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影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
第5章陰謀と謁見の王都
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第51話消えた彼女を探して

「うっ……」


 あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか。全身の痛みからようやく意識を取り戻したのは、僕の部屋のベッドの上だった。


(あれ? 僕いつの間に……)


 アリスは? フードの女は? シャルティアは?


 色々な事が頭の中を巡る。しかし体を起こそうとすると、激痛が走り動かす事ができない。


「つぅ」


 どうする事もできないのでしばらく布団の上で眠っていると、部屋に誰がが入ってきた。


「よかった悠馬、意識取り戻したんだね」


 入ってきてのは光希。彼女はあの場所にいなかったから無事で済んだのか。


「光希……あの後何があったの?」


「私は詳しく知らないけど、王都は大騒ぎだったらしいよ。特に魔法の近くにいたシャルティア様とアリスちゃんは……」


「まさか……」


「あ、怪我が酷いだけよ。ただ」


「ただ?」


「アリスちゃんが今朝から行方不明なの」


「……え?」


 アリスが? どうして?

 フードの女と出会った時、確かに彼女の様子がおかしくなっていた。何か彼女に恨みを持っているような言動と行動。それに対してのあの女の態度。

 二人の間には明らかに因縁があったのは分かる。だけどそれと、アリスが行方不明なのは、直接的な繋がりはない。


「ちなみにあれから僕はどのくらい寝ていたの?」


「丸二日。他の二人は大きな怪我には至ってないから、もう目を覚ましてアリスを探しに行っているよ」


「なら、僕も……っ」


 丸二日眠っていた事実に居ても立っても居られない僕は、直ぐにでも動こうとするが、襲うのは激痛。とてもじゃないけど動き出せるような体ではなかった。


「駄目だよ動いたら。二人は軽傷だっただけで、悠馬は大怪我しているんだから」


「そ、そうだけど」


「それにセレナちゃんに言われているの。何があっても、悠馬は休ませておいてって」


「……」


 光希の言う通り、今僕はまともに動く事ができない。だからこの場所で寝ている事しかできないのも分かっている。

 分かっているけど、このまま僕は何もしないで、ただアリスの帰りを待つ事しか出来ないのだろうか? 支えてくれると言った彼女が、ピンチな時は、僕が……僕達が彼女を支えなければならないのに、こんな所で僕は……。


「大人しくなんてできないよ」


「でもその体じゃ」


「分かっているよ。だから僕は僕にできる事でアリスを探す」


「その方法って?」


「少なくとも僕よりこの世界に詳しい光希に少し頼みたい事がある」


「私に?」


「これについて調べてきて欲しいんだ」


 そう言って僕が取り出したのは、あの爆発の際に僕が手に入れていたもの。無くなっているかと思っていたけど、どうやら無事だったらしい。


「これって人形?」


「そう。爆発で吹き飛んだ際に偶然手に取ったものなんだよ。アリスのものだから守らないとと思って」


「アリスちゃんの?」


「そう。アリスは人形使い。だからこの人形の元を辿ったら何かアリスに関する情報を手に入れられるかもしれないかなって思って」


 まさかこんな形で役に立つとは思っていなかったけど、アリスの事をもう少し分かるかもしれない。そしてそこから、アリスがどこへ行ったかも分かる可能性もある。


「まずはここから始めよう。僕には僕のできる事をするよ」


 ■□■□■□

 あの日、自分がとった行動を私は後悔していた。もしあの時余計な事をしなければ、ユウマ達を巻き込むなんて事は決してなかったと思う。


(だから私は死の人形使いって呼ばれるんだ……)


 仲間を巻き込んだ挙句、犠牲を出してしまう。それを避けたいってどんなに願っても、私自身が制御できない。

 今回だってそうだ。あの時まで何事もなく王女との謁見が終わり、王都での時間を楽しむはずだった。なのに、あの女が私の目の前に現れて、それから……。


(考えれば考えるほど憎くなる。アイツがいなければ私はこんな事にならなかった。大切なものをアイツが奪わなければ……)


 こんな事を繰り返さない為にも、私はもう一度あの女に会わなければならない。どんなに怪我を負っていようとも、どんなに迷惑をかけようとも私は……。


『ユウマ達に迷惑かけるつもりなの?』


 突然声がする。それはつい先日聞いた、あの女神と名乗る声だ。確かシレナと言っていたけど、どうしてその声が今……。


「迷惑なのは言われなくても分かってる。それに、女神には関係ない話」


『確かに私は関係なさそうに見えるけど、私はこの世界の女神だし、ユウマをここに送りつけた本人だから放っておくこと出来ないの』


「だから何? 私を止めるの?」


『止めはしない。だけど今のアリスの体じゃまともに戦えないわよ』


「分かってる。そんなの」


 それでも私は足を止めるつもりはない。どうせ彼女に何を話しても理解できないだろうし、女神が何かできるわけでもない。だから私は、今あの女を見つけ出して……。


『知りたいなら教えてあげようか? あのフードの女の居場所』


「……え?」


『その代わり、条件があるの』


「条件?」


『復讐とかそんな事は考えない。ユウマ達の所に無事に帰るって約束だけはして』

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