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影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
第5章陰謀と謁見の王都
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第45話王女と魔法使い

 王都に到着したのは、すっかり外が真っ暗になった頃だった。


「ここが世界の中心……」


「久しぶりに来たけど、相変わらず賑やかな街ね」


「わー、楽しそう!」


 僕達がやって来たソルディア王国は世界の中心と言われている通り、夜だというのに多くの人で賑わっていた。


「ようこそいらっしゃいました、皆様」


 ソルディアに降り立った僕達を出迎えたのは、いつかの命の恩人のフェルナだった。彼女は今日は以前のような鎧を着ておらず、私服の姿で僕達の元にやって来た。


「あ、フェルナさん。お久しぶりです」


「長旅ご苦労様でした。早速ですが皆様を城へとご案内します」


 フェルナの案内で僕達は活気付く王都の中を真っ直ぐに進み、目的地であるソルディア城へとたどり着く。その間皆疲れているのか特に会話はせず、シーナは眠くなってきたのかウトウトしている。


「ではこのまま王女様に謁見、と言いたいところですが流石に皆様お疲れですよね」


「は、はい。流石に少し休みたいです」


「ですので、皆様には寝泊まりできるお部屋を用意しましたので、こちらの準備が整うまでお休みください」


「あ、はい」


 流石は王室と言うべきか、僕達一人一人に部屋が用意されていた。シーナは緊急だった為、セレナと一緒の部屋で眠る事に。


(一冒険者でしかない僕達をここまで優遇するなんて、なんか凄いけど……)


 どうしても何かの裏を感じずにはいられない。とりあえず用意された部屋に入り、既に準備されていたベッドに飛び込んだ僕は、ボーッと天井を眺める。


(これから僕達は王女様と謁見をする……。あまりにも異例な事だけれど、もし本当にシレナが言っていたような意味があるなら……)


 謁見の際にしっかりと聞かなければならない。ソルディア王国の真の狙いに。もしそれが王国への反逆になろうとしても、守るべきものを守れるならそれで……。


「失礼しますユウマ様、お迎えに上がりました」


 目を瞑ってそんな事を考えていると、ノックの音共に外からフェルナの声がする。


「あれ? もうそんなに時間が経っていましたか?」


 僕は体を起こし、部屋の扉を開ける。そこで待っていたのは、フェルナとさっきまでは居なかったマントを羽織った人間が一人。その顔はフードで隠れていて、男女の識別もつかない。


「皆様が到着した事を伝えたら、すぐにお会いしたいとシェルティア様が申しまして、お疲れのところ申し訳ありませんが付いてきていただけますでしょうか?」


「あ、うん。でも着替えとかしてないから」


「その必要はございませんよ」


「え?」


「今シェルティア様はあくまで個人としてユウマ様とお会いしたいと申しているのですから」


 ■□■□■□

 謁見ではなく個人としての面会を王女は望んだ。


 これに深い意味があるかは、会ってみなければ分からない。だけど何かがある事は予感している。


「僕個人と会いたいだなんて、どういう事なんでしょうか? この後謁見はするんですよね」


「私も分かりません。しかしシェルティア様がそれを望んだのであれば答えるべきでしょう」


「ま、まあそうですけど」


 僕は少しだけ不安になる。まだ会った事もない王女が、僕と二人で話す事を望んでいる。それがどれだけ異常な事なのか、どれだけあり得ない事なのか説明されなくても分かる。


(でもここで逃げ出す事もできない。ここは正面から当たるしかない)


「到着しました、シェルティア様はこの中でお待ちしております」


「え?ここって」


「はい、シェルティア様の私室です。どうかご無礼のないようお願いします」


 それだけ言い残すと、フェルナはマントの人間と共にその場を去った。残された僕は、少し緊張しながらもドアをノックする。


「どうぞ」


 中からは優しい声が返ってきた。僕は失礼しますと言いながら、ドアを開ける。そこで待っていたのは、ブロンズ色の髪を腰のところまで伸ばしたとてもお淑やかな女性だった。

 彼女は窓際の椅子に腰掛け、紅茶を啜りながらこちらを見て優しく微笑む。


 一言で言い表すなら、"貴族"


 彼女はその言葉の通りの女性だった。


「お待ちしておりました、ユウマ様」


 啜っていた紅茶をテーブルに置き、王女、シェルティアは僕を優しく出迎えてくれた。


「こ、この度は僕を……僕達を御招きいただきありがとうございます」


「そんなに緊張なさらないで。ここは公の場ではないのですから」


「け、けど」


 僕は緊張のあまり声が裏返ってしまう。そんな僕を見たフェルナは、僕に近づいて頭を撫でてきた。


「ほら、どうか落ち着いてください、ユウマ様」


「あ」


 撫でられた僕は安心感を覚え、思わず地面に座り込んでしまう。


「落ち着きましたね。ではお話をしましょうか」


「は、はい」


 今のは魔法なのかそれとも別の何かなのか分からないまま、シェルティアは話を進める。


「この度貴方達をお招きしたのは、光の魔法使いであるユウマ様と一度お話をしたかったからです」


「それは何よりの光栄ですが、そのお話したい事とは何でしょうか?」


「ユウマ様の魔法を私に頂けないでしょうか」


「……え?」

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