表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
外伝 人と狐の物語
95/180

ホワイトデー特別編 本命は誰?

 四人だけでユドラシアへ旅行へ行く前日


 旅行の準備とは別のことで、僕は一人で悩まされていた。


(あれから大体一ヶ月。三人へのお返しどうしよう)


 それはホワイトデーのこと。バレンタインから約一ヶ月が経ち、今度は僕がお返しをしなければならない番が回ってきた。

 明日の朝にはユドラシアへと出発するので、なるべく今日のうちに三人へのお返しはしておくつもりでいた。


 とはいえど、だ。


 先月のバレンタインで発覚したのが、この世界にはチョコレートというものが希少な存在である事。そしてセレナから学んだ限りだと、作るとしてもまともな材料が存在しない事。

 以上のことを踏まえた上で、考えなければならない。三人にどうやってお返しするのかと。しかも今日のうちに準備できるものの中で、だ。明日出発する旅行はまた別物だし、かといって下手なものを三人に渡すこともできない。


(もっと早く考えておくべきだった……)


 そうは言ってもあの後すぐに色々な事に巻き込まれて、そんなことなんて考える余裕は一秒たりともなかった。


「ユウマ、明日持っていくもので相談が……どうしたの? 荷物と見つめあって」


 ずっと悩んでいる僕に声をかけてきたのはアリス。彼女は僕に(呪いの)人形をプレゼントしてくれたわけだけど、確か彼女自身は辛いものが好きだった気がする。

 最初出会った頃に食べていたものがすごく辛いものだったし、アリスはどちらかといえばそっちの方が喜ぶのかもしれない。


「アリスって辛いものが好きだったよね?」


「何?いきなり。確かにそうだけど」


「なら……やっぱりそうか」


 彼女達がそうしてくれたように、僕も同じように三人にそれぞれの好みのものをプレゼントしよう。王都は復旧中だから品揃えは良くないだろうし、結局ユドラシアで買うことにはなりそうだけど。


「ありがとうアリス、ようやく決まったよ」


「決まったって何が?」


「とても大切な事がだよ」


 ■□■□■□

 三人へのお返しを何とか買えたのは、フォルシアと出会う直前。盗み聞きがバレて宿を追い出された後だった。

 無事三人へのお返しの準備も終わり、あとはそれぞれに渡すだけになった。


 まずはアリス

 彼女には二人でユドラシアを一緒に歩き回った時にお返しを渡した。


「何これ?」


「この前のバレンタインのお返しだよ。アリスには人形をもらったからね」


「お返しをもらうつもりでプレゼントしたわけじゃないんだけど」


「そういうイベントだからいいんだよ」


 彼女に渡したのは、最初に決めた通り辛味のチョコレート。昨日和食が出たことからチョコレートもここなら売っているかもしれないと思ったけど、僕の予想は見事に当たりここで三人分のチョコレートを用意できた。

 結局チョコレートをプレゼントすることになってしまったものの、三人ともチョコレート自体初体験ではあるのでそれもいいかなと思ってそこに落ち着いたのだった。


 セレナとハルカには同じ日の昼間にチョコレートを渡し、三人には同じタイミングで開けてもらうことにした。ちなみに味は、


 アリスが香辛料が入ったチョコレート

 セレナが抹茶味のチョコレート

 ハルカがイチゴ味のチョコレート


 アリスだけおかしいように見えるけど、本人が甘いものより辛い方が好きなので、何も問題はない。


「わざわざお返しなんてくれるなんて嬉しいけど」


「けど?」


「三人にこうやって渡しているけど本命は誰なの?」


「ほ、本命?!」


「チョコレートには義理と本命のチョコレートがあるって聞いた」


「私達の三人に本命があるなら教えてよユウマ」


「え、えっとそれは……」


 そんなワードが三人から出てくるとは思っていなかったので、僕は言葉に詰まる。セレナにはもっと前から告白されているとはいえ、その返事もできてないし、アリスとハルカはどう思っているか分からない。

 その三人の中から誰かを選べと言われても選ぶことなんてできない。


「まさか全員義理?」


「い、いや、ほら、友チョコという概念もあるから、そ、それなんじゃないかなぁ」


「何それ面白くない」


「ユウマってそういうところハッキリしないよね」


「ご、ごめん」


 と謝るものの、僕としてはこう返事をするしかなかった。だってそんなこと考えてもいなかったし、何より僕は……。


(男として情けないなぁ……)


 そしてこのの後に僕はアリスからも告白を受けたわけだけど、結局自分の気持ちを明らかにすることはできなかった。


(いつかはハッキリさせないと駄目だなぁ)


 おまけ


「このチョコレート、辛い。けど美味しい」


「チョコレートって甘いものだって聞いていたけど、これ少し苦い味がする」


「私のはすごく甘いから美味しい!」


 ユウマからチョコレートをもらった私達は、彼がいないところでこっそりと残ったチョコレートを食べながら感想を言い合っていた。


「それにしても本命がいないって、何か意味を感じないわね」


「これだから男は……」


「でもアリスは嬉しいんでしょ?」


「別にそういうわけじゃ」


「嬉しいくせにぃ」


「……気のせい」


 このチョコレート、いつまで食べなくても大丈夫だったりするかな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ