?どうなってしまうのだろう。親の愛なんて信じられない。


他者で信じられるのはマネージャーとNAOと優斗だけだ。どうしてこんなに不安定なのだろう。やりたいことをしているはずなのに。全て望み通りのはずなのに。望み通りだからかもしれない。


上手くいくと必ずそれ以上の成果を求められる。だから上手く行きたくないのかもしれない。どこまで行っても満たされない渇望、癒えることの無い絶望、不信感。


何のために生きているのだろう。死なないために生きるなんて、屠殺場の家畜と何が違うのだろうか。愛という名の餌で肥え太らせて、屠殺して美味しい思いをしたいから愛するのかもしれない。


ただ餌を与えることを愛と呼ぶなら、そんなもの投げ捨てて飢えて死んでやりたい。日によって180°テンションが違う私はいつまでこの苦しみに耐えればいいのだろう。


なんて思ったけど、なんだか春の日だまりのようなぬくもりと安心感が心を満たしていく。一瞬しかない泡沫の生命、夢、幻の桜のような運命だけど、それでも今生きているこの一瞬は素晴らしい日常だ。


お休み、私。漆黒の微睡に誘われ、桜は眠る。また昇る新たな太陽を拝むため。

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