表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
外伝 人と狐の物語
98/180

第94話私の居場所

 私は何度もこんな事を経験してきた。そして経験するたびに、大切なものを何度も失って、それでも人形使いをやめないで、今日まで生きてきた。


「ねえアリス、正直に聞かせてほしい事があるんだけど」


「内容による」


「昨日倒れていた狐達は、その、アリスが全部倒したの?」


「そうだけど。その後にリンシアが来たから」


「どうやって?」


「どうやっても何も、私が使っているもの知っているでしょ?」


「知っているけど、それでもやっぱりおかしい」


「おかしい?」


「傷がなかった」


 当たり前だ。死の風は外傷を一切与えない魔法で、内部から破壊する魔法。それ故に私の人形の魔法だとは説明するのは難しい。



「そんなの偶然。全員がそういうわけじゃないはず」


「それならまだ納得できるんだけど……」


「けど?」


「死の風」


「え?」


「私、ううん、私達見覚えがあるの。あの敵の倒れ方」


 スズカの口から出た思わぬワードに私は一瞬焦ってしまう。いや、彼女達がそれを知っていても不思議ではないんだけど。


「まさかアリスが使った? 闇の魔法を」


「使えるわけないでしょ。私だってただの冒険者なんだから」


「死の人形使い、でしょ?」


「っ! どうしてそれを」


「やっぱりそうだったんだ。じゃあやっぱりあの魔法は」


「す、スズカ達には関係ない!」


 動揺を隠すように私はその場から逃げ出す。こんな所で逃げ出したら確信犯だって思われるのに、逃げるしかなかった。


(やっぱり隠し通すなんて無理だった。私が自分を偽って幸せを掴もうだなんてそんなの最初から……)


 最初から不可能だったんだ。


 ■□■□■□

 結局その日どころか丸三日私は三人のところに帰ることができなかった。いや、もうきっと帰ることなんてできない。私のことを二人に知られてしまった以上、今の私に帰れる場所なんてない。


(またいつもの私に戻っただけ。だから怖い事なんてない……)


 きっと二人も私がいない方が辛い思いをしなくて済むだろうし、誰も苦しむ必要もなくなる。


 それは私も同じだ


(たったの二ヶ月か……短すぎたかな……)


 でも楽しかった、あの二人と過ごす時間は。そしてだからこそ、寂しくも感じてしまう。


「全く、飛び出してから三日も探させて、あとでちゃんと借りは返してよね」


「え?」


 突然後ろから声が聞こえる。あまりに予想外なことが起きたので、後ろを振り返るとやはりそこにはスズカ、レンシア、そしてミルセンの三人がいた。


「どうして……」


「どうしても何も、こっちが聞きたいよ。いきなりどっか行っちゃうんだから」


「だって、私は、もう」


「帰らないと思った? 私の言葉も聞かないで」


「今までずっとそうだったから……」


 バレてしまえばお終い。私は今日までずっとそう思ってきたし、ずっとそうだった。皆が私を死の人形使いだと知ると、遠ざかり避けてきた。

 それ以外の場合でも最終的には仲間を失う事になっている。だからもし、この先二人と一緒に過ごしたら同じ事が繰り返されると思って、それがすごく怖かった。


「私達を信じれないの?」


「信じてないわけじゃない。けど、四日前のリンシアの反応を見て気付かされた。やっぱり私にはここにも居場所がないって。だから……」


「確かにあの様を見て私はかなり驚きましたし、ショックも受けました。だから三日前、あんな態度を取ってしまいました」


「だからやっぱり」


「それでも私は……私達は決めたんです。アリスを受け入れると」


「え?」


「たとえ死の人形使いと呼ばれてようが、禁忌の力を使っていようがアリスは私達の仲間だ」


「スズカ……リンシア……」


 涙が溢れそうになった。今まで誰からもこんな言葉を言われた事なんてなかったし、こんな言葉はもう聞かないと思っていた。


 けど私にはまだ居場所があった


 スズカとリンシアが一緒にいる居場所が。


「ありがとう、二人とも……」


「あ、アリス?! な、何で泣いて」


「嬉しかった。その言葉が聞けて」


「だからって泣かないでくださいよ。私達だって本当に心配で……悲しかったんですから」


「り、リンシアまで泣く事ないでしょ」


 三人して泣く私達。ひとしきり泣いたあと、その様子をずっと見守っていたミルセンが口を開いた。


「それでアリス、一つ聞かせてほしい事があるんだけど、私の同族がアリスを襲ったって本当なの?」


「うん。あいつは姫を取り戻すって言ってた」


「そっか。やっぱり彼なんだ……」


「彼?」


「三人とも、よく聞いてほしい事があるの。これからの事で、とても大事な話だから」


「大事な話?」


 そういえばミルセンには四日前の話はしていなかったけど、スズカ辺りが話したのだろうか。まあそれは気にしなくていいから、とりあえずミルセンの大事な話を聞くことにする。


「彼らはこれから間違いなく私を奪還しに襲ってくると思うの。その事情については今はまだ話せないんだけど、その前にこちらから仕掛けようと思う」


「仕掛けるって何を?」


「今すぐにじゃなくていいから、私を妖狐の里に連れて行って欲しいの。そこで全てを話して、全ての決着をつける。アリスに迷惑かけた以上、放置するわけにはいかないから」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ